「パナマ文書」解体(1):国際納税回避封じ込め対策「BEPS」について + 2つの「真実報道」を支えてください( 『DAYS JAPAN』、OUR PLANET TV)

露骨化する自民党の本音とその正体

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  • 富山市議「取材メモ」ひったくり、地元紙怒りの被害届、

報道抑圧「辞職すべき」(東京 2016.6.21)

http://mainichi.jp/articles/20160611/k00/00m/040/075000c

http://www.sankei.com/west/news/160610/wst1606100037-n1.html

 

(田中一郎コメント)

報道機関が政治家の言動を取材する意味は、その報道機関が日々多忙な有権者・国民・市民に成り代わって、選挙で選ばれた有権者・国民・市民の代表である議員達がきちんと期待される仕事をしているかどうか、有権者・国民・市民に対してなした公約を誠実に果たしているかどうかなどなど、その仕事ぶりを「公の立場から」チェックするというところにある。その報道機関の記者に対して、この「オレさまオヤジ」=中川勇富山市議はいったい何をしているか! である(怒)(「取材メモのひったくり」を「強奪でなくて回収だ」などとほざいているようだ)。

しかし、この人は、事件が起きて後も自民党富山県連の副幹事長を続けているというのだ。そうか、自民党という政党は、一方では女性議員に対する蔑視・差別ヤジを飛ばしまくり、また、その大将格の人間(麻生太郎)が「老人はいつまで生きているつもりだ(介護や医療にカネがかかるではないか)」などと暴言を吐き、他方では、報道機関に暴力までふるってその取材活動を妨害するような人間たちが、その要職に就くという政党なのか。富山県の有権者・国民・市民のみなさま、こういう連中=つまりは自民党に、いつまで投票を続けるのですか。彼らは、完璧なまでに有権者・国民・市民=つまりは富山市民・県民を愚弄しています。(取材妨害のみならず、今回事件の問題の中心にあった議員報酬引き上げ問題や市議会の運営をめぐっても、いかに富山自民党が出鱈目かが記事を読むとよくわかります)

(記事を一部抜粋)「(地方議会の問題に詳しい上脇博之・神戸学院大教授(憲法)は)「中川氏は暴行を認めていないし、謝罪もしていない。議会は厳しく真相を解明すべきで、他のメディアも自分のこととして喚起する必要がある」として、こう警告する。「これで幕引きにしては、地方議員の横暴を助長させる。何より議会やメディアの後ろにいる市民のためにならない」」。

 

(関連)安倍政権と自民党は「表現の自由」に対して何をしてきたか

http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota12/hyogennojiyukougeki.pdf

 

(関連)「チンは老いても生きておるぞ、なんじ人民、老いればさっさと死ね」(麻生さん、こういう意味ですか?)= 麻生副総理「さっさと死ねるように」発言を撤回 高齢者高額医療費問題で – 産経ニュース

http://www.sankei.com/life/news/130121/lif1301210009-n1.html

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パナマ文書に関連して、昨今、資産家・富裕層や多国籍巨大企業などの国際的納税回避行為封じ込めの「切り札」のように言われ始めているOECD主導の「BEPS」(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)という取り組みに関する文献です。関連した若干のものとともにご紹介いたします。はたしてこれで、ほんとうに国際納税回避行為や脱税は防止できるのでしょうか?

(1)OECDにおけるBEPSと自動的情報交換への取組(浅川雅嗣『金融財政事情 2014.11.24』)

(2)BEPSとアクションプラン(志賀櫻『タックス・イーター』(岩波新書2014年12月)

(3)行政改革と市場原理主義(志賀櫻『タックス・イーター』(岩波新書 2014年12月)

(4)合田寛 ビッグイシュー20160615

1.OECDにおけるBEPSと自動的情報交換への取組(浅川雅嗣『金融財政事情

2014.11.24』)

http://store.kinzai.jp/magazine/AZ/201411-3097.html

(田中一郎コメント)

論文は現役の財務省官僚が執筆したもの。エリート官僚の書いた文章だけあって論理明解で、これを読んでいると、まもなくこの「BEPS」とかいうOECDが主導する取組や「(税務や金融などに関する)自動的情報交換」の仕組みにより、国際納税回避行為や脱税は根絶されるのではないかという「錯覚」に陥る。はたしてそうなのか。下記には私の疑問点を列記しておきたい。調子のいい文書には必ずと言っていいほど落とし穴があり、また、巧言令色鮮仁である。気を付けよう、暗い夜道に霞が関、ではなかったか?

 

(1)この論文は実は今から2年ほど前の2014年11月に金融業界誌の『金融財政事情』に掲載されたものである。その後約2年間の間に、国際納税回避行為がどこまで追い詰められたのか大いに疑問である。

(関連)インターナショナル タックス TOP:BEPS(税源浸食と利益移転)

http://www.eytax.jp/services/international-tax/ome/beps.html

(2)OECDが策定する「BEPS」によるアクションプランは、いわば国際税務における「ベンチマーク」的な意味を持つが、これが具体的に実現していくには、世界各国がこの「BEPS」アクションプランを忠実に反映した国内法の整備をしていかなくてはならない。また、各国どうしが取り結ぶ租税条約の改定とも関係するので、この論文にあるように、一本の多国間協定を策定し、これを多数の参加国が批准することによって既存の二国間条約を一気に改正することが望ましのであるが、はたしてその取り組みが進んでいるのかどうかである。

(関連)BEPS行動8ー10及び13の国別実施状況:移転価格及び移転価格文書

化に 関するBEPS行動の実施状況の調査

http://www.eytax.jp/tax-library/thought-leadership/beps-survey-report-2015.h

tml

(3)更に、仮にほとんどの国で、この「BEPS」アクションプランに等しい内容の法制化がなされたとしても、今度はそれが税務当局によって適切に運営されるのかどうかという問題がある。我が国の場合は、上記(2)も含めて、財務省が所管する国税の姿勢が非常にうさんくさいので、ひょっとすると「宝の持ち腐れ」となってしまう可能性も無きにしも非ずである。また、地方税に関しては人材も含めて体制の問題があり、こうした国際的な納税回避行為を各自治体が単独で追いかけていくには限界があるように思われる。

(4)納税義務について、いわゆる「経済活動地主義(源泉地主義)」(A)をとるのか、「活動主体所在地主義(実質支配主義を含む)」(B)をとるのかという大問題があり、「BEPS」のアクションプランを見る限り、これについての対応がないように思われる。納税主体=活動主体の所在地と活動地、そしてその定義を巡り、きちんとした一定のものを用意しないと、いつまでたっても「納税回避の抜け道」はなくならないのではないか。私は、前者(A)「経済活動地主義(源泉地主義)」を徹底すべきで、それが徹底できない国に対しては、ある種のペナルティ的な対応も考えるべきではないかと思う(活動地を提供した国に一定水準の源泉税徴収を認めるなど)。

(5)「BEPS」には、納税回避行為や脱税に関する「時効」の問題、あるいは再発防止対策としてのペナルティ=重加算税に関する記載もない。私はここまで納税がおかしくされている今日、それを大きく抑え込むためには、かなり厳しい「加算税」の制度化と、税金逃れの「やり逃げ」を許さないための「時効」の延長、そして主として資産家・富裕層や巨大企業の納税状況を個別具体的に監視する「マルサ体制」=「平成マルサの女」「平成マルサの男」の体制拡充が必要ではないかと思っている(当面、法人税対策、所得税対策(個人)、相続税・贈与税対策、の3つに分けて対応すればよい、もちろん納税回避防止のための追加法制化の検討も含む)

(6)無税(源泉税含む)・無規制の、いわゆる「オフショア市場」特権を廃止せよ

ユーロダラー市場に代表される「オフショア・マーケット」の由来は、冷戦時代に旧ソ連が国際決済通貨である米ドルをアメリカの銀行に預けておくことを良しとせず(敵対関係だったから)、その差し押さえや源泉税徴求を嫌って、英ロンドンにある非米銀行・金融機関に米ドル及び米ドル建て有価証券などを預けたところから生まれたとされている。その後はアラブのオイルマネーや、さまざまなアングラマネーなども混じりこみ、巨大な金融市場に膨れ上がってしまった。その最大の理由は、いわゆる「外々取引」=つまり、非居住者の銀行・金融機関が非居住者からマネーや金融資産を預かるので、もともとの通貨国の主権が及びにくく、金融規制や税制の強制適用が難しいところから、オフショア・マーケット=無税、無規制、非公開の「フリーマーケット」として、「当たり前」の存在となってしまった。この状態を少しでも「国内並み」=つまり「オンショア・マーケット」に近づけ、適切な社会的規制や納税の義務付けをしていくことが肝要かと思われる。簡単に言えば、非居住者税制や非居住者金融規制の適性化だ。

2.志賀櫻『タックス・イーター:消えていく税金』(岩波新書 2014年12月)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033190084&Acti

on_id=121&Sza_id=B0

  • BEPSとアクションプラン(志賀櫻『タックス・イーター』(岩波新書 2014年12月))
  • 行政改革と市場原理主義(志賀櫻『タックス・イーター』(岩波新書 2014年12月))

(関連)『タックスヘイブン:逃げていく税金』(志賀櫻 岩波新書 2013年3月)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032894652&Acti

on_id=121&Sza_id=B0

(田中一郎コメント)

志賀櫻氏の岩波新書1冊目『タックスヘイブン:逃げていく税金』(上記)は非常に興味深い著書でしたが、2冊目の『タックス・イーター:消えていく税金』(上記)の方は、その内容がありふれていてあまり面白くないので、しばらくの間、途中まで読んで放り投げていました(例えば、別添PDFファイルの「行政改革と市場原理主義」に記載されているようなことは、これまで日本の経済・社会の「失われた20年」の原因となった市場原理主義と規制緩和肯定論の典型のような内容で、とてもOKできるような代物ではありません)。

しかし昨今、その著者の志賀櫻氏が亡くなられたとお聞きして、驚いて放り投げていたものを再び手に取り、先般全部読み終えました。結果として、この2冊目の岩波新書は、最後の2章=「第5章 国境を越えて―タックス・イーターとの戦い 国際編」と「第6章 問題の所在と対策」のところに「ミソ」がありました。別添PDFファイル=略は、その中の「BEPSとアクションプラン」として故志賀櫻氏がまとめておられる部分を抜き出したものです。志賀氏はここで「BEPS」について、「ただし、BEPSにおける最大の問題点は、多国籍企業による極めて巧妙な租税回避行為を、このような過去の問題の棚卸し程度のプランだけで防遏(ぼうあつ)できるかという疑念がぬぐえないこと」だと書いておられる。私もそうではないかな、つまり、未来に向けて何らかの「先手」を打っていかねばならないのではないか、と素朴に思う次第である。

それにしても、志賀氏が嘆いておられるように、世界の巨大多国籍企業(というより無国籍企業)が、優秀な頭脳をこうした国際納税回避行為のために、巨額の報酬を与えて各国税法を研究させるという、いかにも不生産的で反社会的な行為を行っていることに、非常なおかしさを感じるものです。税制の公正を担保する意味のみならず、人的資源の社会的浪費を回避するためにも、この国際納税回避行為や脱税の横行を早急に根絶する必要があるように思います。

4.合田寛 ビッグイシュー20160615:「パナマ文書は氷山の一角、タックスヘイブンは世界に網の目を張る」

国際税制とタックスヘイブン研究で我が国の「第一人者」・合田寛先生の直近のレポートです。また、下記の英文サイトは合田寛先生からご紹介をいただいたものです。「パナマ文書」暴露を受けて、早くもジャパン・マネーがタックスヘイブンのケイマン諸島から逃げ出していて、その合計金額がわずかな期間の間に(出入りの差引ネット金額で)1兆円を超えているとあります。よほど「太陽の光」が怖くて「表に出られないブラックマネー(ゾンビマネー)」のようです。その金額のすさまじさには驚くばかりです。こうしたカネが本来なら日本の税収になっていたのですが、タックスヘイブンへ逃げてしまったがために私たちが消費税増税の重荷を背負わされるハメに陥っているのです。消費税などバカバカしくて払ってられるか!! ですね。彼らは、「税金なんてものは、世の中の仕組みを知らない「お人好し」か「間抜け」が払ってりゃいいんだよ」とせせら笑っているに違いありません。

(関連)Japan investors shy away from Caymans- Nikkei Asian Review

http://asia.nikkei.com/Politics-Economy/Economy/Japan-investors-shy-away-fro

m-Caymans

(関連)『タックスヘイブンに迫る 税逃れと闇のビジネス』(合田寛著:新日本出版社)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033155731&Acti

on_id=121&Sza_id=G1

<追1>今月号の 『DAYS JAPAN』

https://www.daysjapan.net/about/index2.html

https://www.daysjapan.net/

今月号の 『DAYS JAPAN』も見逃せない記事で満載です。どうぞこの機に定期購読をお願い申し上げます。 『DAYS JAPAN』は企業や官庁などからの広告宣伝費を断り、みなさまの購読料のみで運営されている日本で数少ない真実報道のフォト・ジャーナリズム雑誌です。別添PDFファイル=略は、今月の注目記事のイントロ部分のみを切り抜いたものです。ご参考までに。

  • 進行が遅いなんて嘘? 大人の甲状腺がん(イントロ部分)(おしどりマコ『DAYS JAPAN 2016.7』)
  • 甲状腺がん予防のヨウ素剤服用、うやむやにした責任者は誰か(イントロ部分)(広河隆一『DAYS JAPAN 2016.7』)

<追2>OUR PLANET TVをご支援ください

白石草氏が主催するOUR PLANET TVは、福島第1原発事故に関連した様々な情報や「福島県民健康調査検討委員会」に関する報道など、あるいはその他の現代日本が抱えるさまざまな社会的問題について、迫真でタイムリーな高品質クウォリティ報道を続けてくれています。みなさまにも、どうかこのOUR PLANETTVの会員になって、この卓越した真実報道や取材活動を支えていただきますようお願い申し上げます。(入会の申し込みについては、下記の別添PDFファイル「OFFLINE ONLINE VOL27(OUR PLANET TV 2014.8)」の最初のところをご覧ください:年会費は個人が1万円、団体が5万円です)

(関連)OUR PLANET TV サイト

http://www.ourplanet-tv.org/

(関連)ABOUT US  OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/63

(関連)福島原発関連情報  OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

http://www.ourplanet-tv.org/?q=taxonomy/term/83

(関連)OUR PLANET TV フェースブック

https://www.facebook.com/OurPlanetTV

(関連)(別添PDFファイル)OFFLINE ONLINE VOL27(OUR PLANET TV 2014.8)

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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