今年は、人類史に特記される「ビキニ事件」から70年にあたる年である。このため、ビキニ事件で被災した第五福竜丸の保存・管理を委任されている公益財団法人・第五福竜丸平和協会は、年間を通して「ビキニ水爆実験被ばく70年記念事業」を行っているが、その一つとして、劇映画「第五福竜丸」をブルーレイで復刻し、希望者に販売している。
1954年3月1日、太平洋のビキニ環礁で、米国による水爆実験が行われた。広島原爆の1000倍の規模と言われた。この水爆実験で、マーシャル諸島の島々の住民たちのほか、静岡県焼津港所属のまぐろ漁船・第五福竜丸の乗組員23人が放射性降下物「死の灰」を浴び、乗組員の1人、無線長の久保山愛吉さんが死亡した。放射能症による死亡だった。「水爆による初めての死者」として、世界に衝撃を与えた。この事件を機に、原水爆禁止運動が高揚し、1955年には世界大会が広島で開かれる。
1959年には、独立ブロダクションの近代映画協会によって,第五福竜丸の被災を主題とした劇映画「第五福竜丸」が制作された。監督は新藤兼人、音楽は林光。出演者は宇野重吉、乙羽信子、千田是也ら。新藤監督は「福竜丸の物語をドキュメンタリーのように作った」と語ったとされている。映画は話題を呼んだ。
第五福竜丸平和協会が、この映画をブルーレイに復刻したのは、ビキニ事件から70年を機に、改めてビキニ事件の実相を多くの人に知ってもらいたいと考えたからである。販売にあたってのキャッチコビー「あなたもビキニ事件の目撃者に」はそうした願いを込めたものと言える。゛
ブルーレイ「第五福竜丸」(個人視聴用)は頒価3500円(税込み)。申込みは、第五福竜丸平和協会(FAX 03-3521-2900)へ
メール fukuryumaru@msa.biglobe.ne.jp