荒川区町屋で生まれて育った。木造(モルタル)二階建てのアパートとアパートの隙間や狭い路地が遊び場だった。日常的に目にする草木が限られていたせいだと思うのだが、小学校に上がっても、はっきり見分けのつくのはチューリップぐらい
本文を読む藤澤豊の執筆一覧
青森からのカップル-ナイトクラブ-はみ出し駐在記(79)
著者: 藤澤豊家で本を読んでいることが多かった下戸が、「扇」に通いだしてから、マスターとマンハッタンで遊び歩くようになった。ときどき、こんなことしてていいのかと自己嫌悪に陥って、何度か「扇」に行くのを控えようとした。長続きしない禁煙の
本文を読む感動共感から参加へ
著者: 藤澤豊久しぶりに若い人たちの(かなり)純粋で硬質な社会観を聞いた。彼らに指摘されるまでもなく、安保にしても、米軍基地も、消費税も、原発も、雇用も、少子高齢化も、。。。たとえ、たいして問題意識をもってなかったとしても、どこもかし
本文を読むDIY-社会のありよう―はみ出し駐在記(78)
著者: 藤澤豊七十七年にニューヨークに赴任したが、それまでは東京近郊に住んでいた。そのころ、既にDIY(Do It Yourself)やホームセンターがあったのかもしれないが、聞いたことがなかった。今日日、当時とは打って変わって、DI
本文を読む世界に冠たる日本の鉄道技術
著者: 藤澤豊2015年11月11日から13日の三日間、幕張メッセで鉄道技術見本市「第4回鉄道技術展」が開催された。仕事で鉄道に直接関係したことのない巷の一利用者、鉄道技術について何を知っている訳でもない。ただ今日日の首都圏の鉄道サー
本文を読む大雪と大事故のサギノウ-はみ出し駐在記(77)
著者: 藤澤豊どこでもトラブルはつきものだが、サギノウの場合はちょっと度を越えていた。サギノウはデトロイトから車で二時間ほど北西にいったところにある地方都市で、ミシガン州の他の町と同じように自動車部品製造の町だった。 凝ったつくりの旋
本文を読む粉飾決済と厚化粧
著者: 藤澤豊東芝の「粉飾決済」のニュースを聞いたとき、また茶番が始まると思った。「不適切会計」や「不正会計」という言い方がどうの、第三者委員会の人選や監査法人の責任。。。何を騒いだところで、いつものようにばれてしまった
本文を読む夕食に呼ばれて-はみ出し駐在記(76)
著者: 藤澤豊N先輩が「週末夕飯に来い」と言ってきた。招待されたというべきなのだが、変な引っかかりがあって、そう言う気にならなかった。「同級生が来るから、お前もついでに来ればいい。久しぶりに。。。」なんとか理由をつけて断りたかったが、
本文を読む疲れ果てて-はみ出し駐在記(75)
著者: 藤澤豊フィラデルフィアの展示会はローカルショーとはいえ、ハリスバーグやナイアガラフォールズのものとは違う。昔ながらの産業都市で展示会場も大きいし、同業の多くも力を入れていた。対抗する訳でもないが、主力のマシニングセンターと旋盤
本文を読む自分のためのトイレ-はみ出し駐在記(74)
著者: 藤澤豊エバンズビル(インディアナ州)に旋盤を据付に行った。州都インディアナポリスから南西に約二百五十キロ、その辺りでは中心都市なのだろうが、空港から客先に走っていて目に付くのは大豆畑で、そんなところに機械工場があるとも思えなか
本文を読む下手糞のファインプレー-はみ出し駐在記(73)
著者: 藤澤豊親会社の売上げのかさ上げに、輸出担当子会社が販売予測の立たない機械を発注し続けていた。同時に輸出子会社は米国支社に不良在庫にしかならない注文を出させていた。絵に描いたようなグループ会社内の信用の拡大だった。横浜の保税倉庫
本文を読む人の夢-はみ出し駐在記(72)
著者: 藤澤豊旋盤を据付に一泊二日の予定でデトロイトに行った。空港から地図を見ながら客の住所の建物にはたどり着いたが、その先が分からない。機械加工工場としてはそこそこの大きさの建屋なのだが、受付もなければなにもない。こんなところから入
本文を読む国外退去命令-はみ出し駐在記(71)
著者: 藤澤豊上司からナイアガラフォールズ(町名、米国側)の展示会の話がきた。代理店もいるし、一人で十分だろうが、念のため応援に来ているxxxと二人で行ってこいと言われた。ナイアガラフォールズで展示会?観光なら分かるが、なんでそんなと
本文を読む大学教授とマクドナルド-はみ出し駐在記(70)
著者: 藤澤豊子沢山が多いイタリア系には珍しく下宿の大家には息子二人しかいなかった。二人とも細身のイタリア系で、顔つきや体系は似ているのだが、性格は大家も言っていたように随分違っていた。長男は見たところ四十をちょっとでたぐらいで、日本
本文を読むソシアルクラブ-はみ出し駐在記(69)
著者: 藤澤豊マンハッタンの南北の主要な通り-アベニューのほとんどは一方通行で、走っている車を前に押し出すように、信号が先へ先へと変わってゆく。変わってゆく信号に合わせて、一つ先の信号が青になる頃にその信号に差しかかるように走るのだが
本文を読むチャイニーズマフィア-はみ出し駐在記(68)
著者: 藤澤豊「扇」はL字型のカウンターだけのバーだった。L字の長いところが店の中心で、そこはたいして飲めもしないのが長居するところでもないし、人の出入りもあって落ち着かない。他の客の邪魔にならないように、いつもL字の短いところに座っ
本文を読むチャイナタウンの賭場-はみ出し駐在記(67)
著者: 藤澤豊マスターから何度か話を聞いて、一度は行ってみたいと思っていた。話にはでるのだが、「じゃあ、行こうか」にはならない。何か行けない理由があるのか、行くための準備が整わないのか分からないが、何かありそうな気がして、こっちから「
本文を読む腰が抜けそうだった-はみ出し駐在記(66)
著者: 藤澤豊倉庫で入出庫を担当していたアメリカ人が辞めてしまった。若いからなのか入出荷の単純な作業に身が入らない。一人しかいなかったこともあって、気分次第で乗らないときは、それこそダラダラ仕事しかしなかった。五時になれば何があっても
本文を読むもうダメかと思った-はみ出し駐在記(65)
著者: 藤澤豊ローラがブルックリンのスラム街に引っ越して、二ヶ月も経った頃だったと思う。なぜそんなに遅い時間だったのか覚えていないのだが、朝の三時過ぎにローラのアパートに遊びに行った。昼間でもちょっと恐いスラム街に朝の三時、フツーの人
本文を読む三人に卵一個-はみ出し駐在記(64)
著者: 藤澤豊土曜日の夕方、ローラから電話がかかってきた。こっちから電話することはあっても、かかってくることはなかった。間違い電話だろうと思ってとって、ローラからの電話だと分かったときは、それだけでうれしかった。 直裁な言いかたしか出
本文を読むVW-顛末考
著者: 藤澤豊ばれるのは時間の問題でしかないだろうし、もしばれたら、とんでもないことになることぐらい分かっているはずなのに、経営トップがなぜ排ガス規制逃れをやったのか?どうにも説明がつかずに落ち着かない。 マスコミやご高名な評論家諸氏
本文を読むジョニーが死んだ-はみ出し駐在記(63)
著者: 藤澤豊出張先のモーテルからローラに電話した。「今度の土曜日に遊びに行きたいけど、何か予定でも入ってる?」特別予定が入っていることなどないと思いながらも、前もって確認もせずに行くのは気が引ける。確認もせずに行って、もしいなかった
本文を読むローラとルイ-はみ出し駐在記(62)
著者: 藤澤豊ローラを探しに「銀嶺」に行って見つけたまではいいのだが、邦子に引っかかって、次にローラに会ったのは数ヶ月経ってからだった。「銀嶺」からアパートに帰る足は、また父親に頼んでいるのだろう、と想像していた。足を頼むとは言ってこ
本文を読むVW-解決できるのか?
著者: 藤澤豊マスメディアの報道に加えて著名な評論家諸氏のご意見や評論を拝見させて頂いているが、何を問題としているのかという視点でみれば出揃った感がある。巷の一私人、何を知っているわけでもないし、改めて取材したり、調査する能力もない。
本文を読むおい、連れてけ-はみ出し駐在記(61)
著者: 藤澤豊アメリカの子会社は慢性的な技術屋不足に陥っていた。営業は代理店まかせだからまだしも、機械の据付や修理を担当するフィールドサービスには知識のある技術屋を当てなければならない。駐在員(技術屋)を増員しようにも、不景気で失業率
本文を読む小便出張に傍若無人-はみ出し駐在記(60)
著者: 藤澤豊毎年春から秋にかけて、本社からエライさんや総務の課長がニューヨーク(NY)支社に来た。なにも寒いし雪の降る冬に来ることもないとは思うのだが、冬を避けたのはゴルフをしたいがためだったとしか考えられない。インターネットもなけ
本文を読むヨーグルトを食べ過ぎた-はみ出し駐在記(59)
著者: 藤澤豊痩せの大食いだった。脂肪肝と糖尿が気になる歳になってしまったが、甲状腺肥大で手術する三十過ぎまでは、いくら食べても太らない体質だった。(脂肪肝と糖尿は歳のせいにしておきたい)  下戸だったから暴飲はしよう
本文を読む駐在員と流れ者-はみ出し駐在記(58)
著者: 藤澤豊モニカに英語を教えてもらったり夕食に行ったりで、ローラとはちょっと空いていた。モニカはいいんだが、しっかりし過ぎていて疲れる。何かあると、きちんと説明されて、気がついたら説得されている。英語のハンディもあってのことにして
本文を読むNobody is perfect-はみ出し駐在記(57)
著者: 藤澤豊もう直ぐクリスマス、今年もあと一週間もすれば終わりだと思っていたら、ヒューストンへの出張が入った。テキサス州はロスアンジェルス(LA)支店のテリトリーで、余程のことでもない限りニューヨーク(NY)支社から出かけることはな
本文を読む英語の学校へ-はみ出し駐在記(56)
著者: 藤澤豊スマホや電子辞書など考えられなかった時代、辞書は紙の辞書だった。机の上で使う辞書はいくら小さくても、出先で立って使うには大きすぎる。豆単では心もとない。当時、携帯用英語辞典といえば三省堂の『GEM』が定番だった。日々の持
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