本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(295)
- 2021年 2月 16日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
政治家と政治屋
「政治家」というのは「国家百年の計を考えながら、国民の幸せを望む人々」であり、また、「政治屋」というのは、「自分の地位や名誉、そして、お金のために、どのような手段でも行使する人々」だと考えている。そして、この観点から、現在の「政治に携わる人々」を眺めてみると、どうしても、「政治屋」が多くなっている状況のようにも感じているが、この理由としては、「バブル崩壊以降、組織内の権力闘争が盛んになってきた点」が指摘できるようにも感じている。
つまり、この前後から、日本人が「内向きの状態」になってきたものと思われるが、実際には、「対外的な競争力の向上」に邁進する人々よりも「組織内での権力獲得」に励む人々が、組織内での地位を獲得していった状況のことである。別の言葉では、「不良債権」の発生と移行に伴い、「失敗を恐れ、リスクを取らない人々が、組織内で重用された可能性」のことであり、私自身は、このことが、「日本の失われた30年」の原因だと考えている。
より詳しく申し上げると、「戦後の日本」では、「経済や金融の面で、西洋諸国に追い付き、追い越す」という目標が存在したわけだが、「1980年代のジャパン・アズ・ナンバーワン」という「ほめ殺し」以降、「目標を失い、組織内での権力闘争に明け暮れた可能性」が存在するのである。そして、最後の段階では、「第二次世界大戦末期の日本」と同様に、「権力の暴走」が発生したものと想定されるが、実際には、「政治家や官僚が、金融政策やコロナ対策などで、いろいろな失敗を重ねている状況」のことである。
別の言葉では、「日本人の精神的な堕落」が、「民間から金融機関、そして、官僚や政治家へ移行していった展開」とも言えるようだが、このことは、「不良債権問題の隠避や先送りに奔走していた結果としての出来事」のようにも感じられるのである。つまり、「より巨大な組織へ不良債権を移行させることにより、時間稼ぎが行われた状況」のことだが、現在は、いよいよ、「紙幣の増刷」という方法しか残されていない段階とも想定されるのである。
そして、この状況を象徴するのが、「政治家のコメント」のようにも思われるが、実際には、「話にならない人々」や「自分の意見を持たない人々」が、数多く見られる状況のことである。つまり、今までは、「組織内での権力闘争」に明け暮れてきたために、「国民へのコメント」が必要とされなかったものの、現在では、「コロナ・ショック」などの「有事の事態」に直面したものの、どのような手を打つべきかが理解できない状況のことであるが、私自身としては、今後の「本格的な金融大混乱」が気にかかる次第である。(2021.1.12)
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「物不足」の正体
最近、株式市場では「物不足」という言葉が使われ始めているが、実際には、「半導体」のみならず、「貴金属や非鉄」、あるいは、「穀物」などが、需給関係の逼迫による価格上昇に見舞われている状況のことである。つまり、本当の意味での「インフレ(通貨価値の下落)」が発生している状況でもあるが、残念ながら、現在では、「時代遅れの経済学」が信じ込まれているために、全く現状説明ができない状態とも言えるようである。
別の言葉では、「現在、どのような商品と通貨が、どれほどの規模で存在するのか?」が理解できていないために、「増刷され始めた紙幣が、実物資産へ流れ込み始めた状況」を意味する「金融界のホーキング現象」が理解不能な状態となっているのである。つまり、「1971年のニクソンショック」以降、「デジタル通貨」の残高が急拡大しながらも、「デリバティブ」という金融商品に流れ込んでいたために、今までは、「旧来のインフレ指数が、きわめて低く抑え込まれていた状況」だったのである。
より具体的には、私が提唱する「信用本位制」という「前代未聞の通貨制度」の存在が理解されていないために、現在の「大量に創りだされた世界のマネーが、デジタル通貨の形で、コンピューターネットワークの中を自由自在に駆け巡っている状況」が認識されていない事態のことである。しかも、この結果として、「地球環境の悪化」を産み出し、今後は、「人類全体が、大自然から淘汰され始める可能性」までも存在し、特に、今回の「コロナ・ショック」については、その典型例のようにも感じられるのである。
そのために、これから必要なことは、いまだに存在する「約6京円ものデリバティブ」に関して、一刻も早く、実情が解明されるとともに、「金融システムの保全」のために実施されてきた「世界的な超低金利政策」から脱却することだと考えている。つまり、「デリバティブ」が産み出した「金融界のブラックホール」を理解することでもあるが、この点に関して、これから想定されることは、今後の「投資の成功者」が、この点を理解した人々になる可能性である。
具体的には、「実物資産への投資」のことでもあるが、この点に関する大きな問題点は、やはり、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」のように、「大インフレにより、通貨そのものが、急激に減少する事態」である。また、「西洋の唯物文明が完全否定され、神様のみが信用される社会が産み出される可能性」でもあるが、このような悲劇が繰り返されないためには、「神の国」という当時の著書を熟読する必要があるものと感じている。(2021.1.16)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10566:210216〕
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