本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(155)
- 2017年 5月 11日
- 評論・紹介・意見
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急伸中のエンゲル係数
現在、「日本のエンゲル係数(食糧費÷消費支出)」が急伸中であり、実際には、二人以上の家計において、「2016年」に「0.8%」上昇し、「25.8%」にまで増えている。つまり、「2005年前後」に「約23%」にまで低下した状況が、現在では、「1980年代半ばの水準」にまで戻っているが、この点には、大きな注意が必要だと感じている。具体的には、「困窮し始めた日本人」を象徴するような数字だと考えているが、実際のところ、「終戦直後の約60%」が、その後、急速に低下し、「1970年代」には、「30%」を切ったという状況でもあったからだ。
そして、この点に関して、私自身としては、「1980年代半ば」に発生した「人々の意識変化」が思い出されるが、実際には、「野村証券の田淵節也氏」が「世界のマネーが病んでいる」とコメントし、また、「人々の欲しいもの」が、それまでの「家」や「車」などから、「お金」へと変化した状況のことである。つまり、この前後から、世界的な「マネーの大膨張」が発生し、その結果として、「人々の通貨への信頼感」が、急速に高まっていったことが見て取れるのである。
別の言葉では、「お金が神様に変化した時代だった」ものと考えているが、このピークは、やはり、「2005年前後」に、「お金で、人の心まで買える」という言葉が流行した時でもあったようだ。つまり、「お金(資本)」が「最も大切なものである(主義)」という考えに、世界中の人々が染まった時期だったようだが、この直後に発生した事件が、「100年に一度の金融大混乱」といわれた「2008年のリーマンショック」だった。
このように、「1980年代」から「現在」までを考えても、実に大きな変化が「世界のマネー」で発生していることが見て取れるが、これから想定される事態は、更なる「エンゲル係数の上昇」であり、また、「人々の通貨に対する意識変化」でもあるようだ。具体的には、「都会に住む人を中心にした生活苦」などにより、「世の中は、いったい、どうなっているのか?」、そして、「世界は、今後、どうなるのか?」などを悩み始めた状況のことである。
そして、今後、最も重要な点は、有限の「お金」と「時間」を、「どのように使うのか?」ということであり、このことを決定するのが、人々の「心の方向性」や「価値観」でもあるようだ。つまり、これから想定される「インフレ(通貨価値の下落)」の時には、世界全体で、「人生に対する価値観」が変化する可能性が存在することが想定されるのである。(2017.4.17)
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緊迫化する世界情勢
「4月からの10か月間は、世界全体の激変期ではないか?」と考えているが、「4月」に発生した事件は、「シリアでの化学兵器使用事件」であり、また、「二度にわたるアメリカの軍事攻撃」でもあった。つまり、「アメリカ第一主義」を標榜し、「国内経済を優先する政策」に注力していた「トランプ大統領」が、突如として、「世界の警察国家」としての役割を復活させようとしている状況のことだが、やはり、この裏側には、「混迷する国内情勢」や「支持率の低下」などにより、「国民の目を、国内から海外へそらす思惑」が存在したようである。
具体的には、「国家の財政問題」や「収拾困難な金融政策の出口戦略」などの「内政問題」のことだが、かりに、「北朝鮮」と「米国」との間で、「軍事的な衝突」が発生すると、「世界全体の金融市場」が大混乱の状態に陥り、結果として、「金利の急騰」という事態も想定されるようである。つまり、「軍事費の増加」が「国家の財政状態」を悪化させ、結果として、「国債価格の暴落」が発生する可能性のことだが、一方で、「米国内の実体経済」は、「軍需産業」を中心にして好影響を受ける可能性も存在するようである。
つまり、「4月前半の混乱」については、基本的に、「円安、株高、そして、金利上昇」の効果を持っていたものと考えているが、実際には、全く正反対の「円高、株安、そして、金利低下」という状況となったのである。別の言葉では、「世界情勢の緊迫化」を理由にして、再度、「プログラム売買」が、活発に実施されたものと思われるが、今後の注目点は、「いつ、どれほどの反動が発生するのか?」ということでもあるようだ。
具体的には、「数週間以内に、プログラム売買の巻き戻しが発生する可能性」を考慮しているが、問題は、「この時に、どのような変化が発生するのか?」という点とも考えられるようである。つまり、「国債価格の暴落」により、「先進各国が、慌てて、国内の金融政策に対処を始める可能性」を憂慮しているが、この時に、はっきりと見え始めるのが、「米国の体力低下」であり、また、「日銀の限界」でもあるようだ。
別の言葉では、「先進各国の内政状態が緊迫化する可能性」のことだが、実際には、「日米欧の国々で、資金繰りが行き詰まりを見せる可能性」である。そのために、今後は、この点も考慮しながら、「北朝鮮の金正恩委員長が、どのような行動をとるのか?」に、大きな注意を払う必要性があるようだが、基本的には、「世界全体を無視した自国優先主義」が、現在の混乱に関する最も大きな原因とも言えるようだ。(2017.4.17)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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