本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(213)
- 2018年 12月 28日
- 評論・紹介・意見
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ゴーン・ショックが意味するもの
今回の「ゴーン・ショック」には、たいへん驚かされたが、同時に、ある種の「閃き」を得られたようにも感じた。具体的には、「時代の終焉を告げる除夜の鐘のようなものだったのではないか?」ということだったが、実際には、「人間の煩悩」に関して、今回の事件が、我々に「大きなヒント」を与えている可能性のことである。
別の言葉では、「ゴーン統治の19年間」は、「人間の欲望が全開したものの、多くの人々が、さまざまな矛盾に気付かされた時期」だったようにも感じられるのである。また、今回は、私と同年齢の「ゴーン容疑者」が、「過去19年間、どのような想いで行動してきたのか?」という点も気に掛かったが、実際には、私自身が、「デリバティブの大膨張」に呆れ、「マネーの謎」を考えていた時に、「ゴーン容疑者」は、「日産の再建成功」という実績を基にして、「自分のお金儲け」に邁進していた状況でもあったようだ。
つまり、「ゴーン容疑者」が求めたものは、「地位や名誉、あるいは、お金」という「地の位」であり、この時には、「精神的な成長」という「天の位を上昇させる行為」が忘れ去られた状況でもあったようだ。より詳しく申し上げると、「ゴーン容疑者」が、以前は、「時代の寵児」だったものが、現在では、「一つの時代が終焉した事実」を、世界的に知らしめる人物に変化したようにも感じている。別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった「通貨制度」、すなわち、私が提唱する「信用本位制」が終焉した可能性のことだが、今までは、「お金が全てである」と考える人々が増えた結果として、「お金儲けのためなら、どのような行為も厭わない」というような事件が多発しているのである。
つまり、「西暦1200年頃」から始まったのが、「物質文明」を重んじる「西洋の時代」であり、また、「西暦1600年頃」に発生したのが「時は金なり」という思想でもあった。そして、「西暦1800年頃」から、「資本主義」という、「お金(資本)が、最も大切(主義)なものだ」という社会が広まり、最後の段階で、「信用本位制」という、「影も形も存在しない、単なる数字」が「本位通貨」となった時代が誕生したのである。
また、その最後の段階で発生したのが、今回の「ゴーン・ショック」だったが、このことは、「108回の除夜の鐘」の「最終段階」を意味しているものと感じている。つまり、今までに何度も「除夜の鐘」が打ち鳴らされ、「人類への警告」が発せられてきたものの、「人々は気に留めず、依然として、欲望の全開に邁進してきた」という状況でもあったようだが、今回は、この点に対する最終警告が発せられたようにも感じている。(2018.12.1)
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2018年を振り返って
「2018年」は「戊戌」という暦であり、「茂ったものが鉞(まさかり)で切り落とされる」という意味を持っていたが、実際に発生した出来事に関しては、「表面上の事件」と「水面下の変化」とで、大きな違いが存在したようにも感じている。具体的には、「北朝鮮の情勢」や「米国が仕掛けた貿易戦争」、あるいは、「世界的な異常気象」や「金利の上昇」などが、この年に発生した「主な出来事」だったが、一方で、私が想定する「大変化」については、「予兆がありながらも、まだ発生していない状況」となっているのである。
具体的には、「デリバティブのバブル崩壊」による「通貨制度」や「金融システム」の「世界的な崩壊」のことだが、実際には、「いろいろな事件が発生し、また、さまざまなコメントが出た」という状況でありながら、依然として、私が最も注目する「国債価格の暴落」が発生しなかったのである。そのために、「2018年」も、この点に関して、いろいろと試行錯誤を重ねることとなったが、実際に発生している変化としては、「BIS(国際決済銀行)」や「FRB」などが、頻繁に「金融システムの脆弱性」や「デリバティブのリスク」などに言及し始めた事実が指摘できるようである。
具体的には、「マクロプルーデンス」などの言葉が使われるとともに、「金利上昇時に、デリバティブがどのようなことになるのか?」が危惧され始めたものと感じている。そして、この点に関する「私自身の最大の気付き」は、「大恐慌は防げたが、新たなバブルを作った」という、「グリーンスパン元FRB議長」のコメントに関する「新たな理解」でもあった。つまり、「1971年のニクソンショック」以降、「古いバブル」を吸収するために、「新たな巨大なバブル」が作り続けられた状況のことだが、実際には、「1970年代の貴金属」、「1980年代の土地と株式」、そして、「1990年代から2000年代にかけてのデリバティブ」のことである。
ただし、「マネーの大膨張」は「2008年のリーマンショック」でピークを付けたものの、その後の「世界的な量的緩和(QE)」が、「中央銀行のバランスシート」に関する「新たなバブル」だったことにも気付かされたが、現在では、この点が、きわめて中途半端な状態となっているのである。つまり、「2018年9月」が、「中央銀行のバランスシート拡大」において、たいへん重要な「変化の時」となったようだが、実際には、「日銀」を中心にして、「当座預金を増やして、国債を買い付ける」という今までの方法に限界点が訪れ、今後は、大々的な「紙幣の増刷」を実施しない限り、「政府」や「中央銀行」の資金繰りが行き詰まる可能性が出てきたようにも思われるのである。(2018.12.2)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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