●主 催 世界資本主義フォーラム
●日 時 2022年11月12日(土)13時30分-16時20分
●開催方式:ZOOMによるオンライン
●講 師 丸川知雄(東京大学社会科学研究所教授)
●テ ー マ 「中国共産党大会と中国の経済体制のゆくえ」
●趣 旨
10月に開催された中国共産党の第20回大会は、特に3つの点で大きな衝撃を与えた。
第一に、大会後に決定された中国共産党のトップ人事において習近平に近い人々で政治局が固められ、前任の総書記、胡錦涛の出身母体であった共青団の人脈が断たれたこと。
第二に、大会の際に行われた習近平総書記の演説の原稿において前任者の治世を厳しく断罪する内容が記載されており、加えて発言のなかで「安全」が強調され、「改革」が後退したこと。
第三に、大会の際に、なんらかの不満を表明したとみられる胡錦涛前総書記が強制的に退場させられたこと。
率直に言えば、大会前には私は「誰がなっても大して変わらない」と思っていたので、人事にも大して関心を持っていなかったが、ここまで露骨に特定派閥に偏った人事が行われたことには衝撃を受けた。たとえて言えば、自民党の主要ポストを安倍派が独占してしまったようなものである。こうなると来年3月に予定されている政府人事においても習近平に忠実な人たちによって固められると予想される。
このたびの出来事から、逆に過去10年間の習近平の治世に対する見方も修正する必要があると痛感している。
習近平が総書記に就任してからの最初の5年間は、「両論併記」「玉虫色」の政策文書が多かった。今にして思えば、これは中国が直面する課題の複雑さに起因するというよりも、端的に言って、二つの勢力の立場を反映していたように思える。
すなわち、一方には国有企業強化、民間企業や社会に対する統制と監視の強化、強硬な外交の路線があり、他方には国有企業の改革・民営化、民間企業の活動の場の拡大、統制の緩和、対外経済開放、経済的な地域統合の推進という路線があり、2012年~2021年はこの両方が進んできた。
今回の人事の結果、後者の路線が否定され、前者の路線一辺倒になる可能性が高い。
この報告では、中国の政策を二つの路線のせめぎ合いと捉えたうえで、どのようなことが争点となってきたのかをまとめ、今後の行方を展望する(丸川知雄)。
丸川知雄『現代中国経済(新版)』有斐閣、2021年
丸川知雄・徐一睿・穆尭芋編『高所得時代の中国経済を読み解く』東京大学出版会、2022年近刊。
丸川知雄 ニューズウィーク日本版・中国経済事情
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●参加方法 どなたも参加できます
(1)前日[11月11日]までに、sekaiforum@jcom.zaq.ne.jpまで、
・「11.12参加希望」と書いて
・氏名[所属・立場、できれば電話番号など連絡先]をお知らせください。
(2)参加申し込み者にZOOM接続情報を送信します。当日、朝9時までに「リマインダー」(再送信)します。届かない方は、正午までに、矢沢まで連絡ください。
(3)参加費 500円[あと払い]、支払い方法は、世界資本主義フォーラムのサイトをご覧ください。 https://www.worldcapital.online/
●問い合わせ先
フォーラムについては 矢沢 090-6035-4686 yazawa@msg.biglobe.ne.jp
参加費については 安岡 yasuokafamily-1229@memoad.jp
●参加申し込み先 sekaiforum@jcom.zaq.ne.jp