本間宗究「ちきゅうブッタ斬り」(16)
- 2012年 1月 13日
- 評論・紹介・意見
- 2012本間宗究金融
2011年を振り返って
2011年は、「辛卯(かのと う)」という年であり、「血を見るような大事件」が起きることを想定していたが、ご存じのとおりに、「3・11の大震災」により、「日本」は、きわめて悲惨な状態に陥ってしまった。また、「9月」に、はっきりと見えてきたことは、「タイの大水害」であり、「ギリシャ発の金融大混乱」でもあったが、これらの出来事が意味することは、「3・11の海津波」と「9月の山津波」という、「二つの大天災」でもあった。つまり、「天災は、天の警告である」と考えているのだが、実際に、9月から始まったことは、「最後通告」が出されることにより、「ギリシャの国家破綻問題」という、「信用崩壊の波」が、世界を襲い始めたということだったのである。
そして、この時に、はっきりと見えてきたことは、「2001年」に、「3・11事件」と「9・11事件」という、「二つの人災」が起き、その後に、「権力の暴走」と「金融の大膨張」が起きたということだった。具体的には、「2001年の3月11日に、バーミヤン遺跡で、二つの巨大な石仏が破壊され、また、9月11日には、アメリカで、二つの金融を代表するビルが破壊された」ということであり、その後に、「デリバティブ」や「世界的な借金残高」が「未曾有の規模で大膨張した」ということである。
このように、「2011年」に見えてきたことは、「原発事故」からも明らかなように、「政府や官僚は、国民を犠牲にして、自己保身を図っていたのではないか?」ということであり、このことが、「世界的なデモや反乱」という形で、年初から、広がりを見せたということである。換言すると、「1%の人々が、99%の大衆を、金融で支配していたのではないか?」という疑念が浮かび上がり、結果として、「世界的な金融システムや通貨制度が、大きな混乱状態に陥った」ということである。
具体的には、現在、「二つの、目に見えないツインタワー」が、世界に存在しており、それは、「日米の国債ツインタワー」であり、また、「米英のデリバティブ・ツインタワー」のことである。具体的には、「約2京5000兆円のデリバティブ」を、米英が、依然として保有し、かつ、「約1000兆円の国家債務」を、日米が保有しているということである。そして、これらの問題が片付かない限り、金融混乱は収束せず、ますます、広がりを見せていくという点も、世界的に理解され始めたようだが、最も重要な点は、現在、「世界的な金融大戦争」が繰り広げられているということであり、実際には、「デリバティブや国債を守ろうとする陣営」と「金(ゴールド)を信用する陣営」との間で、熾烈な戦いが繰り広げられているということである。(12月8日)
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干支から見る2012年
2012年は、「壬辰(みずのえ たつ)」という暦になる。そして、「壬」が意味するのは、「妊」であり「任」であるが、具体的には、「新たな時代が孕まれる」ということであり、また、「新たな人が任用される」ということである。また、「辰」が意味するものは、「振」であり「震」になるが、実際には、「世の中が、激震状態になる」ということや、「人々の意識や行動が、大きく振れる」という状況が考えられるようである。また、「壬辰」に「女編」を付けると「妊娠」という言葉になるように、今後は、「金融大崩壊が起きるものの、一方で、新たな時代が姿を見せてくる」という状況も想定できるようである。
そして、これらのことを、今までの流れに当てはめてみると、現在の最も大きな問題は、やはり、「世界的な金融大混乱」であり、「ギリシャ発の信用崩壊の波が、世界中に行き渡る」という可能性のことである。具体的には、現時点で存在する「世界的な借金爆弾」が、「世界の至る所で破裂し、人々は、大慌ての状態になる」ということだが、この点については、「日米英の国債やデリバティブ」の他にも、「日米の地方債務」、「世界的な民間銀行債務」、そして、「先進国の年金や健康保険」というように、今までは、「すべての債務が先送りされ、低金利により隠されていた状態」だったのである。
このように、今回の「信用崩壊の波」については、きわめて重大な意味が存在し、すでに、「世界の金融システムは、コントロール不能の状態に陥っている」とも言えるのである。そして、「2012年には、さまざまな問題が、一挙に、表面化する」という状況が想定されるのだが、このことは、「今までの異常な状態が終焉する」ということであり、かつ、「新たな時代が、水面下で、姿を見せ始める」ということである。
そして、「3・11の大震災」以降、「日本人が、どのような態度を取ったのか?」ということが、今後、大きな参考になるものと考えているが、具体的には、「金融の焼け野原」の状態に陥った時に、「世界中の人々が、お金の呪縛から解き放たれる可能性」のことである。つまり、その時には、「人々が助け合いながら、新たな時代を形成する」という状況のことだが、このことは、「1991年のソ連崩壊」の時にも、同様のことが起きたのだった。具体的には、「人々が、お互いに、協力し合うことにより、ほとんど餓死者が出なかった」という状況であり、このことは、「お金」というものが、実は、「人々の絆」を分断する効果があったということである。換言すると、「過去40年間の信用本位制」の時代には、「お金」の量は、未曾有の規模で拡大したものの、実際には、「なにも信用できない社会が生まれ、結果として、現在の混乱が発生した」ということである。(12月8日)
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海千山千の政治家
「言葉」には、時間の経過とともに、「反対の意味」として使われる傾向があるが、このことは、本来、「良い加減」という意味の言葉が、現在では、「いいかげん」という「でたらめ」という意味に使われていることなどである。そして、このような例としては、その他にも、「海千山千」という言葉が挙げられるのだが、現在では、「世の中の表も裏も知り尽くした、ずるがしこい人」として理解されているのである。
しかし、本来は、「海に千年、山に千年住んだ蛇が龍になる」という意味を持っており、決して、「ずるがしこい」という意味は持っていなかったことが理解できるのである。より詳しく申し上げると、「中国の言い伝え」として、「四神」というものが存在し、具体的には、「東の青龍」、「西の白虎」、「南の朱雀」、そして、「北の玄武」のことであるが、その中心に、「黄龍(別名、金龍)」が存在するというものである。
そして、この「黄龍」が出現するためには、「海で千年、山で千年、修行する必要がある」と言われており、時期としては、「千年に一度の大震災」などの後で、「世に出て、人々を救う」とも信じられているのである。つまり、「世の中が大混乱の状態に陥ると、本当の意味での、海千山千の人々が必要とされる」ということだが、このことは、「数多くの実践により、世の中の裏も表も知り尽くした人々」ということである。
そして、このことは、特に、「政治家」に望まれることでもあるようだが、現在の野田首相を見てみると、「社会で揉まれた実践経験は、ほとんど無く、単に、言葉だけが先行している政治家」とも言えるようである。そして、「現在の苦境から脱出するためには、増税しか方法が存在しない」と教え込まれているようだが、かりに、消費税率を上げたとしても、「国家債務」が減少するわけではなく、「単に、時間稼ぎができる状況」とも言えるのである。
つまり、「問題を大きくするだけであり、その後の反動が厳しくなる政策」ということだが、結局は、「増税は、誰のためのものなのか?」という疑問点を、国民の間に、急速に広めた政治家でもあったようである。そして、「国民」のみならず、「民主党の内部」においても、「意見の集約ができない首相」とも言えるようだが、実際には、「不退転の決意」とやらで「政治の暴走」を企てているのである。しかし、このことは、「政治の機能不全」を促進する効果しか存在せず、また、「世の中の大混乱」を加速することが考えられるようだが、一方では、このような時が、「黄龍」の出現時期とも考えられるようである。(1月6日)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0750:120113〕
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