本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(332)
- 2021年 11月 6日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
崩壊を始めた金融のツインタワー
現在は、「金融面の9・11事件」が発生しているものと感じているが、具体的には、「デリバティブ」と「債券や不動産担保証券など」の「目に見えない金融ツィンタワー」が崩壊する可能性である。つまり、「数京円規模の残高が積み上がっている状況」でありながら、一方で、「さまざまな事件の発生が、当時のジェット機のような役割を果たしている可能性」のことだが、実際のところ、「9・11のテロ事件」では、「4機のジェット機がハイジャックされ、金融ツィンタワーやペンタゴンに突撃した」という状況だったのである。
そして、現在は、「中国の恒大集団危機」や「中国政府による仮想通貨禁止命令」、あるいは、「米国の債務上限問題やテーパリングの開始」などが、さまざまな面から、金融ツインタワーを崩壊させる動きとなっているようにも思われるのである。別の言葉では、20年以上も継続した「世界的な超低金利状態」、あるいは、「デジタル通貨が産み出した金融界のブラックホール」が、いよいよ、大転換の時期を迎えた可能性のことである。
つまり、「1600年に一度の西洋から東洋への文明移転」が始まった可能性でもあるが、実際のところ、われわれ日本人にとっては、「明治維新」と「第二次世界大戦の敗戦」が合わさったほどの衝撃が到来するものと考えている。具体的には、現在の「デジタル通貨」が、「浦島太郎の玉手箱」のように、「ほぼ瞬間的に蒸発する可能性」が危惧されるが、現時点では、私以外に、誰も、この点に言及していないのである。
そして、このことは、「ブラックエレファント」という「ほとんどの人が無視し続けてきた大問題」であり、間もなく、実際の事件として発生する時期が近付いているものと考えている。具体的には、「金利が上昇した時に、世界各国の中央銀行は、どのような対応を取るのか?」という点だが、現在では、大量に存在する「世界のマネー」が、小さな規模の「実体経済」に流れ始めた結果として、「世界的な商品価格の高騰が、いわゆる『もぐら叩き』のような状況で発生している状況」となっており、今後の注目点は、「この問題を、どのようにして処理するのか?」ということである。
つまり、「本格的なインフレの到来に、どのように対応するのか?」ということでもあるが、現在は、まさに、「ギャロッピング・インフレ」や「ハイパーインフレ」という「国家財政破綻が引き起こす通貨への信頼喪失」を意味しており、しかも、この動きは、「2023年8月頃」に終了するものと考えているが、現時点で必要なことは、やはり、「貴金属や食料などを買い集めて、最悪の事態に備えること」だと感じている。(2021.10.3)
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ハイパーインフレの発生メカニズム
今後、世界の注目点は、「コロナ」から「インフレ」へ移行を始めるものと考えているが、実際には、現在の「インフレ懸念」が「ギャロッピング・インフレ」、そして、「ハイパーインフレ」へ変化する可能性である。しかも、私が想定する「戦後の26年サイクル」から言えることは、「大インフレのピークまでに残された時間が、約2年ではないか?」とも思われるために、現時点で必要なことは、「金利やインフレ率が10%台に到達するまでがギャロッピング・インフレ」であり、また、その後、「約6ヶ月間のハイパーインフレ期に見舞われる可能性」を理解することだと考えている。
より具体的に申し上げると、「1923年のドイツ」や「1991年のソ連」などを参考にしながら、「できるだけ多くの人々が、人類史上、最大のインフレを、無事に生き延びる状況」を望んでいる状況である。具体的には、「1971年のニクソンショック」以降、未曽有の規模にまで大膨張した「デジタル通貨」に関して、「ほぼ瞬間的に消滅する可能性」を考慮しながら、「新たな東洋の時代」が始まる展開に期待するものである。
つまり、将来的には、「地球と共生可能な技術の発展」、そして、「高度に発展した社会科学」などにより、これから想定される「インフレの大津波」を切り抜けさえすれば、その後に、素晴らしい時代の到来が期待できるものと思われるのである。具体的には、「量子力学」や「分子生物学」の更なる初展、あるいは、「心の謎」や「お金の謎」の解明により、「戦争のない平和な時代の到来」などのことである。
そのために、現時点で必要なことは、「金融システムの正確な理解」により、「今後、どのような変化が予想されるのか?」を考えることとも想定しているが、実際には、「目に見えない金融ツィンタワーの崩壊に見舞われた世界各国の中央銀行が、今度、どれほどの規模で、紙幣の大増刷を実施するのか?」、そして、「通貨価値の激減に見舞われた世界中の人々が、どれほどのスピードで、換物運動に走るのか?」ということである。
つまり、現在の「デジタル通貨」については、「金融界の白血病」により、きわめて速いスピードで、紙幣に交換されるものと思われるが、このような状況下で発生する現象は、「通貨の流通速度」が急上昇する展開とも言えるのである。別の言葉では、「受け取った紙幣を、即座に、実物商品に交換する動き」のことだが、今後の数か月間については、この変化を頭に入れながら、「金利やインフレ率が、いつ、10%台に到達するのか?」に注目する段階に入ってきたものと感じている。(2021.10.4)
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ヘーゲルの国家共同体
「ヘーゲル(1770年-1831年)の精神現象学」では、「国家共同体」という理念が紹介されているが、この点については、より深い考察が必要なものと考えている。つまり、「国家は、本当に共同体なのか?」という疑問のことだが、この点を理解するためには、「時間の経過とともに、共同体が、どのような変化や発展を見せたのか?」を考察する必要性があるものと感じている。
別の言葉では、「共同体」を意味する「ゲマインシャフト」と「利益面や機能面」が重視される「ゲゼルシャフト」の違いを理解することでもあるが、実際のところ、「家族」という共同体に関しては、「愛情をもって、損得勘定ぬきに、家族に貢献し合う状況」が見て取れるわけだが、一方で、「市民社会」や「国家」については、「利益や欲望が絡むために、さまざまな思惑が働く状況」も想定されるのである。
つまり、「神々の掟」と「人間の掟」という「ヘーゲルの言葉」からも明らかなように、「この世界には、大別して、三種類の法則が存在するのではないか?」と考えているが、具体的には、「法界(ほっかい)」に存在する「仏法や神々の掟」であり、また、「大自然界」に存在する「摂理」、そして、「人間社会」に存在する「法律」のことである。そして、現在の問題点は、「弘法大師」や「ヘーゲル」などが指摘したように、「仏法と国法の違い」、あるいは、「神と人との掟の違い」のようにも思われるのである。
別の言葉では、「大自然の摂理」に左右される「人間」にとって、「倫理観」や「道徳」、あるいは、「宗教」などにより、「人間社会の法律」と「神様の法や掟」とを合致させる必要性が存在するものと思われるのである。しかし、この点に関して、最大の障害となっているのが、「お金」や「市場経済」の存在とも思われるが、実際には、「武力や資金力などによる富や領土の奪い合い」のことである。
つまり、「非理法権天」という言葉のとおりに「権力を握った者たちは、他者を支配して、より大きな権力を持つ欲望」に駆られがちになるわけだが、この結果として生み出されたものが、現在の「マネーの大膨張」であり、また、「地球環境よりも富や便利さを求める社会」とも言えるのである。別の言葉では、「共同体の誕生と発展」について、最初は「分業体制による生産の効率化」が主な要因となったが、現在では、「大膨張したマネー」が産み出した「過剰な市場経済化」、あるいは、「心の荒廃」などにより、崩壊寸前の状況となっており、このことは、「国家共同体」の限界点を表しているものと感じられるのである。(2021.10.6)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion11460:211106〕
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