垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを普天間飛行場(宜野湾市)に10月配備する米軍の計画に〝赤信号〟が灯っている。モロッコ、米フロリダでの墜落事故に続き、9月には米国内の市街地に緊急着陸する騒ぎがあった。米空軍側はいずれの事故も「原因調査した結果、構造上の問題ではなく、操縦ミスが原因」と断定。防衛省も米国の調査結果を追認して、沖縄県など地元への説得に四苦八苦している。
森本防衛相の説得工作は実らず
森本敏防衛相は9月11日、沖縄県を再び訪問して仲井真弘多知事と県庁で会談した。防衛相は「墜落事故は人的要因が大きい」とした防衛省分析評価チームの報告書を伝達して配備への協力を求めた。これに対し仲井真知事は「住宅地に囲まれた普天間飛行場でのオスプレイ運用は、現実的に無理がある」と指摘。さらに「普天間は閉鎖し、返還してほしい」と要請して、今回の会談も不調に終わった。
優秀な飛行士が引き起こした事故だけに怖い、
朝日新聞9月2日付朝刊によると、レーガン政権で国防次官補を務めたローレンス・コープ氏は「オスプレイの安全性は昔より向上したが、他の飛行機やヘリより危険が大きい。(一つの機体が)ヘリから飛行機に転換するというのは新しい技術で、ほぼ100%正しく操縦しないと事故が起きる。また注目すべきは、事故を起こした彼らが特殊部隊の一員で極めて優秀だったことだ。……配備予定の普天間飛行場は市街地で、荒野にあるわけではないから心配が募る」との警告も発している。米国内で〝未亡人製造機〟との悪評があるオスプレイ導入を日米両政府がなぜ急ぐのか、全く不可解である。
宜野湾市で10万人の反対集会
9月9日には、オスプレイ配備反対する沖縄県民大会が宜野湾市の海浜公園で開かれ、主催者側発表によると、約10万1000人が集まった。宜野湾市の人口約9万3500人を上回る県民らが広い公園を埋め尽くしたのだから凄い。新聞・テレビが航空写真で、立錐の余地がない大集会の熱気を報じていたが、「1972年の本土復帰後の県民大会では過去最多」という。参加者は口々にオスプレイ配備反対を叫び、最後に「日米両政府は県民の不退転の決意を真摯に受け止め、配備計画を直ちに撤回し、同時に普天間飛行場の閉鎖・撤去を強く求める」との決議を採択して閉幕した。
オスプレイが陸揚げされた山口県岩国市でも同日反対集会があり、東京でも市民1万人が国会を包囲し、「危険なオスプレイ配備反対」を訴えた。全国各地で同様な集会が開かれており、市民運動のウネリは勢いを増している。
原発・領土問題の処理に大変な野田佳彦政権にとって、オスプレイ配備も難題である。真の同盟関係構築のため、米国にどしどし疑問点を質していく姿勢を打ち出してほしい。
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