「『世界最高の安全性の欺瞞』-野田総理の国連演説について」など 地震と原発事故情報 その182

6つの情報をお知らせします(9月23日)

     9/4四国電力・伊方原発1号機(56.6万kw・PWR)
     定期検査の為運転停止
     残る稼働中の原発はあと11基

  ★1.「世界最高の安全性の欺瞞」-野田総理の国連演説について
  ★2.9.19「さよなら原発5万人集会(明治公園)」に参加して
  ★3.「再稼働ノー」山本太郎さん 告発される
  ★4.静岡・牧之原市議会、「浜岡永久停止」決議へ
  ★5.人工衛星が落下予定。予想軌道は原発銀座・福井上空を通過。
  ★6.訂正2点

★1.「世界最高の安全性の欺瞞」-野田総理の国連演説について
原田裕史

 9月22日朝(現地時間)野田総理が米国ニューヨークの国連本部で行われた
「原子力安全に関するハイレベル会合」で演説をしました。

 まず困ったのが全文がみつかりません。首相官邸でも公開されていません。ど
ういうことでしょうか。仕方ないので、インターネットで見ることのできるビデ
オや英文や新聞情報を元にこの文書を書きます。

 まずビデオを見ると会場がガラガラです。国際社会から全く期待されていない
演説です。

 「日本は原子力発電の安全性を世界最高水準に高めます。」という首相の声が
むなしく響きます。世界の人からは「いまさら言うなよ」という感じではないで
しょうか。3・11大惨事で木っ端微塵に砕かれた安全神話の焼き直しはごめん
です。かつても日本の原子力村は世界最高水準の安全性とうそぶいていたではな
いですか。世界一の地震と火山の国日本で自然災害に耐える原発などありませ
ん。

 首相は「事故のすべてを迅速かつ正確に国際社会に開示する」と表明しました
が、そもそも6ヶ月も経っているのに未だに事故が終息していないのだから国際
社会に信用しろというのも無理な話です。

 そのような国が原発輸出の継続にも意欲を示し「原子力利用を模索する国々の
関心に応える」ことになったらどうなるのか。恐ろしいことです。

 「福島第一原発の事故は人類が原子力にどのように関わっていくべきかという
深遠の問いを我々に改めて投げかけています。」もう後片付けをするだけです。
新たな原発など言語道断です。

 「福島が『人々の強い意思と勇気によって人類の未来を切り開いた場所』とし
て思い起こされる日が訪れると確信する。」福島の犠牲の上に更なる原発を作り
続ける意思表明に対しては強く反対しなければなりません。

 同日国連前では市民団体による原発に反対する集会が開かれました。
 世界がこちら側を選択することを祈ります。またそうなるよう行動しましょ
う!

 蛇足ですが、会合の名前の英文は”high-level U.N. meeting on nuclear
safety and security”なので、セキュリティの部分が抜けているのが気にかかり
ます。核セキュリティ、つまり核には常に兵器の問題が付随することを意識させ
る名称です。日本のマスコミはこれを意図的に国民の目に触れないように細心の
注意を払っているのでしょう。

★2.9.19「さよなら原発5万人集会(明治公園)」に参加して
岩田深雪(ストップ原発&再処理・意見広告の会)

●12時少し前に指定された場所に着くと、傍らでは、もう独自集会を始めていた
団体もあった。たんぽぽ舎関係団体・個人が揃ったところで打ち合わせの後、10
ヶ所ほどの公園入り口に分かれて、5点セット(6千組)の共同ビラ播き、東海第
2原発の廃炉を求める署名集め、9.11新宿デモでの不当逮捕者救援カンパ集めを1
時間弱行った。集会が始まる1時頃には身動きできないくらいの人の波。主催者
発表で参加者は6万人とか。デモ出発は先頭集団のはずだったので(実際は警察
のデモ分断作戦と他の隊列が優先され、出発は2時間半待ち)、出口近くに陣取
っていたため、集会の様子は見えないし、聞こえないし。

 あとで、youtubeなどで、この集会の呼びかけ人ら、登壇者のあいさつを聞い
た。それぞれに共感もし、勇気づけられもしたが、「ハイロアクション福島」の
武藤類子さんの話は、もし自分が被災者の立場であったなら、と考えなければな
らないこと、実際、いつ「明日は我が身・・」という立場に置かれるかもしれな
いことを考えて、原発を一刻も早くなくすことに1人でも多くの人が本気で取り
組まなければ、と考えさせられた。

●9/18夜のNHKのETV特集「日本原発史」(前編)では、日本の原子力導入に
関しては、何をやればよいのかさえ、だれも何も分かっていないのに、数人の
「とに角導入」という思い込みによって、予算が付けられ、それが数年で何十倍
にもなり、人々が幻想をもたされ、商社の参入競争となり、・・という過程が描
かれていた。科学技術導入には基礎研究があって、納得できるまで試行錯誤の
上、導入、というのが当然なのに、こと原発に関してだけは政財界が主導してし
まった、そして原子力村が形成され、安全は2の次、という歴史が作られ、今日
のこの結果を招いている。

 日常使うエネルギー源に原子力を使ってしまった、というボタンの掛け間違い
にすべての人が気付き、今だに「原子力は必要」などととんでもない勘違いして
いる権力者の洗脳状態を解くきっかけになる年に、そういう歴史が始る年に、今
年がなって欲しい。75%の国民が「脱原発」を願っているのだから。それは早
いに超したことはない。

●現在「全原発を止めて」と「浜岡原発を廃炉に」の2つの意見広告を来春に出
すことに取り組んでいます。集会やデモに参加できなくても「脱原発」の思いを
意思表示する手段として、どうぞご協力ください。チラシはご請求頂ければ何枚
でもお送りします。

★3.「再稼働ノー」山本太郎さん 告発される
佐賀県庁で抗議 対話の場 求めただけが…
「整然と行動」、「冷静で見識ある行動」

 佐賀県の九州電力玄海原発2,3号機の再稼働をめぐり、同県庁で抗議行動を
した俳優の山本太郎さん(三六)ら数人が建造物侵入などの疑いで、京都市の行
政書士の男性(二七)から告発され、佐賀地検に受理されていた。山本さんらは
徹底抗戦の構えだ。いったい何があったのか。
 抗議行動は七月十一日。九州一円から集まった脱原発団体のメンバーら約二百
人が県庁に詰め掛けた。今や脱原発運動の象徴的存在となっている山本さんも飛
び入りで参加した。(中略)古川康知事との面会を求めて庁舎内に入ろうとした
が、県側は正面玄関などの出入り口にカギをかけて封鎖した。しかし、一般県民
用に開放していた別の出入り口から庁舎内に入った参加者の一部が、内側から正
面玄関のカギを解除。なだれこんだ参加者は、知事室に向かったが、県側は机な
どで築いたバリケードで抵抗した。騒然とした雰囲気に包まれる中、山本さんは
「話し合うための最低限の環境をつくってください」と県側に粘り強く要求。結
局、原子力安全対策課の職員が知事宛ての請願書を受け取ることで収まった。
(中略)抗議行動の様子などを収めたドキュメンタリー映画「脱原発いのちの闘
争」を撮った映画監督の西山正啓さん(六三)は「整然とした抗議行動だった
が、県は職員やガードマンを駆り出して拒否した。最初から請願書を受け取れば
無用な混乱は避けられた。原因はすべて県にある。告発者は状況が全く分かって
いない」と憤る。山本さんについては「非常に冷静で見識があった。世の中のお
手本だ」と擁護する。「県の異常な対応は今に始まったことではない」と指摘す
るのは、玄海原発プルサーマル裁判の会代表の石丸初美さん(六〇)。西山さん
と石丸さんは、すべての元凶は「知事本人」
…「中立を装い原発を推進してきた。九州電力のやらせメール問題は、知事の発
言が発端…県職員も知事の独裁体質の被害者だ」
(2011.9.23.東京新聞より抜粋)

★4.静岡・牧之原市議会、「浜岡永久停止」決議へ
 安全優先を地元が決意
原発 富生まない 企業流出に危機感
「福島」後、茶に風評被害も スズキ移転なら「町が寂れる」

「停止中の原発を再稼働させなければ日本の経済は後退する」と野田佳彦首相は
主張する。しかし原発は富を生み続けるのか。静岡県牧之原市の議会が中部電力
浜岡原発の永久停止を求める決議をすると決めた。大きな理由のひとつに自動車
メーカーのスズキ(浜松市)が市内に構える工場の移転問題がある。「原発事故
に備えてリスク分散をする」がスズキの方針。つまり原発の存在が地域経済に危
機をもたらそうとしている。

 「市民の意思に沿った行動を取れたと確信している」。二十二日、同市議会の
田村兼夫議長は同原発から約十キロしか離れていない同市相良庁舎の一室でこう
切りだした。同市議会は二十一日の全員協議会で、同原発の永久停止を求める決
議案を二十六日の本会議に提出することを決めた。反対は十六人中四人だけで、
可決される見通しだ。田村議長は「近くに原発がある自治体の議会として、何も
しないわけにはいかなかった。議論を重ね、意見書よりも強い意思を示すことに
なる決議を提出することにした」と説明する。決議文には「原子力発電は安全で
あるという神話が根底から崩れ去った」「浜岡原発は、確実な安全・安心が担保
されない限り、永久停止にすべきである」などと厳しい文言が並ぶ。田村議長は
「事故から半年もたったのに、福島では収束に向かうどころか問題が広がってい
るように感じる。市民の安全・安心を最優先に考えるとこういう言い方になった。
周辺市にも同様な動きが広がってくれれば」と期待する。

 市も議会と同様のスタンスだ。西原茂樹市長は「福島で事故が起きた以上、原
発の近くに住んでいる者の素直な気持ちとして止めておいたままにしてほしい」
と話す。市は中部電力や国などに再稼働しないよう求めていくほか、防災計画の
見直しなどにも着手。これまで原発十キロ圏内に限っていた小中学校への安定
ヨウ素剤の配布を市内全域に広げるという。中部電力は停止中の浜岡原発につい
て、津波対策などを施した後、早ければ二年後の再稼働を目指している。しか
し、再稼働には中電と安全協定を結ぶ県と地元の御前崎、牧之原、掛川、菊川の
四市の同意が必要になる。牧之原市があくまでも反対すれば、再稼働はできな
い。(中略)ただでさえ地域経済への貢献は少ない上に、新たな問題も浮上し
た。大手自動車メーカーのスズキは、牧之原市にある相良工場の機能の一部を、
浜岡原発から五十キロ以上離れた湖西工場(同県湖西市)に移すことを検討して
いる。相良工場は同社の四輪エンジンの製造拠点。浜岡原発から十一キロの地点
にあり、もし原発事故が起きれば、全社的に打撃を受ける。(中略)同市では、
ほかにも工場移転の動きが出てきている。六月に市内に工場のある大手企業十
社に聞き取り調査をしたところ、六社が「リスクの分散を考えている」と回答し
たという。(中略)農業への影響もある。牧之原台地は、国内最大の茶の産地。
(中略)地元の販売業者は「例年よりも二~三割も売り上げが減っている。これ
から持ち直してくれればよいが…」と嘆く。「福島の事故でこの騒ぎだから、も
し浜岡原発で事故が起きれば大変なことになる」。業者の中には、再稼働しない
でほしいという声もでてきているという。

(中略)西原市長は語る。「われわれはこれまで、原発の問題を国任せにして避
けてきた。何もなければそれで良かったかもしれないが、これからは自分たち自
身で判断する必要がある。自分の土地や古里を追われることまで了解して立地を
認めたわけではないのだから」
(2011.9.23.東京新聞より抜粋)

★5.人工衛星が落下予定。予想軌道は原発銀座・福井上空を通過。
 文部科学省によると、米国の大気観測衛星(UARS)が日本時間の24日未
明から午前にかけて、落下する見込みです。その間衛星が日本付近の上空を通過
する可能性は3回。24日午前3時半に愛知、岐阜、福井県など中部地方付近の
上空を通過すると見込まれています。破片が誰か人にあたる確率は1/3200と見込
まれています。福井の原発にあたらないことを祈ります。
 
★6.2点訂正があります。
 原発事故情報その181の4.短信3つの1で東海第2の防護壁の完成が2011年9
月と記載しましたが、正しくは2010年9月です。
 同じく短信3つの3、米国詩人の方の名前をアーサービラードさんとしてしま
いましたが、正しくは、アーサー・ビナードさんです。

 訂正してお詫びします。大変申し訳ありませんでした。

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