「通信」1604号に貼られていた以下の報道について、気になったので簡単なコメントを書いておきます。
EUがワクチン輸出規制発表 「ワクチンナショナリズム」に懸念も(毎日新聞) – Yahoo!ニュース
記事の内容も読みましたが、ここではEUが「ワクチン・ナショナリズム」に向かっていると曲解されていることです。
事実は、まったく逆でしょう。アストラ・ゼネカ社の価格を釣り上げた「横流し」については、前回書いた通りですが、ここにある本質は、共同解決に向けた相互協約でした。そしてこの価格つり上げに関しては、イスラエル、アメリカへのワクチン販売でも、メディアでそれとはなしに、公然と語られているのが事実です。その協約を破ったのがアストラ・ゼネカ社であるのは、誰も反論できないところでしょう。
それをEUから批判されたイギリスの保健大臣が、本質を捻じ曲げ、「EUのワクチン・ナショナリズム」と反論し、首相ジョンソンは、〈イギリスの緊急事態(だからワクチンが必要)〉と強調していました。
この問題を報道するのであれば、イギリス政治家の発言をそのまま垂れ流すのではなく、言葉の裏を取らなければならないと思うのです。そこでの問題は、Brexitにあるというのが私の意見で、Brexitが「ワクチン・ナショナリズム」を扇動し、EU内の混乱を引き出していることです。
日本の海外特派員の無能さと危険性がモロに現れている報道かと思われ、腹立たしくなります。事態の相互関係が読めないのです。
もう一つの点は、Brexitの肩を一方で担いだ労働党の責任です。コービンでしたか、当時の党代表は、最後は反ユダヤ主義で辞任しましたが、党組織の存立を問うこの問題は、私の知りうる限り議論されることなく今日まで素通りしてきているように思うのです。
以上ですが、こうした報道が流されれば、トランプ、ジョンソン、プーチンの輩は諸手を振って好き勝手な言動するでしょう。それが一番危ないです。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion10525:210204〕