ロシアのウクライナ侵攻、中国の台頭、アメリカの衰退、イギリスの再登場(AUKUS)、日本の安全保障政策の大転換などをみると、第一次大戦以降の主要国家間の臨戦態勢がいまだ続いています。その起源は何か、世界史の中で考察することが、いまひじょうに重要になっています。
資本主義は世界商業の中から生まれた――マルクスは『資本論』でその過程を原理的に解明していますが、現実の歴史的過程については、19世紀半ばまでしか観察していません。
玉木俊明氏とともに世界商業と国家のかかわりを歴史的に総括する中で、わたしたちが直面する世界危機への認識を深める一助としたいと考えます。
(世界資本主義フォーラム共同代表・矢沢国光)
- 主催 世界資本主義フォーラム
- 日時 2023年7月29日(土) 午後1時~4時30分
※開始時間がいつもより30分早くなっています
※当初、前編・後編の2回を予定していましたが、合わせて1回で行います
- 開催方式 zoomによるオンライン
- テーマ
「コミッション・キャピタリズムの生成と展開――イギリスの覇権は世界史に何をもたらしたのか」
- 講師 玉木俊明(京都産業大学経済学部教授 ヨーロッパ経済史)
▲研究テーマ 『海上ルートによるヨーロッパの拡大の歴史』
アジア諸国は主として陸上ルートでさまざまな地域を征服していった。ヨーロッパはなぜ海上ルートで領土を拡大し、世界を制覇したのか。そのために重要だったのが、商人と国家の役割です。近世のヨーロッパでは、国家とは無関係に、商人がどんどんと海外に出てゆきました。やがて、商人の活動を国家が保護するようになる。商人と国家は、どちらが欠けてもヨーロッパが世界を制覇することができなかった、重要な要素なのです。(京都産業大学ホームページより)
▲著書
『北方ヨーロッパの商業と経済 1550-1815年』知泉書館 2008
『近代ヨーロッパの誕生 オランダからイギリスへ』講談社選書メチエ 2009
『近代ヨーロッパの形成 商人と国家の世界システム』創元社 2012
『海洋帝国興隆史 ヨーロッパ・海・近代世界システム』講談社選書メチエ2014
『ヨーロッパ覇権史』ちくま新書 2015
『歴史の見方 西洋史のリバイバル』創元社 2016
『〈情報〉帝国の興亡 ソフトパワーの五〇〇年史』講談社現代新書 2016
『先生も知らない世界史』日本経済新聞出版社 2016
『先生も知らない経済の世界史』日本経済新聞出版社 2017
『物流は世界史をどう変えたのか』PHP新書 2018
『人に話したくなる世界史』文春新書 2018
『逆転の世界史 覇権争奪の5000年』日本経済新聞出版社 2018
『ヨーロッパ 繁栄の19世紀史 ─消費社会・植民地・グローバリゼーション』ちくま新書 2018
『拡大するヨーロッパ世界 1415-1914』知泉書館 2018
『世界史を「移民」で読み解く』NHK出版新書 2019
『移動・交易・疫病 命と経済の人類全史』星海社新書 2020
『「世界史×日本史」エピソード100』星海社新書 2021
『16世紀「世界史」のはじまり』文春新書 2021
『金融化の世界史 大衆消費社会からGAFAの時代へ』ちくま新書 2021
『迫害された移民の経済史 ヨーロッパ覇権、影の主役』河出書房新社 2022
- テーマについて
「コミッション・キャピタリズムの生成と展開――イギリスの覇権は世界史に何をもたらしたのか」
【趣旨】
イギリスは、18世紀後半に世界最初の産業革命を実現したが、貿易収支が黒字になることはほとんどなかった。すなわち世界最初の工業国家イギリスは、工業製品で儲かった国となったことはほとんどなかったのだ。
19世紀末になると、イギリス経済の中心は、金融業やサービス業となった。そして、世界の商品を輸送したのは、商船隊が発展したイギリスであったばかりか、国際貿易の決済が、イギリス製の電信を用いてロンドンでなされた。19世紀末から20世紀初頭にかけてのイギリス経済を支えたのは、電信であった。イギリスは、電信により、世界経済の覇権国になったのである。イギリスは、インビシブルなものを商業の媒介としたのだ。
大英帝国は、金融帝国であった。帝国内部だけではなく世界全体が、イギリス製の電信によって結び付けられた。電信はコミッションビジネスを大きく変え、イギリスに膨大な手数料をもたらすことになった。世界経済が発展するほど、イギリスは手数料収入で儲かるようになった。
第二次世界大戦後、西側諸国は大衆消費社会を形成した。そのためコミッション・キャピタリズムは目立たなかったが、サッチャーがビッグバンを実行してから、それが蘇ることになった。インターネットの普及により、それはますます強まった。金融化が進行し、世界の所得と富は不平等化を増したのである。
【目次】
消費財の増加
大西洋経済と綿花
イギリスの海運業発展とオランダ
イギリスの海運業発展
イギリス海運業の発展とラテンアメリカ諸国
――ラテンアメリカ諸国はなぜ独立に成功したのか
アジアの物流を支配したイギリス
なぜイギリスにだけ非公式帝国があったのか?
電信はどれほど重要か
電信が縮めた世界
イギリスのヘゲモニー――コミッション・キャピタリズムの国イギリス
大衆消費社会の形成
コミッション・キャピタリズムが支配する現代社会
- 参加方法 どなたも参加できます
(1)7月27日までに、sekaiforum@jcom.zaq.ne.jpまで、
・「7.29参加希望」と書いて
・氏名[所属・立場、できれば電話番号、など]をお知らせください。
事前にZOOM接続情報と当日の報告資料を送信します。早めに申し込みください。
前日(7月28日)になっても、 ZOOM接続情報が届かなかったら、
矢沢yazawa@saitama.zaq.jp または 090-6035-4686 まで連絡ください。
(2)当日朝9時までにZOOM接続情報を「リマインダー」(再送信)します。
当日、zoom接続にトラブルのあった方は、安岡090-9828-2342 まで連絡ください。
(3)参加費 500円[あと払い]、支払い方法は、世界資本主義フォーラムのサイトをご覧ください。 https://www.worldcapital.online/