(九州電力他)地域独占の電力会社による再エネ買取拒否は意図的なエネルギー改革サボタージュの反国民的暴挙です:発送電分離を「所有分離」で徹底させましょう
- 2014年 10月 13日
- 交流の広場
- 田中一郎
九州電力をはじめ、複数の地域独占の電力会社による自然再生可能エネルギー買取の突然の一方的中断に、各方面より反発が広がっています。今回のことは、地域独占に胡坐をかいた大手電力会社の、ユーザー無視の「上から目線」の従来型行動様式のなせる技であり、また、背後では監督官庁の経済産業省の「やる気のなさ」とつながって「暗黙の共鳴」をしている、許しがたい電力業界・経済産業省の反国民的態度を示すものです。
地域独占の電力会社と、腐った不遜な霞が関官庁=経済産業省という「ワル・ワル コンビ」は、かつての大蔵省と同様に、早急に解体・解消させ、いわゆる一般国民・電力消費者のための)「電力の自由化」を完全な形で実現させましょう。具体的には、今進められているような「形だけの自由化」(地域独占の電力会社の支配や好き勝手が続く)にするのではなく、「所有分離」による徹底した発送電分離を実現させ、送配電を国民的公的管理下に置くのです。また、巨大な地域独占の電力会社は複数に分割・解体し、市場支配を許さない業界の構造をつくっておきましょう。あるいは、既に報道されているように、原発だけを電力の価格競争の埒外に置いて政策的に救済するような「ワル・ワル コンビ」の我田引水丸出しの「原発温存政策」には、断固とした「NO!」を突きつけましょう。
(1)再エネに冷や水浴びせる電力会社の“契約中断”(週刊東洋経済 2014.10.11)
(2)九電 再生エネ購入中断(東京 2014.9.25夕刊 他)
(3)再生エネ 受け入れ制限なぜ、価格改定など制度不備響く(東京 2014.9.27)
(4)再エネ買い取り中断、北海道・東北・四国電も(東京 2014.9.30夕刊 他)
(5)再生エネ 新規買い取り中断 自治体・業者、広がる反発他(朝日 2014.10.9 他)
<関連サイト>
(1)東京新聞 九州電力 ⇒ 北電、東北電、関西電力、四国電、東京電力へ広がる
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014092502100014.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014093002000269.html
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014100190071001.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014100202000183.html
(2)東京新聞こちら特報部:再生エネ 受け入れ制限なぜ 送電網、蓄電池など壁 No Nukes 原発ゼロ
http://no-nukes.blog.jp/archives/7870198.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014092702000168.html
(3)東京新聞 経産省「把握甘かった」 再生エネ中断 無責任体質鮮明電力・節電(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/scheduledstop/list/CK2014101102100004.html
(4)東京新聞 最大級発電所、愛知に完成 太陽光+風力で弱点克服電力・節電(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/scheduledstop/list/CK2014100902100010.html
(5)朝日新聞 自治体・業者、広がる反発 再生エネの新規買い取り中断
http://haredasu.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-e1ef.html
(一部抜粋)
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(前略)九電によれば、今年3月だけで、FITの買い取り単価引き下げ直前の駆け込みもあり、従来の1年分に匹敵する、約7万件の太陽光の接続契約申し込みが殺到。詳細を確認した結果、7月末までの申し込みの全量が接続された場合、総量は春・秋の昼間の電力需要約800万KWを上回る。契約申し込み前の設備認定分も合わせると、夏のピーク需要約1600万KWをも越えるという。
電力を安定供給するには、需要と供給を常時一致させる必要がある。もし、太陽光を含む発電の供給が需姿を大きく上回れば、周波数が上昇、場合によっては自動的に発電機が停止し、大規模停電が発生するおそれがあるというのが、電力会社の回答保留の理由だ。太陽光は夜間に発電できず、昼間でも晴天から雨に変わると発電量が急減する。安定供給には太陽光以外の電源が不可欠とも強調する。
今後は再エネの受け入れ可能量を数カ月かけて見極める方針。結果的に受け入れ拒否となる事業者が多数出る可能性がある。FIT法では、電気の円滑な供給確保に支障の生ずるおそれがあれば、受け入れを拒める。事業者の損害を補償する義務もない。だが問題は電力会社が再エネの受け入れ可能量を増やすための対策だ。
(中略)
そもそも今回の回答保留には疑問点も多い。一つには、接続申請が集中した3月から今回の発表まで、約半年もかかったことだ。電力側は、申し込み内容の詳細確認に時間がかかったというが、もっと早くできなかったのか。
また九電の場合、7月末の再生エネの設備認定容量(政府認可)は1900万KWに及ぶが、導入容量(運転開始済み)は400万KW弱にすぎない。「この状態で唐突に回答を保留することは、通常のビジネス常識では考えられない」(大林ミカ・自然エネルギー財団事業局長)。気になるのが原子力発電との関係だ。事業者からも「川内原発が再稼働するから再エネの枠が減ったのでは」との質問が出た。
(中略)
この点はまさに再エネに対する、国としての姿勢が問われる。欧州では再エネの優先給電が欧州連合(EU)指令で義務づけられ、再エネの出力を抑制する前に、火力や原子力を抑制しなければならない。。結果としてベースロード電源が消滅に向かっているともいわれる。
もちろん、電力系統の安定が大前提ではあるが、日本はまだFIT法によっても、再エネの優先義務が徹底されていない。電力会社にとっては「厄介な代物」との意識が根強く、受け入れ対策も後手後手の印象が強い。
「系統接続に厳しさがあり、受け入れ容量拡大が必要なことは、FIT開始前からわかっていたはず。揚水発電の設備利用率は低く、連係線を通じた他地域への供給もあまり行われていない。本当に受け入れ枠はいっぱいなのか」と、高橋洋・富士通総研主任研究員は疑問を投げる。
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今回の事態は、いかに法律に責任なしと書かれていようとも、その運営の仕方の不十分・信義則違反として、地域独占の電力会社の責任で、この事態に伴う再生エネ業者の損失を弁償させる必要があると思われます。いくら法律に、やむを得ない場合には「再生エネの買取を拒否できる」と書かれていても、だからどんなやり方でもいい、ということにはならないでしょう(そうしないと、また、このような悪質な意図的サボタージュを電力会社がやるにちがいないからです。ロクでもないもの(地域独占の電力会社)には、少し「お灸」をすえておく必要があります)。法的な権限は、最大限の努力の上に適切に運営されて初めて保障されるものであり、公共の福祉や国の大きな方針に反して、私的な思惑や勝手な方針で権限を濫用されては、たまったものではないからです。現代社会における電力の送配電網が持つ「公共性」について、これらの地域独占の電力会社は、全くの認識不足と言わざるを得ません、
上記の記事にある「全量を買い取った場合、「管内の電力需要を上回る時間帯や季節が生じる可能性があり、大規模な停電を起こす恐れがある」という。」(このため、今後の対応方針が決まるまで「数カ月間」は受け入れ可否の回答を保留することにした。)も、嘘八百か、言い過ぎの誇大広告である可能性が高いと思われます。自然再生可能エネルギーの普及は、何も日本だけの専売特許ではなく、欧州(EU)各国をはじめ、全世界で広がり、活発な設備投資がなされていますが。今回我が国で起きたようなことは、いずこにおいても起きていないのですから(そして、日本よりも、はるかに再生エネの割合は高い)、今回のことは、どこかがおかしいということです。
上記の週刊東洋経済の記事にもあるように「九電の場合、7月末の再生エネの設備認定容量(政府認可)は1900万KWに及ぶが、導入容量(運転開始済み)は400万KW弱にすぎない。「この状態で唐突に回答を保留することは、通常のビジネス常識では考えられない」(大林ミカ・自然エネルギー財団事業局長)」のであり、他の地域独占の電力会社の場合もまた同じです。下記にも申し上げるように、揚水発電の設備利用率の引揚、連係線を通じた他地域への電力供給、メガソーラーなどへの蓄電池用意の義務付け、他の安定的な自然再生可能エネルギー(例:風量やバイオマスなど)との組み合わせ、オンサイト型発電によるエネルギーの地産地消(配電網新設がほとんど不要)、火力発電その他による電力の調整などなど、多くの方法で、こうした事態を克服する努力がなされるべきですが、そうしたことを各電力会社がしている様子はうかがえません。
それから、こうした事態が起きるのは、依然として地域独占の電力会社が電力の送配電網を所有しているから起きることだろうと思われます。要するに、送配電網を支配して、それを楯に自分達の好き勝手を他者に押し付けているということです。私的独占のなせる悪弊の典型事例と言っていいでしょう。既に示されている「電力自由化」のシナリオでは、配電網は引き続き地域独占の電力会社の支配下に置かれることになってますが、これがよろしくないのです。今回の電力会社によるインチキで傲慢な自然再生可能エネルギーの買取拒否を契機に、送配電網を公的な機関に移す、いわゆる「所有分離」方式の電力自由化を、法律改正で決めてしまう必要が出てきました。かような出鱈目の再発防止には、それしかありません。
<地域独占の自然再生可能エネルギー買取拒否に異議あり!!>
a.電力の供給が需要を上回れば大規模停電になる??? そんな馬鹿な話があるか!!
b.自然再生可能エネルギーの供給が天候に左右され、供給量の上下変動が激しいので、電力需要に対してマッチングさせるのが難しい、というのなら理解できる。しかし、それは、電力の調整問題であって、マスごみが電力会社から言われるがままに垂れ流しているようなことではないはず。
c.一例として挙げておけば、今現在、自然再生可能エネルギーとして申請されている新規発電の電力量の大半は「メガ・ソーラー」である。私はメガ・ソーラーの大半は「自然再生可能エネルギー」とは認めがたい、旧態依然の「重厚長大型・エネルギー無尽蔵消費型施設」と考えていて、今回のことを契機に、いくつかはスクラップされた方がいい、と思っているが、しかし、それはともかく、こうした大型の「メガ・ソーラー」については、供給量を安定化させる蓄電池設置の義務化や、他の安定した自然再生可能エネルギー発電との組み合わせ、あるいは電力消費のオンサイト化(短い配電網設置により、発電した場所で電力を消費する)などで対応できるはず。
d.また、上記以外にも、揚水発電の設備利用率の引揚、連係線を通じた他地域への電力供給網の不断の拡充、電力消費予測のシェイプアップや電力供給調整の能力向上(電力会社外の発電設備の活用など)、電力消費者への安定消費への協力要請・そのための電力料金制度改定(ピーク電力のカット)などなど、さまざまな電力の受給マッチング対策が考えられる。こうしたことを、経済産業省や電力会社は、不断に継続的に努力を続けて行く必要があるはずだ。また、自然再生可能エネルギーの不安定性を巡る事情は海外でも同じなので、海外の自然再生可能エネルギー先進国の経験や教訓を活かすことも有効だろう。
e.自然再生可能エネルギーのうち、新時代を切り開く可能性を持ったものを優先せよ(地産地消地象型でコジェネタイプなど:「地象」とは、その土地土地を象徴・代表する発電設備という意味、たとえば、畜産酪農地帯では、牛のフンのバイオマス発電など)
f,既に言われているが、地域独占の電力会社間の連携線(系統配電線)がいつまでたっても拡充されていない ⇒ 法律で義務化し(期限を切った計画的拡充とコスト負担原則など)、原子力や再処理に投入されている税金をすべてこちらに振り替えよ。福島県だけ、ご機嫌とり政治で、蓄電池補助金をアップします(小渕経済産業相)などは、やることサイテー の施策だ。
g.下記のような、経済的にも合理性のない、価格競争力もない、本来は淘汰されていくべき原発を人為的に温存するようなグロテスクなまでに愚かな政策はやめよ。原発安価などというハッタリは、原発安全神話とともに、「神話」という嘘八百であったことが、これで明らかとなった。政治は下らぬ口出しをやめよ。
● 原発電気 国が赤字穴埋め提案 「割高」を認識? (東京新聞:こちら特報部) 赤かぶ
http://asyura.com/14/genpatu40/msg/162.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014082702000156.html
h.それから、東京新聞のような原発・原子力に対して厳しい姿勢で報道を続けている新聞などでも、まだ、次のような「誤り」を平然と1面のトップ記事に書いている。マスコミの各社は、社内で原発のコストに関する「誤」認識を、もういい加減に改めて記者達に周知徹底してもらえないものかと思う。
(東京新聞は、下記の2つの自分自身の記事の矛盾=正反対のことを報じている矛盾に早く気付き、前者の「(再生エネ)発電コストは原子力より高い」という「政府によれば・・・・」報道をおやめいただきたい。原発のコストはべらぼうに高いものだ、というのは、もはや明確になってきているはずです。
● 東京新聞 九電、再生エネ購入中断 企業は多額投資 自治体も推進経済(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014092502100014.html
(上記記事の一番最後の部分を抜粋)
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<再生可能エネルギー> 太陽光や風力、水力などで生まれるエネルギーを指す。石油などを燃やす火力発電、ウランを燃料とする原発と異なり、資源が枯渇せず繰り返し使えるのが特徴。地球温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)の排出量も極めて少ない。ただ、政府によると、発電コストは火力や原子力より高い。政府は2012年、電力会社が再生エネによる電気を買い取る制度を義務化、普及を後押ししている。
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● 東京新聞 原発電力は風力より高い、米試算 太陽光発電と同レベル社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014091601001012.html
(参考サイト)
(1)九州電力の再生可能エネルギー接続保留に対し声明を発表|日本での地球温暖化防止|WWFジャパン
http://www.wwf.or.jp/activities/2014/10/1226303.html
(2)和田武さんの講演「温暖化防止・脱原発・再生可能エネルギー普及による持続可能な社会への道」 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=8mh3DgkZ9rM&feature=youtu.be
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