5つの情報をお知らせします(7月21日)
★1.オルタナティブ電力システムをめざそう
日本の電力消費量は多すぎる。もっと削減を。
★2.勇気ある広瀬隆氏、明石昇二郎氏をサポートしよう
メールマガジン読者Iさんより
★3.柏市の清掃工場で基準8倍超のセシウム、
焼却灰から7万Bq/kgを検出。
セシウム汚染の長期サイクル化の可能性も。
★4.検証・原発再稼働なしで、電気は十分(東京新聞)
東京電力は東北電力に140万kw支援プラス西日本へも支援
「夏に電力危機が訪れる」はウソだった
★5.2つのお知らせ
・『放射能汚染の実態とこれからの私たち』講演会のご案内
・パンフレット『被ばく労働自己防衛マニュアル』の紹介
★1.オルタナティブ電力システムをめざそう
日本の電力消費量は多すぎる。もっと削減を。 山崎久隆
○ 今年の夏は冷房病(*)に悩まずに済みそうなことは幸いだ。外気温との差が
5度といえば、28度の冷房に対して33度までは大丈夫と言うこと。列車や店によ
っては去年まで25度以下に冷房を効かせるところがあったが、それが無くなるだ
けでも快適かもしれない。
さて、電力不足キャンペーンは東電を通り越して関西方面に飛び火した格好。
原発が全部止まれば足りなくなるキャンペーンだが、テレビではバラエティ番組
ですらもはや「原発推進のためにやっている」「煽っているのでは」などとコメ
ントされる始末。週刊ダイヤモンドでは「全原発停止でも供給に余力「西日本は
電力不足」のウソ」と特集される始末。
王様は裸です。と最初に言い出したのはたんぽぽ舎だ!というわけでもないが、
原発止めても大丈夫という世論は確実に形成され、そのきっかけになったかも
しれないことは嬉しい。
○ ただし、念のために強調しておけば、日本の電力消費量は多すぎることは間
違いない。節電というと「がまんする」かの印象だが、電力消費量を削減する努
力こそは正しい。もともと日本をはじめ「先進国」と呼ばれる「搾取する側」の
国々はエネルギー浪費構造のもと世界中から資源を奪ってきたことは忘れてはな
らない。この反省に立つならば適切な規模にエネルギー消費量を削減すべきであ
り、電力だけで言うならば半減させる努力は必要だ。ピーク時1億8千万kwを
半分程度に下げ、年間トータル1兆kwhを5千億kwhに引き下げることが出
来れば、相対的に原発はもとより石油火力のように効率も悪く公害も出す電源を
使わなくて済むし、自然を壊す揚水式もいらなくなる。
トータル5千億とは、ドイツ、フランスの規模だ。ドイツ8200万人、フランス
6200万人なので人口は日本よりも少ないが、将来的に目指す目標の通過点にはな
るだろう。
○ その過程で是非実行したいのが「段階別電力料金」。ピークを18000万kw
としてそれを三分割し、最初の6000万を供給義務のある送電量とし、次の6000万
から12000万を「限定的供給義務を負う送電量」とし、次の12000万以上を「需給
調整契約」とする。設備は当然18000万を準備するが、予備力は必要ない。予備
力は需給調整に含めてしまえば、今すぐにでも8000万kw分の設備はいらなくな
ってしまう。夏冬のピーク時の数時間程度は常にどこかで需給調整が行われると
いうわけだ。
大規模な事故、大震災などが起きて供給能力に大きな問題が生じたら、「限定
的供給義務を負う」6000万kw分の一部を止める。これはもちろんあらかじめ計
画し、広報しておく。その備えがあればほとんど問題は起きない。なぜならば
「供給義務のある6000万キロワット」は停電させない仕組みにすれば良いからだ。
このためには送電系統を3系統作る必要があるが、現在の送配電システムを改
造すれば出来る。当然系統ごとに電気料金も「低」「中」「高」の区分を付ける。
この3系統分割により、必要電力量も設備も大きく減らせるだろう。
その結果、最終的には三分の一程度つまり日本全体で6000万キロワット程度ま
で削減できる可能性がある。そうなれば、太陽光や小規模水力やバイオマスなど
様々な小形発電システムの組み合わせでほとんどまかなえるようになるだろう。
何十年も掛かるかもしれないが、原発も化石燃料火力もダム式水力も必要無い時
代が来る。
○(*)冷房病:長時間冷房の効いたところに居続け、繰り返し外気との温度差に
晒されることにより発生する自律神経失調症状で正規の病名ではない。引き起こ
される症状は頭痛、倦怠感、肩こり、生理不順、風邪症状、下痢、便秘、不眠な
ど、およそ自律神経失調から来るあらゆる症状が該当する。外気との差を5度以
下に抑え、三度の食事はちゃんと取り、睡眠時間を十分取り、規則正しい生活に
努め、ストレスをため込まないなどが重要。
★2.勇気ある広瀬隆氏、明石昇二郎氏をサポートしよう
メールマガジン読者Iさんより
脱原発派の論客・広瀬隆氏とルポライター・明石昇二郎氏が、7月8日に東京
地方検察庁・特捜部に対して東電会長勝俣恒久ら32名を未必の故意によって大事
故を起こした責任者として、重大なる人道的犯罪と断定し、業務上過失致死傷罪
等で刑事告発しました。
広瀬氏は告発に踏み切った目的を「被曝を食い止めたい一心だった。こういう
事故を起こせば刑事告発されるということを日本全国の電力会社に呼びかけたか
った。」と記者会見で述べています。
そして、その根拠ときっかけを「ヨーロッパ放射線リスク委員会(ECRR)が30日
に発表した、福島原発事故によって近隣地域で今後発症すると予想される癌患者
の増加数記事」を読んだことだ、と言っています。
その記事によると、今後10年間で100Km圏内の癌発症数10万人以上、100~
200Km圏内で12万人以上と予測しています。
同委員会は政府が依拠しているICRP(国際放射線防護委員会)が内部被爆を一切
考慮していないことを強く非難しています。
広瀬氏はこれを読んで、今の日本の社会、特に福島県の社会の危機感の希薄性に
非常な危機感を感じ、数年後にも起こる悲劇(特に福島の子供達)を何としても食
い止めたい一心で、告発に踏み切った、と述べています。
日本の法体系は放射能の広域、大量、長期放出を想定していないこと、東電等
の推進派の影響力が司法にも及んでいることが予想されることから考えて、地検
がこの告発を受理し、起訴するかは大いに危ぶまれます。
それを乗り越えるのは世論の力です。
私たち一人一人が広瀬氏をサポートしましょう。
まずは、この情報を拡散しましょう。
詳しくは
URL:http://news.livedoor.com/article/detail/5719806/<http://news.livedoor.com/article/detail/5719806/>
★3.柏市の清掃工場で基準8倍超のセシウム、焼却灰から7万Bq/kgを検出。
(基準は1kgあたり8000Bq)
セシウム汚染の長期サイクル化の可能性も。 (柏市 S・A)
7月11日、各マスコミで自分が居住する柏市の清掃工場から排出された焼却灰
から1キロあたり7万ベクレルを超える放射性セシウムが検出されたと報じられ
た。
市のHP http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/080100/p008818.html によ
ると、市に2か所ある清掃工場及び最終処分場の焼却灰(飛灰固化物・溶解飛灰
固化物)から国の定める8千Bq/kgを越える放射性セシウム(Cs134及びCs137の合
計)が検出され、第二清掃工場に至っては溶解飛灰固化物から7万Bq/kgを超える
放射性セシウムが検出されたと報じている。
当然の事ながら焼却灰に基準値の約9倍にあたる放射性セシウムが検出された
以上、その焼却過程で排出される排ガスによる放射性セシウムの再拡散の恐れが
心配される。このことに関して市側の報告では各施設の敷地境界付近で測定した
空間放出線量は、0.25~0.49μSv/hと、それ以前に測定した東葛6市の空間放射
線量の測定結果である0.30~0.44μSv/hと変わらず、また排ガスそのもの鑑定を
民間(島津テクノリサーチ)に委託し測定したところ、排ガスから放射性セシウム
は「不検出」との回答を得たとしている。
しかしこの回答には疑問が残る。日本鉱物科学会の報告(赤井純治氏)による
と有機物・微生物に取りこまれたセシウムは焼却により確実に排ガス中に放出さ
れ(有機物・微生物に取りこまれたセシウムは有機物・微生物の燃焼と共に沸点
671度でガス化する。通常ゴミ焼却炉ではダイオキシン対策のため焼却温度を800
度以上としている)、更に微細な粘土鉱物自体に付着したセシウムも飛散する可
能性があるとしている(セシウム挙動の4つのステップ)。その場合セシウム汚染
が表層環境で長期にわたりリサイクルして継続する恐れもあると警告している。
柏市の清掃工場の構造を見ると、旧式の北部クリーンセンターでは標準的なろ
過式の集じん器による排ガスの飛灰の集灰・クリーニングを行っており、南部ク
リーニングセンターでは溶解炉排ガス集じん機による飛灰の集灰・クリーニング
を行っている。こうした飛灰の集灰・クリーニング方法の違いにより両工場での
飛灰固形物と溶解飛灰固化物における放射性セシウムの検出量の違いが出たので
あるとするならば、北部クリーンセンターではその分放射性セシウムの空中への
再放出がなされた可能性が極めて高いのではないだろうか。
排ガス中の放射性セシウムの検出方法にも疑問が残る。市の資料によれば放射
性セシウムの採取媒体として、円筒ろ紙、ドレン部、活性炭フィルタのそれぞれ
から採取、測定したといている。しかしこれらの採取媒体では放射性セシウムの
採取媒体として不適切ではないだろうか。セシウムの吸着媒体として適切なもの
は沸石や粘土鉱物であり、これらを採取媒体として使用せずに適切な放射性セシ
ウムの採取は行えないのではないだろうかと思える。そもそも市内の清掃工場は
こうした放射性物質に汚染されたゴミの焼却を想定して作られているわけではな
く、原子力施設排気フィルタとして使用されているHEPAフィルタなどを使用しな
い限り放射性セシウムの空中への再拡散は防ぎくれないのではないだろうか。
更に市の資料では直接排ガスの測定を行った記録は掲載されていない。原子力
委員会の方は1分あたり50リットルの吸引を1週間行い測定する指針が出されて
いるが、市の資料では各工場とも一日のみ上記のような測定方法による測定で不
検出と結論づけられている。
またこうした環境下で作業を行う清掃労働者の被曝も心配である。この件に関
しては市のHPでは全く触れられていないので市の担当課に直接問い合わせたとこ
ろ、マスク、帽子と簡易な防護服?を着用し、作業後は徹底してシャワーによる
洗浄を指導していると回答してきたが、蓄積放射線量のモニター等の対策は一切
取られていないようだった。先の様な着衣であれば、通常の焼却場における作業
員の着衣と全く変わらず、それによりこれほど高濃度の放射性セシウムが検出さ
れる作業場においてどれほどの効果が期待できるのか甚だ疑問である。
何れにせよ採取方法の問題点を含め再度市側へ詳細な説明を協力的な市議員と
共に求めて行く必要がありそうだ。東葛6市の空間放射線量の測定結果である
0.30~0.44μSv/hという高い空間放射線量も、既に「セシウム汚染が表層環境
で長期にわたりリサイクルして継続」した結果によるのかも知れない。7月15日
に報道された柏市の隣接市である野田市の堆肥センターで2千Bq/kg以上の放射
性物質を検出されたとの報道と併せ考えると、ホットスポットエリアでの表層環
境で長期にわたる放射性物質の汚染のリサイクルが開始していると考える方が妥
当だろう。
★4.検証・原発再稼働なしで、電気は十分(東京新聞)
東京電力は東北電力に140万kw支援プラス西日本へも支援
「夏に電力危機が訪れる」はウソだった
○夏に「電力危機」が訪れるのではなかったのか?それで節電キャンペーンが強
制されていたのではないか。しかし、現状を検証すると原発再稼働なしで電気は
十分。プラス東電は東北電力に140万kwを支援するほか、西日本の電力各社へ
の融通まで検討するようになった。以下、7月15日の東京新聞『こちら特報部』
の「『節電キャンペーン』を検証する」の記事を一部抜粋・紹介します。
○日本全国で「節電キャンペーン」が大展開されている。東京電力、東北電力の
管内では企業も家庭も「15%節電」におおわらわ。ついには室温を30度に設定す
る自治体まで登場した。さながら有無を言わさぬ「節電ファッショ」の様相だ。
ところが、電力各社の今夏の電力需給予測を見ると、ほとんどの社で電力は足り
ている。それでも危機をあおる背景には、「原発再稼働」への思惑が見え隠れす
る。
○今年は早くから暑い。節電を意識するあまり、体調不良はおきないか?東京消
防庁によると6月1日から7月13日までに、同庁管内で熱中症で救急搬送された
人は753人。昨年同期の101人と比べ、7倍以上だ。同庁では「高齢者や体の具合
の悪い方は、早めに冷房のスイッチを」と、節電を過剰に意識することによる熱
中症に注意を呼び掛けている。
○「『28度以下にするよう努めなければいけない』との労働安全衛生法の規則も
ある。
○東京電力の「でんき予報」によれば、14日の予想最大需要は4550万kw。最大供
給力5270万kwに対する使用率は86%。実際のピーク時(午後二時台)の使用量は、
ほぼ予想通りの4554万kwだった。関東では最高気温が35度以上の猛暑日になる所
も多かったが、電力は十分足りたわけだ。夏には「電力危機」が訪れるのではな
かったのか。これは「節電キャンペーン」の成果なのか。
○そもそも、電力各社は既に、今夏のピーク時の需要を上回るか、ほぼ同等の供
給力を備えている。火力発電所の再稼働、夜間に水をくみ上げて昼間に発電する
揚水発電の活用、“埋蔵電力”ともいわれる民間の自家発電の余剰分の購入など
で帳尻を合わせた。「定期検査を終えた原発を再稼働させなければ電力が不足す
る」などとさわいだのがウソのようだ。
○東京電力は東北電力に最大140万kwを支援するほか、西日本の電力各社への融
通まで検討するようになった。浜岡原発を全面停止した中部電力も、他の電力会
社から融通要請があった場合には緊急的に応じる考えを示している。
○菅直人首相も13日の記者会見で「節電や自家発電活用などの協力が得られれば
(原発が再稼働しなくても)今年の夏と冬の必要な電力供給は可能だ」と明言した。
ある経産省関係者は声を潜めて言う。「七月まで頑張ってみたが、原発の再稼働
はダメだった。今後は、ますます他の方法で電力を確保する方向に行かざるを得
ない」この言葉は、そのまま原発依存の虚構を物語っている。
(7/15東京新聞の抜粋)
★5.2つのお知らせ
●『放射能汚染の実態とこれからの私たち』講演会のご案内
日 時:7月23日(土)午後6時30分~
会 場:中目黒スクエア内中目黒住区センター2階第5会議室
(中目黒駅から徒歩7分。クラブハウスメグロの名前で借りています)
講 師:大賀あや子さん
(福島第一原発の近くに住み、現在、福島の別な避難所に。)
山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)
参加費:500円 (保育可)
●パンフレットの紹介
タイトル:『被ばく労働自己防衛マニュアル』
発 行:福島原発事故緊急会議
28頁 カンパ200円 たんぽぽ舎でも扱っています。
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たんぽぽ舎では、「地震と原発事故情報」を発信しています。
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