『少年が来る』を著したハン・ガンの人となり ――透徹した視線で人間存在の二面性を凝視 『少年が来る』(2016年、クオン社刊)の巻末に訳者・井手俊作氏はこう記している。 ――新緑が
本文を読む21世紀ノーベル文学賞作品の執筆一覧
21世紀ノーベル文学賞作品を読む(5-中)
著者: 横田 喬ハン・ガンの『少年が来る』 ――歴史的なトラウマと対峙し、人間の生命の儚さを描く(1章 「幼い鳥」の続き) 私たちが道庁の庭に引っ張り出されていったのは夜が明けたころ。後ろ手に縛られたまま庭の縁に一列に膝をついて座
本文を読む21世紀ノーベル文学賞作品を読む(5―上)歳末特別編
著者: 横田 喬ハン・ガンの『少年が来る』――深い悲しみに共感する感性 今年2024年度のノーベル文学賞に隣の韓国の女性作家ハン・ガンさん(54)が選ばれた。授賞理由は「歴史的なトラウマと対峙し、人間の生命の儚さを露呈させ
本文を読む21世紀ノーベル文学賞作品を読む(4―下) J・M・クッツェー(南アフリカ、2003年度受賞者)の人となり
著者: 横田 喬J・M・クッツェーは1940年に南アフリカのケープタウンで、オランダ系白人(アフリカーナ)の父とイギリス人の母の間に生まれた。少年時代をケープタウンと内陸の町ヴスターで、ハイスクールと大学時代をケープタウンで過ごす。こ
本文を読む21世紀ノーベル文学賞作品を読む(4―上) J・M・クッツェー(2003年度受賞者)の『少年時代』(みすず書房、くぼた のぞみ:訳)――人の意表をつく物語作家
著者: 横田 喬南アフリカ出身の作家J・M・クッツェー(1940~)は2003年、ノーベル文学賞を受けた。受賞理由は「アウトサイダーが巻き込まれていく様を無数の手法を用いながら、意表をついた物語によって描いたこと」。その著書『少年時代
本文を読む21世紀ノーベル文学賞作品を読む(3―下) ケルテース・イムレ(ハンガリー、2002年度受賞)の人となり――社会的圧力に抗し、生きる可能性を追求した作家
著者: 横田 喬ケルテースの著書『運命ではなく』の訳者である故・岩崎悦子氏(東京外大などのハンガリー語講師)は同書の巻末に「あとがき」として、以下のように記している。 1975年刊行の著作『運命ではなく』は、ナチス強制収容所体験を基
本文を読む21世紀ノーベル文学賞作品を読む(3―上) ケルテース・イムレ(2002年度受賞)の『運命ではなく』(国書刊行会刊、岩崎悦子:訳)――社会的圧力に抗し、生きる可能性を追求
著者: 横田 喬ケルテース・イムレ(1929~2016)はハンガリーに生まれ、十四歳(1944年)の時にユダヤ人としてアウシュヴィッツ強制収容所に送られた。その体験を基にした上掲の著書『運命ではなく』を1975年に刊行し、反響を得る。
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