今月号の『DAYS JAPAN』 :福島原発事故後の小児甲状腺がん厚労省研究班会議の報告書(おしどりマコ 『DAYS JAPAN 2015.8』)他
- 2015年 7月 24日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
(最初にイベント情報)
●(7/29)「子ども・被災者支援 法」基 本方針改定 に関する政府・市民意見交換会と記者会見
~支援対象地域の縮小・撤廃、避難者切捨ては法を踏みにじるもの~
http://www.foejapan.org/energy/evt/150729.html
今月号の『DAYS JAPAN』も見逃せない記事で満載です。『DAYS JAPAN』は,日本では貴重な真実報道のフォト・ジャーナリズム雑誌です。『DAYS JAPAN』は,報道の自由と独立を守るため,みなさまの購読料のみにて発刊・運営されています。
●最新号のご案内|DAYS JAPANについて|DAYS JAPAN(2015年8月号)
http://www.daysjapan.net/about/index2.html
なお,下記に,今月号の特集記事をごくごく簡単にイントロ部分のみのご紹介をいたします。
(特集1)福島原発事故後の小児甲状腺がん厚労省研究班会議の報告書(イントロ部分)(おしどりマコ 『DAYS JAPAN 2015.8』)
この記事の一番最初に,松戸市の土壌汚染のマップが載せられていますが,これを見ますと,驚くべきことに,一部を除いてほぼ全市域にわたって,放射線管理区域指定基準の4万ベクレル/m2を超える放射性セシウムの土壌沈着量がみられます。また,その次のページには,千葉県のホット・スポットと言われている柏市の市街地の空間線量の実測地図が掲載されています。
(一部抜粋)
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厚労省研究班
「甲状腺がんの発生動向の解釈については、まだ事故の影響がないとは断定できないこと、事故による甲状腺がんの増加が否定できないために検査を続け、注意探く見守る必要があるということも、(人々に)はっきり伝えるべきである」
2015年6月、厚生労働科学研究成果データベースに、ひとつの研究資料が公開された。「食品安全行政における政策立案と政策評価手法等に関する研究」と題されたその出版物の内容は、主にノロウィルスやサルモネラ属菌など食品由来の疾患に関するものだが、その巻末には「福島県甲状腺がんの発生に関する疫学的検討」という報告が掲載されていた。
この「疫学的検討」の研究メンバー構成は、研究代表者が渋谷健司東京大学院医学系研究科教授、研究分担者が春日文子国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長、研究協力者が津金昌一郎国立がん研究センターセンター長、津田敏秀岡山大学大学院環境生命科学研究科教授。彼らは、大半が福島県の「県民健康調査」検討委員会の甲状腺検査評価部会のメンバーである。甲状腺評価部会とは、福島県「県民健康調査」の甲状腺検査について検証。評価するために「県民健康調査」検討委員会の中に設置された専門部会のことで、病理、臨床、疫学等の専門家らで構成されている。
その疫学検討会の報告書の結論を読み、驚いた。そこには「福島県と周辺の県については、がん登録と県民手帳(被ばく者手帳)を組み合わせフォローアップする必要がある」「甲状腺がんの発生動向の解釈については、まだ事故の影響がないとは断定できないことを丁寧に表現すべきである」「事故による小児甲状腺がんの増加が否定できないために検査を続け、注意深く見守る必要があるということも、はっきり伝えるべきである」と記載されていた。
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(特集2)全米で使用禁止決定 食品のトランス脂肪酸(山田豊文他『DAYS JAPAN 2015.8』
トランス脂肪酸については,アメリカだけでなく,ヨーロッパ各国やアジア諸国など,世界の主な国で,その食品への使用が規制ないしは禁止されているというのに,日本の消費者行政(=食の安全と表示)は,トランス脂肪酸についてはファーストフード業界を中心にした食品産業界の反対を受け,ゼロ規制状態が続いている。消費者庁や消費者委員会という賞味期限切れの役所が消費者行政を牛耳っているからだ。日本では,いつまでたっても産業政策しか存在しない,消費者行政ゼロゼロ時代が続いていく。消費者庁という役所があっても,その中身はすっからかんだ。その間にも,トランス脂肪酸は,大きく影響を受ける子どもたちをはじめ,多くの人々の健康を蝕み続けている(トランス脂肪酸の含有表示すら義務付けされないのだから消費者は選択ができず,食品産業界のやりたい放題にさらされる結果となっているのだ)。
(一部抜粋)
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米国食品医薬品局(FDA)が6月16日,ついにトランス脂肪酸の食品添加の全面禁止を発表した。2016年6月までの3年間で完全に締め出すとのことで,何十年も前からその害をつぶさに訴え続けてきた私としては、まさに感無量のひと言に尽きる。
これまで、アメリカにおける食品添加物の制度では、トランス脂肪酸を含む油脂の添加が認められていた。しかし近年になり、トランス脂肪酸の危険性、が次々と報告されるにつれて、抜本的な対策、が必要だと判断したFDAは、今回、「一般に安全とは認められない」という見解を示した。つまり、「食品に利用してもよい添加物」から「食品から排除すべき有害物質」へと大きく転換したのだ。
トランス脂肪酸は、主に水素添加という工業的な技術により、液状の油(植物油)を固形状(部分水素化油脂)に変える際に発生するものであり、マーガリンやショートニングなどの油脂食品、これらを用いた加工食品に多く含まれている。これらの油脂食品は、バターやラードの安価な代役として、また「植物性でヘルシー」などの謳い文句と共に、食品メーカーや飲食店、そして各家庭でも広〈利用されてきたわけであるが、1990年代頃から、トランス脂肪酸による健康への悪影響、が指摘されるようになり欧米や南米、アジアなどの世界各国で対策が進められていった。
特に2006年、米ニューヨーク市が飲食店におけるトランス脂肪酸の使用規制を決定すると、日本のメディアでも取り上げられ、トランス脂肪酸の問題が世間でも少しずつ知られるようになった。そして2013年、FDAがトランス脂肪酸の食品添加を事実上禁止するという仮決定を下し、2年後の今年になって、ようやく最終決定がなされたのである。
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(追1)目で見て知った、除染の現実 国際環境NGOグリーンピース
(追2)大阪市、人権博物館の退去求め提訴へ 閉館の可能性も:朝日新聞デジタル
http://digital.asahi.com/articles/ASH7Q5S67H7QPTIL01G.html?iref=comtop_6_05
(追3)(毎日新聞)■注目ニュース■ 経済的徴兵制? 狙われる貧困層の若者
絶対、あり得ない――。安全保障関連法案の議論で「徴兵制復活に道を開くのではないか」と追及を受けると、安倍晋三首相ら政権幹部は必ず断定調で反論する。だが今、経済的な事情から貧困層の若者が自衛官の道を選ばざるを得ない「経済的徴兵制」への懸念が語られ始めている。これを杞憂と言えるのか。
▽特集ワイド:狙われる?貧困層の若者 「経済的徴兵制」への懸念
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5518:150724〕
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