SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】561 「神は瓦礫の中」
- 2023年 12月 30日
- 時代をみる
- イスラエルガザバイデン平田伊都子西サハラ
「神様はどこ?」黒いアバーヤ(民族衣装)を灰塵まみれにされたガザの女性たちは、カメラに向かって叫びました。「神なんてどこにいるんだ?」と、ガザの老人も訴えました。
人々の背後ではイスラエル軍の爆弾がさく裂し、イスラエル狙撃兵の銃弾が頭をかすめていきます。 ガザの人々は命がけでカメラに訴えます。 世界の人々に訴えます。
神に訴えます。
ガザでは一日約200人をイスラエル軍に虐殺されています。 230万人ガザ住民の9割以上が、家を追い出され、避難民になりました。
① 「Stop the Genocide(大虐殺を止めろ)!」:
「<主はどこにおられるのだ?>と、イスラエルの大虐殺が続く中で、絶望的になったガザの人々は神に助けを求めました。神はガザの瓦礫の中におられます。神はガザの御子として、復活されました」と、イスラエル占領下のベツレヘムにあるイエス生誕教会のクリスマスミサで、ムンサー・イサック牧師はパレスチナ人キリスト教徒に語り掛けた。祭壇の右側には、飼い葉桶の代わりにガザの瓦礫が、赤子イエスの代わりにパレスチナの旗をまとった人形が飾られていた。イサック牧師は時折その飾り物に目をやりながら、「イスラエルが武器を持たないガザ市民を虐殺する理由に<自衛権>をかざすのは、大きな過ちだ。<自衛権>を理由に2万人以上の非武装の市民を虐殺することは、法的にも道徳的にも宗教的にも断じて許されない」と、イスラエルの大虐殺を厳しく非難した。
さらにイサック牧師は、「沈黙することは、イスラエルと同罪だ」とし、「Stop the Genocide(大虐殺を止めろ)!」と、叫んだ。そして、例年のクリスマスの言葉ではなく、「Stop the Genocide(大虐殺を止めろ)!」とのシュプレヒコールを信徒に促した。ちょっと戸惑っていたパレスチナ人キリスト教徒たちも、虐殺に晒されているガザの人々のために、「Stop the Genocide(大虐殺を止めろ)!」と、声を張り上げた。
イエスキリストの生誕地ベツレヘムは、毎年、イスラエル兵の厳しい検問をものともせず、世界中から信者と観光客が集まってくる。が、イスラエル軍のガザ侵攻が続く今年は、ベツレヘム市当局は虐殺されたガザ市民を悼んで、一切の祭事を取り止めた。
イスラエル軍の砲火に晒されているガザで、毎日、平均5人の神の子が誕生している。
イマン・マスリ(28)さんは、住んでいたガザ北部からイスラエル軍に追い出され、徒歩でたどり着いた中部ヌセイラット難民キャンプの病院で、12月18日、帝王切開で娘のティアちゃんとリンちゃん、息子のヤセル君とムハンマド君の四つ子を出産した。 が、出産直後に、負傷者がなだれ込んできて、赤子ともども病院を出るように言われた。現在はムハンマド君以外の3人とともに、親族50人が身を寄せるデイルアルバラの学校の教室で生活している。1000グラムに満たないムハンマド君だけは、病院に残してもらえた。
日本の外務省によると、パレスチナ全人口(西岸とガザ住民548万人+難民639万人)1,187万人の92%はイスラム教徒で、7%はキリスト教徒、1%はその他とある。イスラエル全人口約950万人のうち74%がユダヤ教で、18%がイスラム教、2%がキリスト教、残り1.6%がその他とされている。
② 「Stop the arms industry(武器製造をやめろ)!」(ローマ法王):
2023年12月25日のバチカン・ニュースによると、イエスキリスト降誕の25日正午に、教皇フランシスコ(ローマ法王)が聖ペトロ大聖堂の中央バルコニーから「今日、ベツレヘムにおいて、地上の闇の間に、消すことのできない炎が灯りました。」との、クリスマス・メッセージを述べたとある。メッセージの後半は、ガザ戦争から、武器製造反対にまで及んでいる。
「戦争に、、、弁解できない狂気に、<ノー>と言うことです。しかし、戦争に<ノー>と言うためには、武器に<ノー>と言わねばなりません。なぜなら、定まらない傷ついた心を持った人間が、死の道具を手にすれば、いずれはそれを使うだろうからです。また、武器の製造、売買、取引が増えるならば、どうやって平和を語ることができるでしょうか。今日、ヘロデ王の時代のように、神の光に逆らう<悪の計略>が、偽善と隠蔽の陰で動いています。どれほどの武力による虐殺が、耳をつんざく静寂の中で、多くの人が知らぬ間に行われていることでしょうか。人々は武器ではなく、パンを求めています。日々の生活の維持に苦労し、平和を願っています。しかし、人々は軍備にどれだけの公的な資金が費やされているかを知りません。本来それを知るべきなのです。戦争の糸をあやつる利害や儲けが人々の知るところとなるように、それについて語り、記すべきなのです」(ローマ法王)
ユダヤ教のゼレンスキー閣下は、12月28日、キリスト教のローマ法王に電話をかけた。
平和を連呼する日本は、異教のスーパートップが発信した教えに耳を傾けるべきだ。戦争大国で武器大国のアメリカが命じるまま,12月19日、日本政府は6,500憶円のウクライナ戦争拠出金を発表した。12月22日、日本政府は米国側の要請を踏まえ、防空用の地対空誘導弾パトリオットを送る事を決定した。我々庶民は、「武器提供、日本政府ありがとう」と、サリバン米大統領安全保障担当補佐官の記者発表で、憲法違反事実を知った。庶民には全く知らせず、勝手に日本国憲法が戒めている武器製造や武器供与を内閣閣議だけで決めてしまうという、非民主的な独裁政治が横行している。
一方、沖縄では沖縄県民による「辺野古埋め立て反対」の声を無視して、国が勝手に承認する<代執行>をかざして、2023年12月28日からイスラエル式に強制執行する。
日本には、民主主義も主権在民も存在しない。
③ バイデン政権が仕掛ける戦争:
キリスト教カトリックのバイデン米大統領にとって、ローマ法王の<武器にノー>という呼びかけは、<馬の耳に念仏>のようだ。せっせと武器を作り作らせ世界を戦場にしようと懸命だ。
ロイターが12月9日、「米国防総省は9日、バイデン政権がイスラエルに戦車用砲弾約1万4千発を売却する計画を承認した。緊急権限を行使し、議会審査を省略した。」と発表した。武器拡散の為には議会を無視するようだ。
イスラエルのネタニヤフ首相は和平達成の条件として、ガザの「非武装化」とパレスチナ社会の「脱過激化」、パレスチナのイスラム組織ハマスの壊滅を挙げた。ネタニヤフはガザ非武装化のためには境界に安全地帯の設置とエジプト国境での検査開始が必要だと主張した。
パウラ・ガビリア・ベタンクールOCHA(人権高等弁務官事務所)特別報告者は、「イスラエルはパレスチナ人に対してガザ北部から南部への避難を命じることで南部の安全を約束したにもかかわらず、その約束を破った、、、住民はガザ南部の住民と共に再び避難を強いられている、、イスラエル軍の作戦の狙いは、民間人の大多数を集団で国外追放することにある」と、12月22日に声明を出した。
これに対してイスラエル政府報道官は、「ガザ地区の集団避難を促しているのは、自分たちを「難民」と偽って、イスラエルとの暴力闘争を支持する輩だ」と弁明した。
バイデン米大統領はガザ戦争当初からネタニヤフ戦争内閣を全面支持し、ガザ市民の後にはハマスがいると、ガザ爆撃を容認してきた。ハマスを支援するフーシ派やイランへの威嚇だと、アメリカの空母を他国の領海に展開させている。
アメリカ中央軍は、紅海の南部で26日早朝からの10時間に、フーシ派によって発射された無人機12機、弾道ミサイル3発、それに巡航ミサイル2発を撃墜と発表した。アメリカは有志連合を創設し、各国の海軍とともにこの海域の航行の安全を守ろうと画策している。<有志連合>とは、イラク戦争でブッシュ元大統領が使った忌まわしい<悪の計略(ローマ法王の言葉)>用語だ。
そして、12月25日、バイデン現大統領は親イランの民兵組織「カタイブ・ヒズボラ」と、その関連組織が使用しているという理由で、イラクの3つの軍事施設を空爆した!
2023年は西サハラ難民キャンプも、「即時停戦」、「大虐殺止めろ」と、ガザ難民避難民への連帯の叫びで包まれました。
2024年には、西サハラの庇護国アルジェリアが国連安保理非常任理事国になります。
パレスチナと西サハラを変わらず支援するアルジェリアに、乞うご期待!
西サハラ難民と被占領民の人々に、HAPPTY NEW YEAR !!
右にパレスチナ国旗、左に三日月と星を付け足した西サハラの国旗
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年12月30日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔eye5172:231230〕
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