くらしを見つめる会つーしん NO.226から 2023年6月発行
- 2023年 6月 19日
- 交流の広場
- 村山紀久子
原発は、どこにもあってはならない
12年前、私は東京に住んでいた。3月11日の地震により東京電力福島第一原発事故が起きた。
原発の危険性は知っていたのに、本当に事故が起こるとは考えていなかった自分を責め、世界が暗転したかの様だった。置き去りにされ餓死した馬が、大きく目を開けたまま引きずられて、口から流れ出た液体の跡が一筋残る映像が頭から離れず、怖くてTVも見られなくなった。放射性物質に赤い色が付いていれば、ガス漏れみたいに皆に判るのにと願いながら、嘘の電力不足で暗くなった街を鬱々と歩いた。終の棲家のつもりで手に入れ、週末に有機無農薬で畑をしていた千葉県の家は、線量が高く行く気持ちになれなかった。
震災から約1年後、やっと線量を図り除染の真似事を始めた。近くの児童公園や校庭は、年1ミリシーベルト超えの為、すでに除染が行われ一角にブルーシートの山ができていた。向かいの家は足場を組んで壁面を高圧洗浄したが、下水など無い農村地帯ゆえ、汚水は我が家の浅井戸近くの道路へと流れ出し、田んぼから水路へそして水道水源の印旛沼(浄水場をへて148万人へ供給)へと流れていく。
使い捨ての雨具とマスクを身に着け、落ち葉を集め、畑の一角にあった蕗や茗荷を引っこ抜く。今までは堆肥や食料として役立っていたのに、捨てる場所も無い疎ましい存在になった。畑は深く耕して土を反転させた。放射性物質の付いた庭木や垣根を刈込む作業は、シルバー人材センターの方の被ばく労働無しにはできない。切った樹を軽トラで処分場へ捨てに行ったおじさんは「奥さん良かったよ。0.22マイクロシーベルトだった。0.23以上なら引き取ってもらえなかったよ」と帰ってきた。「処分場では、その木をどうするのか」と尋ねると、公園の通路に敷くチップや、堆肥に加工するとの事。
「除染」なんてできない。被ばくしながら被ばくさせながら、自分さえ良ければと放射性物質を移動させるだけだった。2015年の測定では、空間線量は下がったが、庭土は1㎏あたり580ベクレルだった。
定年後に京都府へ移住したが、関西電力は東電よりも更に問題を感じる。このままでは、原発事故はいずれ起こると思う。原発は、どこにもあってはならない。 西澤雅子
―― 中略 ――
♬こんな本いかが?
「死刑について」 平野啓一郎著 岩波書店
死刑は究極の自己責任論と著者。罪を犯す人は、虐待されたり社会的な環境に恵まれない人が多い。過酷な環境で頑張って生きている人もたくさん居るけれど、犯罪者を殺して終わりでは社会は変わらない。また、冤罪とわかっていても認めようとしない警察。時に証拠を捏造さえする酷い捜査の実態を知り、何もしていないのに犯罪者にされ死刑にされる理不尽と恐怖を自分事として想い「人を殺してもいい社会にするのか」と問う。
重要な指摘と思ったのは「日本においてこれほど死刑が支持されているのは人権教育が失敗しているから」との指摘。日本の学校では人権を権利として概念的に説明するのでなく「相手の気持ちになって考えましょう」と感情教育をしている。共感は大切だが、いじめられている子が生意気だとか、いじめられるのは被害者に原因があると考え、被害者に「共感」できないと、いじめてもいいということになってしまう。被害者にどんな理由があろうと人権侵害はいけない。これは死刑にも通じる(どんな理由があろうと殺してはいけない)、と。「憎しみ」の共同体から「優しさ」の共同体へ、死刑を考えることは社会の在り様も考えること。本著には考えるヒントがたくさん詰まっている。
編集後記
5月15日NHKニュースウォッチ9で、「ワクチン接種後」に亡くなった遺族を「コロナ」の遺族として紹介する映像が流されました。ご遺族はワクチン接種後に亡くなった家族について会見してもマスコミで取り上げられず、ネット上では「デマだ」などと誹謗中傷も絶えません。ご遺族が勇気をもって取材を受けたのは、ワクチン接種による被害を事実として知ってほしい、これ以上の被害を防ぎたいとの思いからです。そうした思いを踏みにじり、捻じ曲げて報道したNHK。謝罪しましたがNHKは検証番組を放送すべきです。これはNHKだけの問題ではありません。ワクチンに関するデメリット情報は、接種後の死亡や後遺症、接種した人の方が感染し重症化しているデータなど、YouTubeでも削除され、一般紙や地上波ではほとんど報道されていません。厚労省はデータ改ざんまでしています。
気になるのは(平年の死者数から予測した数字より多い)超過死亡。ワクチン接種が始まった2021年は6万7千人増、2022年は約13万人増で、2023年も異常に増えています。人口動態統計の予測は的確で、東日本大震災を除いて数万単位の増加は過去一度もありませんでした。新聞などではコロナ死を除いてもコロナ関連死ではと分析していますが、ならばワクチン接種で重症化が防げたはずの高齢者が何回も接種しているのに何故そんなに亡くなるのでしょう。公開されたファイザー社の副反応は1291種。循環器系や免疫疾患が多く、接種後死者の死因も心不全や血栓等循環器系が群を抜いています。解剖医が死因はワクチンと診断しても因果関係不明とし、ワクチン接種者と非接種者のその後の健康状態の比較など何の検証もせず、データを取ることさえ止めている厚労省。他国では高齢者等に限っている4回目以降のワクチン接種を、若い人や子どもにまで定期的に接種しようという日本。今年5月にはワクチン2回目接種後に心筋炎で死亡した14歳の中学生は司法解剖の結果ワクチンによるとの論文が出されました(4月には1歳児も接種後に死亡)。死に至らなくても重篤な健康被害の訴えも多数あり、ワクチンによってどれほど多くの人生が狂わされたか知れません。それでも、まだ、メリットばかり強調し、実際起きている問題を隠すようにして接種を勧める政府や医者、マスコミはあまりに無責任ではないでしょうか?NHKに限らず、ある被害を無いことにしてはなりません。ワクチン接種は一旦中止し、徹底的に事実を明らかにして検証し、被害者にはせめて補償をと求めます。 (きくこ)
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