「ロシア軍は即時撤退を」「憲法改悪絶対反対」の声相次ぐ  東京で3年ぶりの憲法大集会 

 「ロシア軍はウクライナから即時撤退を」「憲法改悪絶対反対」。憲法記念日の5月3日(祝日)午後、東京湾に臨む東京・有明防災公園で開かれた「改憲発議許さない!守ろう平和といのちとくらし2022憲法大集会」は、ウクライナ戦争の真っ最中であることや、この戦争に乗ずる形で日本国内で軍備増強や改憲への動きが勢いを増していることを反映して、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアと改憲を推進する自民党や岸田政権を糾弾する声が相次いだ。

有明防災公園に集まった人たち

 護憲団体が統一して毎年憲法記念日に開く憲法大集会は2015年に始まったが、2020年と2021年は新型コロナウイルスの感染拡大のためやむなく中止。したがって、今年は3年ぶり6回目の大集会となった。

 会場には、労働組合員のほか、護憲団体・平和団体、宗教団体などの関係者ら約1万5000人(主催者発表)が集まった。2019年に開かれた第5回大集会の参加者が6万5000人だったことを考えると、それのざっと4分の1だが、これには、コロナ禍がまだ終息していないので参加を見合わせた人がいたことや、雲一つない快晴に恵まれたこともあって行楽地に向かう人が多かったことが影響したと思われる。

こんなノボリを掲げた参加者も

 集会では、主催者を代表して藤本泰成さん(平和といのちと人権を!5・3憲法集会実行委員会)があいさつ。その中で、藤本さんは「ロシアによるウクライナ侵攻は、他国への武力による威嚇や武力の行使を禁じた国連憲章に違反しており、ロシアの行為を絶対に許すことが出来ない。ロシア軍は直ちに撤退すべきだ」と言い、さらに「ロシアは自らの行為を自衛権の行使だと主張している。そればかりでなく、これまでの世界の戦争は、すべて、自衛権の行使を理由に起こされている。日本国憲法はこうしたことへの反省から生まれてもので、第9条は交戦権を放棄し、なおかつ自衛権も否定している。したがって、日本政府はウクライナ戦争に乗じて防衛費を倍増したり、米国と核を共有することはやめ、平和外交に徹すべきだ」と述べた。

会場の一角に掲げられていた横断幕

 その後、野党の国会議員のあいさつ、憲法審査会、ジェンダー、日米地位協定、貧困・雇用問題などに関する報告があったが、最後に市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)運営委員の中野晃一・上智大学教授が連帯のあいさつをした。その中で、中野教授はこう述べた。
 「今朝の朝日新聞に、同社の憲法に関する全国世論調査の結果が載っていた。『次の政治課題の中で、あなたが政治にもっとも優先的に取り組んでほしいものはどれですか』という問いがあり、その回答が載っていた。それによると、憲法(改憲または護憲)を挙げた人はなんと2%に過ぎない。それに対し、景気・雇用、年金・医療・介護、教育・子育てを挙げた人は計68%。要するに、国民は早急な憲法改正など望んでいない。それよりも、命と暮らしを守ってほしいと政府に望んでいるのだ。私たちは、これまで、命と暮らしを守ることを優先しようということでやってきた。これからもそうしたい。来たる参院選ではそのために頑張りましょう」と訴えた。

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/

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