本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(203)
- 2018年 9月 21日
- 評論・紹介・意見
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マネーのコスト
「マネー(通貨)」にも、当然のことながら、「製造コスト」や「流通コスト」が存在するが、このことは、「自動車」や「スマホ」などと同様に、「マネーという商品を生産し、移動させるためには、どれほどの費用が必要なのか?」ということである。具体的には、「日銀が一万円札を制作するために、約20円の費用が掛かる」と言われているが、この時に、「1万円-20円=9980円」が、いわゆる、「シニョリッジ(通貨発行益)」と呼ばれるものである。
また、「通貨」という「全ての商品を代表する商品」については、その「制作」、すなわち、「発行」については、「信用創造」という言葉が使われているように、「特殊なメカニズム」が存在していることも理解できるのである。具体的には、最初の「信用創造」が、前述の「中央銀行による紙幣の印刷」であり、また、「二段階目の信用創造」が、「民間銀行による預金の創造」である。
つまり、「預金」というのは、「民間銀行が、日銀券の信用を基にして創り出した金融商品」であり、この時に、「預金の総額」から「基になった日銀券」を差し引いた金額が、いわゆる「民間銀行が創り出した資金」である。そして、現在でも、ほとんど理解されていない点が、「市場による信用創造」であり、実際には、「デリバティブ(金融派生商品)」に代表されるように、「民間金融機関により、大量に創り出された金融商品」である。
また、この時に理解すべき点は、「民間銀行と市場が産み出した金融商品」は、ほとんどが「コンピューターマネー」という「単なる数字」が基本となっており、この時の「コスト」が、ほぼ「ゼロ」であるという事実である。つまり、「製造コスト」も「流通コスト」も、「単なる数字が、コンピューターネットワークの中を流れる」という仕組みにより、ほとんどかからない状況となっているのである。
その結果として、「2008年前後」に、「デリバティブの残高が、約8京円にまで大膨張した」という状況となったが、その後は、「この時に産み出されたコンピューターマネーを、国家と国民との間で奪い合っていた期間」とも考えられるのである。つまり、「量的緩和」という名のもとに、「中央銀行が、民間金融機関から資金を借りて、国債を買っていた」という構図のことである。しかし、これから注目すべき点は、「借りた資金は、必ず、返済しなければいけない」という厳然たる事実であり、実際に「中央銀行」が取れる手段は、「紙幣の大増刷」しか残されていないものと考えている。(2018.8.23)
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絆の基本
現在、「絆の重要性」が盛んに強調されているが、実際には、既存の「マネー理論」や「投資理論」と同様に、きわめて曖昧な段階に留まっているようである。つまり、「株は安い時に買い、高くなった時に売れば儲かる」というような「考え」が、「絆」についても用いられているようだが、実際には、「お金の謎」を解く時と同様に、「具体例を挙げて、実証的に分析する必要性」があるものと思われるのである。
具体的には、「絆の基本」が「一次元の絆」という「二人の人間が、共同作業を行う状態」にあるものと考えているが、このことは、「二人の人間が、一本の縄を回す行為」とも言えるようである。つまり、それぞれの人が、「同じ力」と「逆向きの行動」を取った時に、「一本の縄が綺麗に回転運動を行う状況」となり、このことは、「絆」という文字が意味するとおりに、「二人の心が、中間点で結びついた状況」とも言えるのである。
また、「二次元の絆」については「三人」、そして、「三次元の絆」については、「多数の人」が関わり、「球体」のような状況になるものと考えているが、現状については、「トランプ大統領」が「世界の絆」を崩壊させる行動を取っているようにも感じている。つまり、「米中の貿易戦争」や「トルコショック」などを引き起こしている状況のことだが、実際には、「自分の立場」だけを考えた結果として、「過去の歴史」や「将来の展望」などが忘れ去られた状況とも言えるようである。
別の言葉では、今までに積み上げられた「信用」により、現在、未曽有の規模で「マネーの大膨張」が引き起こされているが、この時に考えなければいけないことは、「絆」が「信用」を生み出し、「信用」が形となったものが「マネー」であるという事実である。しかも、現在の「アメリカの競争力」については、ほとんどが、「大膨張したマネー経済」が、主な原動力となっていたことも理解できるのである。
つまり、現在の世界は、「アメリカ」を中心にして、「切り花のような状態」となっており、実際には、「根本の信用」が失われながらも、「表面上のマネー」だけが、立派な姿を誇っている状況のことである。しかし、最近の「トランプ大統領の言動」については、「貿易戦争」などにより、「実体経済」を破壊する行為にまで及んでいるようだが、この時に考えなければいけない点は、「マネー経済が、実体経済よりも、はるかに大きな規模にまで膨らんでいる」という事実であり、また、「マネー経済の崩壊は、未曽有の規模で通貨価値の激減(インフレ)を引き起こす」という厳然たる真理でもあるようだ。(2018.8.23)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion8018:180921〕
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