SJJA& WPO【西サハラ最新情報】593 広島長崎被爆記念式典に不参加の国連事務総長
- 2024年 8月 10日
- 時代をみる
- EUG7原爆国連平田伊都子被爆記念式典西サハラ
やっぱり、今年も国連事務総長は、広島長崎被爆記念式典に来ませんでした。 パリ・オリンピックに参加した後は<夏休み>と、国連事務総長報道官が発表しました。
「現在も、世界中で戦争は続いています。強い者が勝つ。弱い者は踏みにじられる」と、招待したイスラエル大使を前にして、湯崎広島知事が語りました。(拍手!)
鈴木長崎市長はイスラエル駐日大使を被爆式典に招待しませんでした。 それに抗議して、エマヌエル・ユダヤ系アメリカ駐日大使は式典参加を見合わせました。 フランス、イタリア、カナダの駐日大使も同調しました。(スタンディング・オベイション !!)
しかし、今年も、原爆を落として広島市民を大量虐殺したアメリカを、誰も非難しませんでした。
① 国連パレスチナ難民救済事業機関の職員9人をイスラエルに売った国連事務総長:
広島被爆記念式典の前日、8月5日の国連定例記者会見で副報道官が、「OIOS(内部監視サービス局) は、2023年10月7日にイスラエル南部の武力攻撃に関与したという疑惑について、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWAアンルワ)の現地スタッフ19人に対する調査を完了した」と、発表した。ガザの殲滅を目論むイスラエルは、空爆と地上攻撃でガザ住民を大虐殺するだけでなく、病院や学校を含む殆どの建物を破壊し、ガザへの物流を止める飢餓作戦を断行し、ポリオ(小児麻痺)やコレラなどの病原菌を撒き散らせてきた。さらにイスラエルは、ガザの市民生活を支えてきた国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWAアンルワ)の現地スタッフにテロリストのレッテルを貼り、アンルワの壊滅を企んだ。
国連事務総長副報道官が、「「OIOSは、1つのケースに関して、関与の主張を裏付ける証拠を得られなかったとした(既に死亡?)。9つのケースに関して、OIOSが入手した証拠では、スタッフの関与を裏付けるに不十分だとした。残りの9件については、OIOSが入手した証拠に基づくと、2023年10月7日の武力攻撃に関与していた可能性があることが示されている」と、報告した。<OIOS が入手した証拠>とは、国連が独自で調査したものではない。「OIOS はイスラエルを訪問し、イスラエル当局が保有する情報を受け取った。イスラエル当局が主張を裏付けるために使用した情報で、イスラエルが厳重に保管している。OIOSは提供された情報のほとんどを、独自に認証することができなかった」と、副報道官は、テロ行為の嫌疑をかけられた9人の証拠は、イスラエル当局によるものとした。
「イエスかノーで答えてね。この調査報告書を個人的に読んだことがあります?」と、デジ記者が聞くと、「ノー」と、副報道官は答えた。
国連事務総長はイスラエルから渡された証拠を基に、9人のテロ関与を認め国連から追放した。国連事務総長は、部下をイスラエルに売り、イスラエル軍門に下ってしまった。
OIOS(内部監視サービス局)は、国連およびその加盟国における不正行為や浪費・乱用・違法行為・不正管理などについて監視・調査を行う国連内部の監査機関で、警察権はない。
② <自由・平等・友愛>:
<自由・平等・友愛>はフランス共和国の標語で、フランス革命期(1789年ごろ)のスローガンの一つだったそうだ。
2021年の東京オリンピックを目指したが、途中で断念した西サハラ難民長距離ランナー・サラーは、「<自由平等友愛>を看板にしているから、僕はフランスに亡命した」と、語っていた。彼は、「フランスは自由と独立を求める西サハラのシンパだ」とも言った。そして、サラーは2021年にフランス人になり、2023年に結婚して子供を授かった。サラーにとってフランスは<友愛>の国だったかもしれない。
しかし、マクロン現フランス大統領は、西サハラとの<友愛>を裏切った。
7月30日のモロッコ王室声明によると、「フランス大統領はムハンマド六世国王陛下へのメッセージで、<サハラの現在と未来はモロッコの王権の枠組みの中にある>、、彼の国(フランス)は<国内的にも国際的にもこの立場に沿って行動するつもりである>と主張した」と、ある。
パリ市長のアンヌ・イダルゴは、サハラ砂漠に対するモロッコの王権を支持するというマクロン仏大統領の決定を歓迎した。「サハラに関する決定は良いものです、、なぜならそれはモロッコとの新たな対話を開くから」と、8月1日(木)の夜、フランスのLCIチャンネルでイダルゴは述べた。さらにパリ市長は、「私はフランス語を話す国際市長協会の会長を務めており、ラバト、カサブランカ、マラケシュなどのモロッコ市長と新しい章を書くことができてとてもうれしいです」と、語った。第二次世界大戦前と大戦後を通して、フランスはフランス語教育を中心にした<フランス中華思想(なんでもフランスが一番)>を、フランス植民地に押し付けてきた。そのフランス中華思想の復活なのか?
マクロン仏大統領は、マリ、ニジェール、チャドと、かってのフランス植民地から追い出された。加えて、フランス自治州ニューカレドニアでは、現地住民の反発を食らっている。マクロンは、モロッコ自治州西サハラをフランス自治州ニューカレドニアとゴッチャにしているようだ。
③ オマル国連西サハラ代表・MINURSO(ミヌルソ国連西サハラ人民投票監視団)担当者:
ポリサリオ戦線西サハラ政府国連代表であり、MINURSO(ミヌルソ国連西サハラ人民投票監視団⁆(MINURSO)のコーディネーターであるシディ・モハメド・オマル博士は、西サハラの<モロッコ自治計画>を利用するフランスを糾弾した。
国連ニューヨークのオマル博士が、アルジェリアの西サハラ難民
キャンプTVのインタヴューに答えている
木曜日のサハラウィ難民テレビとのインタビューでオマル博士は、「モロッコの西サハラ自治を認めるという、最新のフランスの立場は、本質的に新しいものではない」と、述べた。そして、「フランスはもともと、西サハラの人々の独立運動を快く思っていなかった」と、フランス植民地主義の根深さを説明した。フランスはモロッコによる西サハラの植民地化を陰で支持し、国連安保理でも、西サハラの人々を守る提案や国連西サハラ人民投票を推進する議案が出されると、ことごとく、フランスは、安保理常任理事国の拒否権を出して潰してきた。アメリカが安保理でイスラエル非難決議を、拒否権で葬るのと同じだ。
オマル博士は、「フランスが公然とサハラの人々に対する攻撃的な姿勢を示したことで、MINURSO(ミヌルソ国連西サハラ人民投票監視団)の参加を含む、西サハラの脱植民地化に関連する国際的な取り組みとのいかなる繋がりも、我々は完全に断ち切る」と、西サハラ難民政府の立場を強調した。
彼はさらに、「国連は、ステファン・デュジャリック事務総長公式スポークスパーソンを通じて、西サハラに関する国連の取り組みは安全保障理事会の決定に従って継続するという立場を表明した」と、述べた。
8月6日、オマル博士は筆者へのメールでも、フランスとSADRサハラウィ・アラブ民主共和国との否定的な関係を語った。「SADRサハラウィ・アラブ民主共和国政府は、フランス大統領の敵対的で挑発的な言動で、フランスが西サハラ脱植民地化のための国際的な取り組みから、自ら完全に撤退したと判断した。SADR サハラウィ・アラブ民主共和国は、フランスを占領者モロッコと同じに扱い、MINURSO(ミヌルソ国連西サハラ人民投票監視団)への参加を含め、フランスが西サハラ問題に関与することを拒否する」と、SADRサハラウィ・アラブ民主共和国の心意気を綴ってくれた。
グテーレス国連事務総長は2017年の就任当時、<弱い者の味方>を、連発していた。アルジェリア西部の砂漠で、ひたすら国連西サハラ人民投票を待っている<西サハラ難民の味方>を、忘れないでください。
湯崎広島知事による広島被爆記念式典での名演説を続けます。
「男も女も子供も老人も銃弾で撃ち抜かれ、あるいはミサイルで粉々にされる。国連が作ってきた世界の秩序の守護者たるべき大国が、公然と国際法違反の侵攻や力による現状変更を試みる、、それが現実です」
鈴木長崎市長は,「唯一の戦争被爆国である日本の政府は、核兵器のない世界を真摯(しんし)に追求する姿勢を示すべきです。そのためにも一日も早く、核兵器禁止条約に署名・批准することを求めます」
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2024年8月10日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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