本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(401)
- 2023年 3月 11日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
世界的な不動産バブルの崩壊
現在、世界的に「不動産バブルの崩壊」が顕著になってきたが、この点に関して重要なポイントは、「バランスシートの非対称性」を認識しながら、「不良債権が、どのようにして発生するのか?」を理解することだと考えている。つまり、「バランスシートの内部において、負債の金額は、ほぼ一定でありながら、資産の金額が激変する事実」により、「資産価格の急減が、不良債権の発生に繋がる展開」のことである。
そして、このような状況を加速させた要因としては、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」、あるいは、「1980年代初頭から始まったデリバティブの急拡大がもたらした世界的な金利低下」が指摘できるものと考えている。具体的には、「人類史上、きわめて異常なスピードで、商品と通貨の残高が爆発的な増加を見せた展開」のことである。
別の言葉では、「既存の経済学で、ほとんど説明が付かないような展開」だったことも理解できるが、この点については、「数百年前から始まった自然科学の急速な発展」が、根本的な要因として指摘できるものと感じている。つまり、「人類の絶えざる進化と創造のメカニズム」として、「DNA」や「東西文明の発展」のみならず、「自然科学と社会科学」、あるいは、「商品と貨幣」など、さまざまな面において、「二重らせん構造」の存在が指摘できるようにも感じられるのである。
そして、これから想定される「未曽有の規模での金融大混乱」についても、「進化と創造のメカニズムにおいて、必要不可欠な出来事ではないか?」とも感じているが、実際には、「花が開くためには、寒い冬が必要な状況」のことである。また、「金融混乱の度合い」を測るうえで、今後、注目すべき点は、「部門別の資金ひっ迫状況」を理解することだと考えているが、現時点では、「国家」や「中央銀行」のみならず、今まで資金的に余裕が存在した「民間金融機関」、そして、「民間企業」や「個人」までもが、「株式や不動産のバブル崩壊」などにより、「資金繰りの問題」が発生し始めている状況とも思われるのである。
つまり、「資産価格の急減がもたらす不良債権の発生」が、現在、「世界の至る所で、急速、かつ、急激に発生している可能性」が想定されるために、今後は、「中央銀行の役割」に急激な変化が発生する展開も想定されるのである。具体的には、「最後の貸し手」として、「さまざまな金融主体に資金を提供する役割」のことであり、実際には、やはり、「紙幣の大増刷」を実施せざるを得なくなる状況のことである。(2023.2.6)
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米国債の信用リスク
「米国債の信用リスク」が、再度、マスコミの話題になり始めているが、今回は、今までとは違い、大きな注意が必要な状況のようにも感じている。つまり、多くの人々は、「1917年に米国債発行の上限金額法案が制定されて以来、今までに、数十回にわたり、上限金額が引き上げられてきた」という事実により、「今回も、同様のパターンが繰り返される」という楽観論を展開しているのである。
そのために、現時点で必要なことは、「今までと、どのような違いが存在するのか?」を考えることとも思われるが、実際には、「1980年代初頭から始まった世界的な金利低下が、すでに終了した事実」、あるいは、「戦後の26年サイクル」を理解する必要性が指摘できるものと考えている。つまり、現在では、「米国の国債発行残高」が、「31.4兆ドル(約4100兆円)」という金額にまで積み上がっているが、この理由の一つとしては、「1980年代初頭から始まったデリバティブの大膨張」が挙げられるのである。
別の言葉では、「1971年のニクソンショック」をキッカケとして始まった「新たな通貨制度」、すなわち、私が「信用本位制」と名付けた「人々の信用を根本的な本位とする通貨制度」が、「コンピューターネットワーク発展」の恩恵を受けて、「大量の金融商品とデジタル通貨を産み出した状況」を理解することである。
そして、今後の注意点としては、最初に、「米国債の上限が引き上げられたとしても、誰が、その国債を買うのか?」という疑問点が指摘できるものと思われるのである。あるいは、「膨大に積み上がった債務残高に対する金利負担の問題」も想定されるが、実際のところ、「4%の金利から、単純に金利負担額を計算すると、年間で約164兆円(4100兆円×4%)の利払い」も予想されるのである。
しかも、今回は、私が注目する「戦後の26年サイクル」により「2023年8月15日」が気にかかる状況でもあるが、実際には、「1945年8月15日」から26年後に「ニクソンショック」が発生し、また、その26年後に「世界的な信用収縮がタイから始まった状況」のことである。そして、その後は、「2010年前後までの約13年間」に、「メガバンクが、オフバランス(簿外)でデリバティブの残高を積み上げた状況」であり、また、その後の約13年間は、「中央銀行のリフレーション政策」、すなわち、「国債の大量買い付けにより、国民が気付かないうちに、インフレ税の徴収が始まった状況」だったが、今後は、間もなく、「紙幣の増刷によるハイパーインフレ」が始まるものと考えている。(2023.2.8)
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中央銀行の歴史的役割
100年余りの歴史しか持たない「世界各国の中央銀行」については、現在、同様の歴史を持つ「近代オリンピック」などと同様に、「歴史の検証」が必要な段階に入ったものと考えている。つまり、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時」と同様に、「大都市の形成」が主な要因となり、「パンとサーカスの文明」が形成された可能性を考慮することであり、また、「文明法則史学」が教える「西暦1200年から2000年までの西洋の唯物文明」が終焉の時を迎えている可能性を検証することである。
別の言葉では、「戦後の26年サイクル」が指摘する「2023年の8月」が、「中央銀行の最終決断」に関する「刻限」のようにも感じているが、具体的には、「デフレ」が経済用語となった「1929年の大恐慌のパターン」か、それとも、「インフレ」が経済用語となった「1923年のドイツのハイパーインフレ」の、どちらを選択するのかが問われている状況のことである。つまり、現在では、「世界的な不動産バブルの崩壊」などをキッカケにして、「目に見えない金融ツインタワー」、すなわち、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」が完全崩壊の時期を迎えているのである。
より具体的には、現在、過去100年余りの期間にわたり、「世界的なマネーの大膨張」を支えてきた「世界各国の中央銀行」が、「紙幣の大増刷やCBDC(中央銀行デジタル通貨)の新設」などの方法により、「1923年型のハイパーインフレ」か、それとも、「金融引き締めの継続」により「1929年型の民間金融機関の連鎖破たんによる大恐慌」を選択するのか、という決断の時期を迎えているものと思われるのである。
このように、「中央銀行の歴史的役割」として挙げられる点は、結局のところ、「信用創造(マネーの創造)」という「どのようにしてマネーの残高を増やすのか?」という事実とも思われるのである。別の言葉では、「貨幣の大膨張がもたらす通貨価値の減少」を意味する「インフレ」に関して、「国民が気付かないような方法を駆使する使命」を持っていた可能性のことである。
しかし、現在では、世界中の人々が、「金融混乱の実情と本質」に気付き始めるとともに、世界各国の中央銀行が、「マネーの大膨張」に関して「紙幣の増刷」などしか、打つ手が無くなった状況とも言えるのである。そのために、現在は、「どのような形で、中央銀行の歴史的役割を終了するのか?」が問われる段階に入るとともに、これから必要なことは、「今後、どのような形で、東洋の時代が訪れるのか?」を理解することだとも考えている。(2023.2.9)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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