本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(410)
- 2023年 5月 20日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
CBDCの問題点
現在は、「デリバティブ」と「世界債務」に関する「目に見えない金融ツインタワー」が、ガラガラと音を立てて崩壊を始めている状況であり、今後の数か月間は、更なる金融破たんが続出するものと考えている。そして、このことを察知した「先進各国の中央銀行」は、「BIS(国際決済銀行)」と協調して、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の発行」を目論んでいるようだが、前途は、きわめて多難な状況とも言えるようである。
つまり、「中国」や「ロシア」などは、以前から、「デリバティブに頼りすぎていた先進各国の金融システムの脆さ」に気付くとともに、「金(ゴールド)の購入」に力を注いでいた状況だったのである。そして、最近では、「BRICS」と呼ばれる「ブラジル、ロシア、インド、中国、そして、南アフリカ」の国々が、「サウジアラビア」を巻き込んで、「西側諸国へ対抗できる経済連合体」の強化を図っている状況とも言われているのである。
より具体的には、「人民元をドルに代わる基軸通貨にしようとする目論見」が想定されている可能性のことだが、この点については、大きな注意が必要なものと考えている。具体的には、前述の「金融ツインタワー」に関して、「どのような経緯で出来上がったのか?」を考えると、実際には、「ロシアや中国などが、グローバル共同体へ参加した事実」が指摘できるとともに、今後は、その反動として、「デリバティブと世界債務の完全崩壊」も視野に入ったものと想定されるのである。
別の言葉では、「お金の根本」である「信用」については、「共同体の規模」が基本であり、今までは、「西ローマ帝国の崩壊」以降、「約1600年」という時間をかけて、現在の「金融ツインタワーの形成」へと繋がったことも見て取れるのである。そのために、現在の「世界的な分裂状態」については、「シュペングラー」が、100年前から指摘していたとおりに、「世界の貨幣を破壊する効果」が存在するとともに、「唯物論を基本にした西洋文明」そのものの終焉を意味するようにも感じられるのである。
より詳しく申し上げると、「成長のフロンティア」が、「物質的なものから精神的なものへと移行を始めている可能性」でもあるが、この点については、現在の「量子力学」が象徴的な存在とも言えるようである。つまり、「デジタル的な分析からアナログ的な分析への移行」であり、実際には、「時間と空間との関係性」に関して、以前の「物理学」と同様に、「4次元から5次元、あるいは、それ以上の次元にまで高まっていく展開」のことでもあるが、この時にキッカケとなるのが、今後の「マネーの消滅」のようにも感じている。(2023.4.17)
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ハイパーインフレによる貨幣の破壊
今から100年以上も前に著わされた「西洋の没落」において、シュペングラーは、「西暦2000年前後からの特徴」として、「大都市における少子化や大規模な建築物、そして、民主化と貨幣」などを挙げている。そして、これらの点については、驚くほどの正確さで実現している状況とも思われるが、より注目すべき事実は、今後の展開として、「貨幣の破壊、あるいは、敗北」が指摘されている点である。
より具体的には、「完成した皇帝主義」による「貨幣の破壊」のことだが、実際には、「軍事力や資金力、あるいは、政治力に裏打ちされた権力者が、金融システムを崩壊させる展開」のようにも感じている。別の言葉では、「お金の根本」とも言える「信用」に関して、「共同体の規模」が大きな意味を持っており、実際には、「共同体の規模拡大により、マネーの残高が増える状況」を表している状況のことである。
つまり、「西暦2000年」というのは、「文明法則史学」が指摘するとおりに、「西洋文明の絶頂期」であり、実際のところ、「米国を中心にしたマネーの大膨張」に関しては、人類史上、未曽有の規模となったことも見て取れるのである。別の言葉では、「1991年のソ連崩壊」をキッカケにして、それまでの共産主義諸国が、資本主義諸国の金融市場に参入した結果として、「デリバティブのバブル」が発生した状況のことである。
そして、「3月から始まった米国の金融危機」に関しては、これほどまでの背景が存在するものと思われるために、決して、短期間で終了するとは考えず、反対に、「ハイパーインフレによる貨幣の破壊」までをも憂慮する必要性があるものと感じている。つまり、「1971年から始まった、信用本位制と呼ぶべき、人類史上未曽有の通貨制度」に関しては、シュペングラーが示唆するとおりに、今後、「デジタル通貨の完全破壊」も想定すべき状況とも思われるのである。
ただし、この時の救いとしては、やはり、「11次元にまで進化した自然科学」が挙げられるが、実際には、「量子力学」や「分子生物学」、あるいは、「人工知能」などを活用して、「3次元に留まっている社会科学の次元上昇を図ること」である。別の言葉では、すでに始まった「知能と貨幣との政治の終末」を理解しながら、「これから、どのような時代が訪れるのか?」を考えることであり、この時に、大きな助けとなるのが、「時間のサイクル」を表す「文明法則史学」あり、また、「時間と空間との関係性」を表す「東洋の易経や四柱推命」だと考えている。(2023.4.18)
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二種類のデジタル通貨
記録的なハイパーインフレに悩まされた「ジンバブエ」は、現在、「金を裏付けにしたデジタル通貨の発行」を計画中であると報道されているが、この方法については、「中国などが目論んでいる人民元のデジタル通貨」と同様の仕組みとも言えるようである。しかし、一方で、「BIS(国際決済銀行)」を中心にして、西洋諸国が考えている「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」に関しては、現在の通貨制度と同様に、「何の裏付けのない通貨」となる可能性が高まっているものと感じている。
このように、現在では、「二種類のデジタル通貨」が議論されているものと思われるが、この時に必要とされることは、「お金(マネー)の根本」を理解することであり、また、「お金(マネー)の価値と形態が、どのような歴史を辿ってきたのか?」を認識することである。つまり、約5000年前に発明されたと言われる「お金(マネー)」については、その後、さまざまな紆余曲折を辿って来たわけだが、基本的には、「1971年のニクソンショック」までは、「金(ゴールド)そのものが、お金(マネー)である状況」か、あるいは、「金を本位とした通貨制度」だったことも見て取れるのである。
しかし、現在では、「信用や錯覚だけを本位とした、信用本位制と呼ぶべき通貨制度」が、世界的に広がった結果として、「ゼロ金利やマイナス金利などが発生する、きわめて異常な金融情勢が、世界的に形成された状況」だったことも理解できるのである。別の言葉では、「唯物論を追い求める西洋文明」の末期状態として、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」と同様に、「パンとサーカスの生活」や「巨額な財政赤字がもたらすインフレ」などが、世界的に発生したものと考えられるのである。
そのために、これから必要なことは、「お金(マネー)の量は、共同体の規模により決定される」という事実を理解しながら、現在の「東西冷戦状態」を認識すべき状況とも想定されるのである。つまり、いまだに存在する「史上最大のバブル」、すなわち、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」に関しては、「中国やロシアなどの旧共産圏諸国の市場参加が作り出した産物」とも言えるために、現在では、すでに、「存続基盤が失われた状況」となっているものと考えられるのである。
より具体的には、間もなく、発表が想定されている「さまざまなCBDC」に関して、「世界中の人々が、どのように理解し、かつ、どのような反応を見せるのか?」を、冷徹な目で観察する必要性があるものと感じている次第である。(2023.4.25)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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