原発で大事故が起きても避難などできません
- 2014年 2月 17日
- 交流の広場
- 田中一郎
下記は関西の脱原発市民団体のHPに掲載された原発事故時の避難計画に関する簡
単なレポートです。ご覧になれば即座にお分かりの通り,原発が大事故を起こした場
合には,周辺住民は避難などできるはずもないことがよく分かりますし,また,国や
電力会社が周辺住民の(避難を含む)身の安全のことなど歯牙にもかけていないこと
も分かります。
原発過酷事故時の避難計画など,何のリアリティもない,バカバカしい作文・塗り
絵にすぎません。それはまるで,アジア太平洋戦争下の大日本帝国が,米軍の本土攻
撃に対して備えた「本土決戦作戦」といい勝負の,全くの「お笑い草」のよもやま話
の類です。原発大事故時には,かような避難計画を持ち出すよりも,イワシの頭に向
かって数珠をすり合わせる方が,よほど見識があると言える代物です。
●美浜の会HP
「電力会社の重大事故シナリオでは、避難できない 2月5日政府回答で明らかに
(2月10日)」
http://www.jca.apc.org/mihama/
(原子力ムラ・放射線ムラの人間達にとっては)要するに,原発周辺の地域住民な
ど,つかみ金で買収しておけばそれでよろしいのであって,あとは自民党の原子力ム
ラ代理店業務員に尽力してもらい,原発の再稼働を強引に推し進めて行けばいい,原
子力「寄生」委員会・「寄生」庁は,そのための「安全確認審査」の儀式=再稼働の
ためのすそ払いをやるところであり,適当なタイミングを見計らって「十分な審査を
行ったので,安全性は格段に高まった」と,のたまわってくれればいい,ということ
を暗黙に示しているのです。
もちろん,原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は,各原発立地地域の原子力防災計
画=過酷事故時の避難計画について責任を持たず,地元自治体に丸投げをしていま
す。その地元自治体は,絵に描いた餅のような計画をつくり,その中に「公共土建事
業」や「ハコモノ建設」など,かねてよりの利権事業を織り込むことで,原発タカリ
対応を展開し,電力会社や政府の意図どおりに地域住民の命と健康を棚上げにして,
つかみ金で喜ぶという,これまで繰り返してきた醜悪なる「地方原子力政治」を繰り
返します。いざとなったら,国が助けてくれる,まだ,かようなことを固く信じてい
るのかもしれません。
そして,原発・核燃料施設の過酷事故は必ず起きます。しかも今度は,福島第1原
発のように「不幸中の幸い」ではすまない,日本という国を滅ぼす規模の巨大事故に
なるであろうこと必至です。原発・核燃料施設を止めるのは「今しかない」のです。
地域住民は,原発が再稼働したら最後,そのまま地獄への片道切符となることを覚悟
した方がいいでしょう。そして,遠く離れているから大丈夫だなどと思っている大都
市住民もまた,同じ運命にあります。およそこの狭い島国日本に,原発・核燃料施設
の過酷事故から安全な地域など存在しないのです。
いよいよ原子力ムラ・放射線ムラとの原発再稼働を巡る「最終戦争」の一つの山場
が訪れようとしています。山の上から模様眺めをしながら評論家稼業をしている一部
の市民活動家や政党人たちには,この危機的状況を打ち破っていくことはできないで
あろうことを強調しておきたいと思います。動いて変えよ,フクシマの怒りと悲しみ
を忘れるな,福島第1原発事故による犠牲者に報いる道はそれしかないと思います。
●浜岡事故時の避難先 確保難航(中日新聞プラス) – goo ニュース
http://news.goo.ne.jp/article/chuplus/region/chuplus-CK2014021402000189.html
(浜岡原発も若狭湾と同じく、周辺住民には逃げるところがありません。そもそも同
原発は南を海に、東西を2つの大河川にはさまれて立地しており、大地震・大津波の
場合には、おそらくは2つの大河川を渡る橋梁が落下して、周辺住民は「袋の中に閉
じ込められる状態」で身動きが取れなくなると言われています。避難計画など、絵に
かいた餅にさえもなりえません。その他の原発でも、皆、同じようなものです)
<追:福井県・水晶浜からの風向き調査プロジェクト報告(2012 3 3実施)>
上記に関連して,別添PDFファイルを参考資料としてお送りします。
若狭湾の美浜原発・高速増殖炉「もんじゅ」付近から,大量の風船を飛ばし,それ
がどこに着地するかを実験的に見たものです。結果はご覧のとおりで,もし美浜原発
や敦賀原発,あるいは高速増殖炉「もんじゅ」などの若狭湾原発銀座の核施設が大事
故となった場合,あっという間に岐阜県の中心部は放射能で壊滅し,更にその被害
は,愛知県や名古屋市にも及ぶこと必定であることが分かります。
この実験は風船だからいいようなものの,実際の放射性物質だった場合には,中京
地区が壊滅したであろうことは火を見るより明らかだと思われます。名古屋市と伊勢
湾は,ちょうど「盆地」のような地形をしており,若狭湾から噴き出てきた放射性物
質は,この地域で集中滞留しやすい傾向にあることがこの実験で分かります。
もちろん,若狭湾沿岸では,1つの原発・核燃料施設でも過酷事故を起こして周辺
環境を放射能で汚してしまえば,人間が近づけなくなって,手も当てられない状態と
なってしまいます。全部で14基の原発・核燃料施設を1つの湾の沿岸に集中してつく
るなど狂気の仕業としか思えません。
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