SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】421 西サハラ大統領コロナ感染で難民は?
- 2021年 4月 27日
- 評論・紹介・意見
- サハラ平田伊都子新型コロナウィルス西サハラ
「4月21日、ポリサリオ戦線のリーダー・ブラヒム・ガリが、アルジェリアのティンドゥフからスペイン・ログローニョの病院に緊急搬送された」と、2021年4月第3週発売の週刊誌<ジョンヌ・アフリク>が、SNSの情報を転載しました。 <ジョンヌ・アフリク>はフランスのパリに拠点を置く週刊紙で、アフリカ人の味方をした記事を載せてきました。 が、モロッコ王室に言い寄られてからはモロッコの機関誌になってしまいました。
① 西サハラ難民大統領がコロナ感染:
西サハラ難民大統領の緊急搬送に関して、モロッコのネット通信<Le360>はコロナ検査で陽性反応が出たからだとし、アルジェリアのネット通信<Part Plus>は、ガンが消化器官にはびこっているからだと報じた。アルジェリアのネット通信は「ブラヒム・ガリはモハンマド・ベン・バットウチェという名のパスポートを使って、アルジェリア人に化けてスペインに入国」と配信した。
民族衣装を纏った西サハラ難民大統領ガブラヒム・ガリ、
このいで立ちでTICAD7に参加
日本も含み世界中のSNSが情報の詳細を伝え、それを大手メデイアが転載するという、情報界は楽しい虚飾の世界になってきた!
筆者も倣い、スペインに亡命して訓練を続けている西サハラ難民アスリート第2号のバシールに、西サハラ難民大統領の状況を聞いてみた。「確かに大統領はスペインの北でコロナの治療中だ。コロナ検査で陽性と出たためで、重症ではなく安定している。が、あと暫くは様子見で時間がかかる。僕は南スペインにいるし、スペインは相変わらず移動が難しいので見舞いに行けない」と、返事がきた。「それはさて置き、スペイン難民救済団体
は、僕の<難民五輪選手団>入りに関して、返事をよこさない。IOC本部の難民五輪選手団の担当者から、東京は締め切ったからパリにトライしてみたら?と言ってきた。僕は、そんなこと言わないで東京で頼むよって、ハッパをかけておいた」と、彼は言及した。
五輪を目指す彼にとって、大統領のコロナ感染はあまり関心事項ではないみたい、、
② 「ブラアヒム・ガリを抹殺せよ!」とモロッコ王国:
スペインのネット通信社<La Razon>は、「ポリサリオのリーダーがスペインに到着できたのは、アルジェリアとスペインのハイレベル交渉によるものだ」と、伝えた。ブラヒム・ガリ・ポリサリオ戦線リーダーがスペインでコロナ治療を受けていることは、スペインのネット通信社<エル・パイス>なども報じたため、いまやヨーロッパ諸国が知るところとなった。モロッコ国王はカンカンに怒り、4月25日にモロッコ駐在スペイン大使を召還し、スペインの釈明を求めた。国王の怒りを受けてモロッコ外務大臣ナセル・ブリタが「モロッコ王国は、モロッコの分離主義者であるブラヒム・ガリ・ポリサリオ兵士という犯罪者を、スペインが受け入れたことに強い遺憾の意を表明する。スペインの行動は、良き隣人愛とパートナーシップを築いてきた両国の関係を損ねるだけでなく、モロッコ王国の基本理念に払拭する忌々しきものだ。何故、スペインはブラヒム・ガリなる犯罪人を極秘に、偽名で、入国させたのか?何故、スペインはモロッコに気を遣わなかったのか?何故、スペイン裁判所は彼を逮捕しないか?、、などなど、様々な疑問に対する回答をスペイン政府から引き出すため、スペイン大使を本国に召還させた」と、記者声明を出した。
モロッコ王国はこれまでスペインに、トランプ前アメリカ大統領の<モロッコによる西サハラ領有権承認>発言を追従するように迫ってきた。が、サンチェス・スペイン首相は「西サハラ紛争は国連が指導する和平交渉で解決されるべきだ」と、これまでの見解を繰り返した。この件でも、モロッコの無理難題はスペインに受け入れられなかった。
モロッコはEUヨーロッパ連合にも、トランプ発言の承認を求めてきた。が、4月24日にチェコスロバキアEU議会議員トマス・チェコブスキーの書簡質問に答えてジョセフ・ボッレルEU外交代表が、「最近の西サハラ情勢を分析した結果、国連による公正で普遍的な両当事者が受け入れられる解決を、これまで通りに支持する」と、回答した。
③ 西サハラ難民キャンプの状況:
4月24日、アルジェリアにある西サハラ難民キャンプでは難民大統領がコロナに感染し
たことを受けて、バシャラヤ・ハムデイ・べユン首相の司会で緊急会議を開いた。首相は、「コロナ感染拡大に警戒と予防を怠らないように、、そして、ワクチン接種も含めて的確なコロナ対策を集団で行っていこう」と、西サハラ難民たちを励ました。
西サハラ難民政府は難民大統領の病状について、「大統領の状態は安定している。一日も早く難民キャンプに戻ってきて、我々の祖国解放のため、そしてコロナ克服のため、最前線で戦って欲しい」と、述べた。
西サハラ難民政府外務省は、「モロッコは西サハラ人民の合法的な運動と国家指導者に対して、侮辱と中傷を繰り返してきた。病気の西サハラ大統領ブラヒム。ガリは海外で治療中にも拘らず、ますます露骨に捏造と侮辱と脅迫で、非人道的な攻撃をしてくる。これは、近隣社会に王威を誇示しようとするモロッコ王国の常套手段だ」と、モロッコ外務大臣の発言に強く抗議した。
西サハラ難民キャンプは、ラマダン断食月のなかびを迎えている。一番、辛い時だ。
ワクチン接種はまだ始まっていないようだ。
前述のアルジェリア・ネット通信<Part Plus>によると、アルジェリアがブラヒム・ガリ難民大統領の治療費とスペイン旅行費の全額を持つそうです。 治療費が一日に5,000ユーロ、往復飛行機代が40,000ユーロ、20日間の入院で総額が約140,000ユーロ(18,300,000円)ですかね?
ガリ大統領殿、アルジェリアに遠慮などせず、のびのびと病院生活をお楽しみください。
日本は110,000,000円のコロナ対策医療支援をアルジェリアのUNHCRに約束してあります。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2021年4月27日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10799:210427〕
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