本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(67)
- 2014年 10月 14日
- 評論・紹介・意見
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アインシュタインの警告
かつて、アインシュタインは、「第三次世界大戦」に関して、次のようなコメントを述べたそうだ。具体的には、「第三次世界大戦でどのような兵器が使われるのか、私は知らない。だが、第四次世界大戦は石と棒によって戦われるだろう。」というものである。そして、私自身としては、今まで、「核兵器」の使用を想定しており、「核兵器が使われた時には、地球全体が、人の住めないような状態になる」と考えていた。
つまり、「文明が崩壊したら、石と棒とで争うような時代が訪れるのではないか?」と想定していたのだが、最近では、全く違った「考え方」があるようにも感じている。具体的には、「第三次世界大戦の兵器」が、実は、「お金(マネー)」だった可能性のことであり、しかも、現在では、「終戦」が近付いているようにも思われるのである。より具体的には、「デリバティブが、金融界の大量破壊兵器である」と言われたり、あるいは、「量的緩和(QE)」の名の下に、「世界各国の中央銀行が、大量に、国債を買い付けたりしている状況」は、まさに、「目に見えない金融大戦争」だったようにも思われるのである。
しかも、この時に起きたことは、「実際の戦争により、都市などが破壊される」ということではなく、「通貨の堕落」による「人々の精神や道徳の破壊」でもあったようだが、実際に、「信じられないような殺人事件が、日本でも多発するような状況」となっているのである。つまり、「人々の目的や志」が「お金儲け」に集中した結果として、「人間関係」や「絆」が破壊されたようだが、今後の、最大の問題点は、「現代のお金が、裸の王様にすぎない」という点に、多くの人が気付かされることである。
具体的には、「世界的な国債価格の暴落」が始まった時に、現在の「金融システム」や「通貨制度」が崩壊する可能性のことである。そのために、今まで、前代未聞の規模で、「国債の買い支え」が実施されたようだが、現在では、全ての「金融政策」と「財政政策」が行き詰まりの状態となったものと考えている。
その結果として、これから予想されることは、「市場の反乱」であり、実際には、「金融のコントロール」が効かなくなる状態のことだが、すでに始まった「急速な円安」については、この「初動段階」とも考えられるようである。そして、その後に、「輸入物価の上昇」や「金利の急騰」が起きるものと考えているが、残念ながら、現在の日本人は、「第二次世界大戦」の時と同様に、ほとんど、この点に気付いておらず、「負けた時に、実情を認識する」という状況が再現されることになるようだ。(2014.9.16)
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日銀のマイナス金利
「9月9日」に実施された「日銀のマイナス金利」は、「ECBのマイナス金利」とは、全く意味合いが違っており、今後、世界の金融界に対して、大きな影響を及ぼすことになるものと考えている。つまり、「ECBのマイナス金利」は、「民間銀行から中央銀行への預金(準備金)に対して、マイナス金利を付加する」というものであり、「実質上は、ほとんど効果が無い状況」とも言えるのである。しかし、「日銀のマイナス金利」については、「日銀が、3か月後に損失が出る価格で、国債を買い付けた」というように、「民間企業では考えられないような行為」だったのである。
別の言葉では、「民間企業においては、株主から責任を問われかねないような取引」だったのだが、このことは、現在の「日銀の苦悩」を象徴している可能性もあるようだ。つまり、「当座預金の残高」が頭打ちになっている可能性があるために、「国債を買い付ける資金」が枯渇し始めているものと思われるが、今回は、「この事実を隠すために、衝撃的なマイナス金利での取引を実行したのではないか?」ということである。
しかし、常識で考えれば、簡単に理解できるように、「日銀」が、このような取引を継続して実行すると、「日銀の損失」が膨らみ、最後には、「債務超過」に陥る可能性まで存在するのである。そのために、今回のような「マイナス金利」は「継続不能な取引」であり、今後、「日銀の金融政策」に、大きな変化が起きるものと考えているが、具体的には、「国債の買い支え」を中止するか、あるいは、「紙幣の増刷」により、「国家の資金繰りを賄う」という方法のことである。
このように、現在では、「先進各国の金融政策」が、行き詰まりの状態となっており、間もなく、この事実が「世界的な国債価格」に反映され始めるものと考えている。そして、この点を、過去数百年間の「金融の歴史」に照らし合わせてみると、実に危機的な状況が浮かび上がってくるのだが、具体的には、「先進各国は、金利の上昇に耐え切れない体質になっている可能性」のことである。
つまり、「日銀のケース」からもお分かりのとおりに、「短期金利が1%にまで上昇する」という状況下では、「150兆円もの当座預金」に対して、「残高を大幅に減少させる」という方法か、あるいは、「1%以上の金利を付ける」という方法が考えられるのである。そして、この時には、「超金利の急騰(国債価格の暴落)」や「為替の変動」も想定されるのだが、同時に、「国民が大慌てする状況」も予想されるようである。(2014.9.16)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion5018:141014〕
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