Windows 7のサポートが切れたら、どうしたものかと考えていた。Kaspersky(最強と言われているウィルス対策ソフトウェア)を入れてあるし、そのまま使い続けても問題ないだろうとは思うが、ネットバンクも使っているから気にはなる。使い慣れたWindows 7のPCをあきらめて、Windows 10のPCに更新するには五万円以上はかかるだろし……お金もないし……。まだまだ使えるPCを廃棄するのも惜しい。Windows 10だけ買って、Windows 7を置き換えるのも手だと考えていた。
我が家にはWindow 7で永年の使役に耐えてきたPCが三台ある。そのうち二台は万が一の場合のスペアだからいいとしても、現役の一台をどうしたものかと思いながら、Google Chromeで「windows10 無償アップグレード」と入力してサーチしたら、なんとWindows 10への無償アップグレードサービスがでてきた。原稿を書いている今日、一月十九日に確認した。いつまであるのかわからないが、まだサービスがある。
マイクロソフトのようなソフトウェア業界が言っている無償(サポート契約ではないという意味での無償)サポートは、家電製品などのサポートとはちょっと違う。マイクロソフトのサポートは大きく二つに分類できる。
第一は、製品仕様上の欠陥を解決する。よく聞くセキュリティホール(Security Hole)の問題もその一つ。インターネットを経由した外部からの不正アクセスを許してしまうシステムの脆弱性の解消する努力が続けられているが、何をしても完璧はない。敵もさるもの、どこかにかならず抜け穴を見つけ出す。そのためOSのバージョンアップが繰り返されている。第二は、新しい機能の追加や性能の向上。
無償アップグレードにしても購入にしてもインターネット経由でファイルが自動的にダウンロードされるだけで、対人サポートはない。家電製品のように、何か分からないことがあったら、コールセンターに電話してというサポートは期待できない。
購入してもサポートを期待できないのなら、マイクロソフトのサイトから無償アップグレードサービスでWindows 10にアップグレードしたほうが金がかからなくていい。
本当にちゃんとできるのか、ちゃんと動いていたWindows 7のPCが使えなくなって終わりじゃないかと心配だった。でも、いざとなったら二台のスペアもあるし、最悪の場合はPCを買えばいいじゃないかと、チャレンジした。
先週、一月十三日にえいっと思って、PC内のファイルを退避してからアップグレードを始めたら、簡単に終わった。Webに書いてあるステップを踏んでいっただけで、誰にでもできる。
アップグレードしたあと、何のトラブルもなく稼働しているが、Windows 10にアップグレードできないWindows 7のPCがあるかもしれない。インターネットでアップグレードに関する情報を漁って確かめても、うまくいくかいかないかは、やってみなければ分からないところがある。アップグレードは自己責任でということになる。
得したような気はするが、Windows 7のサポート切れを機会にPCが売れると喜んでいるPC業界とMicrosoftにはちょっと済まないって気がしないわけでもない。もうPC市場が成長する時代でもなくなって、かつてのように明るい業界でも仕事でもなくなっている。
中国ではXPのクローンを開発しているし、MS OfficeのクローンもKingsoftとして販売されている。GoogleはクラウドでOfficeに相当するサービスを無償提供している。もたもたしていると、Linuxへの流れすら始まりかねない。
アンドロイドのような無償OSとクラウドサービスの無償Officeが伸びてきたら、マイクロソフトが昔の会社になってしまう可能性さえある。
まるで平家物語の冒頭の響きがきこえてくるような気さえしてくる。
<ご参考>
世界では、Windowsが搭載された約一億二千万台のPCが稼働している。そのうち一億台がWindows 10で、残りの約二千万台のほとんどがWindows 7だろうと考えられる。Windows 10に置き換えようかと思いながら、今使っているWindows 7には二千万の仲間がいる。
世界全体で、二〇一一年には三億五千三百万台ものPCを出荷したのに、二〇一八年には二億六千万台を切ってしまった。
買い替え需要がスマホに切り替わる流れができて、Windows 10の新規ライセンスも減り続けている。
Private homepage “My commonsense” (http://mycommonsense.ninja-web.net/)にアップした拙稿に加筆、編集
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9374:200122〕