(2022年9月19日)
大型台風が九州を襲って天候は不穏だが、毎日新聞朝刊の一面トップからは爽やかな風。同紙世論調査結果報道の見出しの付け方がよい。
「内閣支持続落29%」「旧統一教会対応『評価せず』72%」「国葬『反対』62%」
この調査と報道に、国民の関心事である3テーマが凝縮されている。《安倍国葬強行》、《統一教会対応の不徹底》、それゆえの《国民の政権不信》である。岸田政権の《安倍国葬》実施決定と強行を機に、自民党(とりわけ安倍周辺)と《統一教会》との癒着の旧悪が暴かれ、これに対する政府・与党の対応の不手際、不徹底が《国民の政権不信》となって「内閣支持率3割を割る」数字となって表れている。しかも、「続落」である。
毎日の今回調査は、9月17・18日。前回調査は8月20・21日だった。なお、前々回は7月16・17の両日。この間の世論の変動は衝撃的ですらある。
岸田内閣の支持率 29% (前回比7%減、前々回比23%減)
同 不支持率 64% (前回比10%増、前々回比24%増)
自民党支持率 23% (前回比6%減、前々回比11%減)
旧統一教会の問題を巡る岸田政権の対応を
「評価する」 12%
「評価しない」 72%
「どちらとも言えない」 16%
自民党が実施した旧統一教会と党所属議員との関係の調査が
「十分だ」 14%
「不十分だ」 76%
自民党は安倍氏と旧統一教会との関係についても
「調査すべきだ」 68%
「調査する必要はない」 24%
安倍氏の国葬「反対」 62%(前回比9%増)
「賛成」 27%(前回比3%減)
この調査結果に関連した、毎日2面の記事が興味深い。「政権『耐えるしかない』」「支持率29%、危険水域に」というタイトル。政権・与党は、なすすべなくお手上げというのだ。
「内閣支持率は「危険水域」とされる20%台まで落ち込んだ。自民党の国会議員と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との根深い関係が相次いで判明したことや、安倍晋三元首相の国葬への反対論が強いことが影響したとみられる。政府・与党は危機感を強めるが政権浮揚への特効薬はなく、『今は耐え忍ぶしかない』といった声が相次いだ。」
毎日だけではない。共同通信世論調査は、「内閣支持急落、最低の40% 不支持46%、初めて逆転」と伝えられている。これも、インパクトのある調査結果。
「共同通信社が(9月)17、18両日に実施した全国電話世論調査によると、岸田文雄内閣の支持率は40・2%で8月10、11両日の前回調査から13・9ポイント急落し、昨年10月の内閣発足以降最低となった。不支持率は岸田内閣として最も高い46・5%となり、支持率を初めて逆転した。安倍晋三元首相の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計60・8%を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計38・5%を上回った。」
「自民党が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と党所属議員の関係を公表した調査をめぐり、自民党の対応が「十分ではない」との回答は80・1%で、「十分だ」16・1%を大きく上回った。自民党と旧統一教会との関係について「関係を断つことができない」と思うとの回答が77・6%に上った。」
日本経済新聞社とテレビ東京の16~18日世論調査の結果も発表されている。「岸田内閣支持、最低の43% 旧統一教会調査『不十分』79%」
「岸田文雄内閣の支持率は43%で8月調査(57%)から14ポイント低下した。2021年10月の政権発足後で最低となった。内閣を「支持しない」と答えた割合は49%だった」
各報道機関の調査のうち、安倍国葬に《「賛成」「評価する」》対《「反対」「評価しない」》の割合はは以下のとおりである。
時事通信 25.3% 対 51.9%、
朝日新聞 38% 対 56%
NHK 32% 対 57%
共同通信 39% 対 61%
毎日新聞 27% 対 62%
いずれも「反対」が大きく上回り、国民の過半が反対していることが明らかである。この点について、NHKが、次のように解説をしている。
「NHKに限らず他社の調査でも、(国葬に)肯定的評価を否定的評価が上回り、しかもその差が開いていく傾向が顕著です。安倍元首相の国葬に対する世論は、「賛否拮抗」「二分」から「反対(ないしは否定的評価)多数」に変わっています。」
「さらに興味深いのは18~39歳の若い世代の動向です。
NHKの今回(9月)の調査では、18~39歳では「評価する」43%に対し、「評価しない」47%と、否定的な回答が上回っています。8月の調査では、「評価する」53%、「評価しない」30%と、「評価する」が23ポイントも上回っていました。1カ月の間に、「評価する」は10ポイント減り、「評価しない」が17ポイントも増えるという急激な変化が起きています。」「これですべての世代で「評価しない」が「する」を上回ることになりました。」
岸田による安倍国葬決定と強行がもたらした世論の変化。こんなにも、世論が急激に変化することは珍しいのではないか。
国民意識は「豚に真珠、安倍に国葬」ではと呟いたら、とたんに異議が出た。「それじゃ、国葬がとても立派なことみたいじゃないの」。なるほど。では、「目くそと耳くそ、安倍と国葬」と言い直したら、「品がない」と却下。面白くはないが、「臭い物に蓋、安倍の所業に国葬」ということで、了解となった。
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2022.9.19より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=19984
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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