SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】507 世紀末の21世紀初頭、希望は?
- 2022年 12月 11日
- 評論・紹介・意見
- サハラ平田伊都子西サハラ
「ドイツ国会議事堂襲撃未遂事件!」のニュースがBBC英国TVや世界のメデイアで流された時、咄嗟に連想したのは1933年、ドイツ・ナチが利用した国会議事堂放火事件でした。 当時のアドルフ・ヒトラー首相は翌3月に全権委任法を制定して独裁を確立し、第二次世界大戦へと突進していったといわれています。
私たちの生きる21世紀は、はや世紀末のおどろおどろしさに満ちています。
希望はないのでしょうか?
① ドイツのクーデター未遂事件:
「ドイツ連邦検察は7日、政府転覆を図ったとして、25人を逮捕したと発表した。貴族の末裔(ハインリヒ13世)や極右関係者、元軍人、ロシア人女性、陰謀論<Qアノン>の信奉者などで構成されるグループが、連邦議会議事堂を襲撃し、政権を奪取するつもりだった、、逮捕された25人の中には、「ライヒスビュルガー(帝国の住民)」運動の関係者も含まれている」と、BBC英国TVが2022年12月7日にクーデター未遂事件を報道した。
<Qアノン>は、アメリカに始まった陰謀論で、Qアノン信奉者たちは、自分たちの国は世界的な権力者の闇のネットワーク「ディープステイト」に支配されていると信じているという。アメリカのQアノン信奉者たちは、アメリカ政府の奥に潜む「悪魔崇拝の小児性愛者」による「ディープステイト」関係者を、トランプ氏が逮捕し処罰するという陰謀論を信じているそうだ。その一部が、昨年1月の連邦議会襲撃に参加したと、トランプ叩きの主唱者たちがドイツのクーデター未遂事件を利用しようとしている。
<ディープステイト(闇の政府)>は、アメリカの中央政府や金融、経済、産業の関係者が秘密のネットワークを組織し、その権力を行使する<隠れた政府>とか<影の政府>とか<国家内部の国家>などという概念または陰謀論。アメリカ国民の約半分が<ディープステイト>の存在を信じているそうだ。
<ライヒスビュルガー(帝国の住民)>は、現在のドイツ連邦共和国を転覆させ、1871年のドイツ帝国に模した新国家「第二帝国」を樹立しようとしていた。推定2万1000人の支持者がおり、そのうち約5%が極右関係者とされている。(参照BBC News)
② ワールドカップ4強入りに夢中のムハンマド六世モロッコ国王:
ヒットラーはベルリン・オリンピックを大成功させ、<民族の祭典>というおどろおどろしい大記録映画を製作させた。オリンピック創設者クーベルタン男爵は、ヒットラー・ナチの信奉者だった。
ムハンマド六世モロッコ国王は、モロッコがカタール・ワールドカップ2022で4強に残ったので、もう、大盤振る舞い!アラブの王族も指導者もサッカーが大好きだ。故カダフィーはアジジア・キャンプで自らサッカーボールを蹴っていたし、サダム・フセインもサッカーファンだった。カダフィーの息子サードはイタリアのチームに在籍したけど公式試合には出してもらえず、その後リビア・サッカー協会会長をやっていた。サダムの息子ウダイもイラク・サッカー協会とイラク・オリンピック協会の会長職に就いていた。
アトラス・ライオン(アトラス山の王者ライオン)と仇名されるモロッコ王国チームは、2022年12月10日(現地時間)、ポルトガルに勝って4強入りを決めた。12月15日には元植民地宗主国でモロッコ王国チームの指導者でもあるフランスと準決勝を戦う。勝てば18日に決勝戦へと進む。
ムハンマド六世モロッコ国王陛下は準々決勝のためにカサブランカ・モロッコ国際空港とドーハ・カタール国際空港の間を飛ぶ特別チャーター機の配備を命じた。残念ながら有料だった。サッカー・チャーター機の往路は9日と10日、復路は11日で夫々7機が飛ぶ。座席数は274から340あり、チケットは8日から販売された。エコノミーの往復で5,000モロッコ・デイルハム(64,815円)だ。準決勝の時は無料になるのかな?
「アラブとして初めて4強に入るという歴史的偉業を成し遂げた」とヨルダンのハサン・ビン・タラール王子(故フセイン国王の弟)が、ムハンマド六世モロッコ国王に祝電を送った。パレスチナ大統領マフムード・アッバスやセネガル大統領マキ・サルやガボン大統領アリ・ボンゴ・オンディンバなどが、続々と国王を讃える電話をかけた。
なかなか希望が見えてこないワールドは、ワールドカップで憂さを晴らしているように、見える?
③ 本年度駆け込みの外交交渉;
師走に入ったというのに、ウクライナ戦争の停戦交渉はほったらかしにされたままだ。
戦争両当事者は交渉しようとしないし、国連事務総長は交渉に向けての仲介をしようとしないし、ウクライナ戦争の仕掛け人アメリカは「われわれは、ウクライナが自国の能力を高めることを妨げることはしない」(オースティン国防長官12月6日の記者会見)と、アメリカは戦争を長引かせるつもりの武器援助継続を匂わせた。
ウクライナ製かみかぜドローンが飛んでこないことを祈りつつ、SADR(西サハラ・アラブ民主共和国)は、外交活動を加速させている。12月8日から一週間、スペインのバスク州代表団を例年のように、難民キャンプに迎えた。スペイン首相がモロッコに寝返った年だったが、優しい砂漠の民は、スペインの友人をいつも通りにもてなした。
12月7日と8日、西サハラ難民大統領一行がタンザニア大統領サミア・スルフ・ハサン女史の国賓招待を受け、キリマンジャロ山とタンガニーカ湖など大自然に恵まれたタンザニアの首都ドドマに降り立った。赤じゅうたんを敷いて西サハラ難民大統領を迎えたのは、チャマ・チャ・タンザニア革命党副事務総長のクリスチナ・ムンドウム女史だった。タンザニアでは、女性参画を声高に叫ぶこともなく、自然に女性が社会で活躍している。因みに、サミア大統領は前副大統領で、2021年にコロナで死んだという噂の元夫で前大統領ジョン・マグフリを継いだ。彼女は大統領就任後、まず、ワクチンを打った。
12月8日、アルジェリアの首都アルジェにある西サハラ大使館に、アルジェリアの西サハラ友好議員団や、アルジェリアの西サハラ民間支援団体やアルジェリアの人権団体などが集まり、これからの西サハラ支援を検討した。そして、2020年11月13日のモロッコによる国連停戦以降、モロッコ占領地・西サハラでのモロッコ軍虐待行為は国際法違反だと強く非難した。そのうえで、公正で自由な<国連西サハラ人民投票>が、西サハラの民族自決権を施行し独立を目指す最良の策だと、改めて確認した。
西サハラ難民は希望を失っていない。
12月9日、サラマ・ハマ西サハラ難民政府の第16回西サハラ全人民大会準備委員会議長から、大会へのお誘いがきました。
場所はダハラという名の西サハラ難民キャンプ、時は2023年1月13日から17日。
興味のある方は、おでかけください。
ご参考のために、SJJAが製作した13分弱のドキュメンタリー「ラストコロニー西サハラ」を貼り付けておきます。
(2) ラストコロニー 西サハラ – YouTube https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
サミア・ハサン・タンザニア大統領(右)からキリマンジャロ山の絵を受け取る
ガリ西サハラ難民大統領(左)
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2022年12月11日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion12626:221211〕
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