「九電玄海4号 ドタバタ再稼働」など 地震と原発事故情報 その221

4つの情報をお知らせします(11月4日)

 ◇ 残念ながら、玄海原発4号機が稼働したため、日本の原発・全54基のう
  ち、現在43基(80%)が停止、稼働しているのは11基(20%)。
   今後、再稼働をみんなの活動で阻止できれば、2012年春頃には全原
  発の停止が実現する。原発なくとも電気はだいじょうぶ(天然ガス、火
  力、その他)。
   今、運転中の11基も早く停めてほしい-地震・余震が心配。

★1.玄海原発4号機の運転再開をしてはならない追加の理由
   設置許可は無効、やらせ問題も未解決、30キロ圏内の住民の合意をとれ
   山崎久隆
★2.九電玄海4号 ドタバタ再稼働
   地元「唐突」波紋広がる。燃料節約と言うが…やらせ問題棚上げ
   既成事実つくりたい? 批判の経産相なぜ容認?
   周辺市に連絡なし 慎重意見を無視
★3.東京湾に浮かぶ2つの原子炉
   マグニチュード7の地震の可能性(30年以内に)
   原子力空母の横須賀基地を視察   吉原節夫
★4.メルマガ読者からの講演・デモのご案内3つ
  イ.11/5デモ・南相馬市役所前集合
  ロ.11/5ワークショップのご案内です
  ハ.11/19どうする 東京都内で~震災と原発の廃棄物処理~

★1.玄海原発4号機の運転再開をしてはならない追加の理由
   設置許可は無効、やらせ問題も未解決、30キロ圏内の住民の合意をとれ

                       山崎 久隆

 11月2日に行われた院内集会で採択された要請書にある、玄海原発の「運転再
開をしてはならない4つの理由」に付け加えて、さらにいくつかの理由を示して
おきます。ただし、これは私の個人的見解ですので念のため。集会参加者で合意
しているというわけではありません。

 ●まず、そもそも論●

 玄海原発がどのような理由で止まろうとも、いったん運転を停止した原発が再
開するにあたり、まず政府自らが決めたルールを守らねばならない。
 3.11原発震災を受け、ありとあらゆる安全規制行政が機能せず、原子炉を溶融
させ大量の放射能を発散、拡散させた「原子炉等規制法違反事件」を引き起こし
た当事者の一人である行政が考えた「茶番に過ぎない」とはいえ、また規制当局
が主観的に作ったにすぎなくても、あるいは内容がお手盛りで到底安全に寄与し
ないとしても、そうであってもストレステストを経なければ再起動などしてはな
らないはずだ。これは「最後の矜持」というべきものだ。
 あれはいい、これはだめ、今回の原発震災を受け手の規制当局の姿勢は、場当
たり、無法、いいかげん、住民の神経の逆なで、あらゆるデタラメさが蔓延して
いる。行政の公平性(フェアネス)も、規制当局の規範性(コンプライアンス)
も、大きく崩れてしまい、これでは何が正しいか誰にも分からなくなっている。
当事者でさえ。
 これでは、いかなる安全行政も成り立たない。
ストレステスト自体が現行の原子力規制行政の法の外にあるので、運用も恣意的
にされているとしたら、そんなものに従う者は誰もいない。早晩、電力や産業側
が原子力村の「専門家」を動員して巻き返しに掛かるだろうが、その際に玄海原
発で行った恣意的運用が、安全側に立とうとする原子力規制当局の意思を破壊す
る。(もっとも、そんな高尚な者が今の原子力規制当局に居れば、の話だが)

 ●設置許可は無効●

 3.11により失われたものがもう一つある。それは防災対策だ。
 原子炉設置許可の段階で行われた地震や津波防災の考え方が、全くダメだった
と言うことだ。
 ストレステストのテーマにもなっているのだが、福島第一を襲った地震や津波
の規模や打撃力の評価が全くなっていなかったことが明らかになった。
 これは他の原発であっても全部そうなるだろう。福島だけがダメであとはOK
などということはあり得ない。なぜならば、地震津波対策の基本思想が全部同じ
だからだ。
 ありえるのは「偶然、たまたま」大きな地震を受けたのに揺れが小さかった、
津波が低かったという「可能性」だけだ。つまり原発の安全規制そのものがギャ
ンブルと化しているのだ。設置許可の段階までさかのぼり、その妥当性を問い直
すことが、廃炉にしないならば絶対に必要なことなのに、運転を続けながら検証
するなどと、欠陥風洞試験を行っていたことが分かった旅客機を定期路線で運航
しながら強度試験をやり直すようなものだ。もちろん世界中でそんな恐ろしいこ
とが許される国は存在しない。

 ●やらせ問題の解決も無し●

 誰が辞任するかとか、知事が指示したかしないかとか、そんなことは些末なこ
とだ。九州電力のみならず、規制当局であるはずの国も加わって、原発の新増設
からプルサーマル強行などさまざまなシーンで、世論誘導どころか、世論のねつ
造さえ行われていた。今、運転をして良いかどうか、世論操作せずに率直に聞い
たらどうなるか。とても怖くて聞けないから依然として同じ穴の狢の県知事、町
長に了解を取ったことにする。何処をどう反省しているのか、といば、もはや開
き直っているのだ。
 九州電力が設置した「はずの」第三者委員会郷原委員長は、さすがにこのデタ
ラメさに猛然と抵抗し、県知事と九州電力の報告書否定を批判している。
 運転再開どころか、県と電力と国の規制当局の信頼性に重大な疑義がある時に、
これらがよってたかって運転再開を認める、実行するなど、どうやってもあり得
ないだろう。一言でいうならば「恥ずかしくは無いのか」。

 ●動かすなら少なくても30キロ圏内の住民の同意を取れ●

 現在、原発周辺自治体は10キロ以遠30キロ以内の範囲で頭を抱えているか、ま
たは、我が意を得たりと対策本部を作るなどの動きになっているだろう。10キロ
圏外はいままで埒外に置かれ、どんな危機感を表明しても無視され続けてきた。
東京都内の市区町村でも浜岡原発の安全性を問う議会決議なども何度もなされて
きたが、まともな回答は一つも無かった。
 浜岡原発の廃炉を求める決議や意見表明は牧之原市や焼津市からも上がってい
る。もはや全国が当事者なのだが、とりあえず原子力安全委も認めざるを得なく
なっている30キロ圏内EPZ(緊急時計画区域)に少しでも掛かる自治体は、今
すぐ原発の安全体制について発言をする権利を持っている。
 玄海原発の再起動についても、同様に少なくても30キロ圏内の住民同意を取り
付けてからだろう。具体的には、福岡県糸島市、佐賀県唐津市、伊万里市、長崎
県松浦市、佐世保市、平戸市、壱岐市だ。これらの自治体が住民の意思を聞き、
防災体制を議論することが先決だ。
 今後何処の原発だろうが、「そんなことは常識」にしていかなければならない。

★2.九電玄海4号 ドタバタ再稼働
   地元「唐突」波紋広がる。燃料節約と言うが…やらせ問題棚上げ
   既成事実つくりたい? 批判の経産相なぜ容認?
   周辺市に連絡なし 慎重意見を無視

◯ 作業ミスで自動停止していた九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)4号機は1
日、ほぼ1カ月ぶいに運転を再開し、4日には通常運転に戻る見通しだ。東京電
力福島第一原発事故後、止まっていた原発が動くのは初めて。しかも、やらせメ
ール問題が決着していない中での再稼働には、原発反対派ばかりか賛成派も疑問
符をつける。”唐突”な再稼働に振り回された地元を歩いた。(略)
◯ 九電玄海4号機のトラブルは、タービンを回した蒸気を冷やして水に戻す
「復水器」の補修作業中に起きたが、誤った手順書にのっとって作業をしたこと
による「人為ミス」が原因だ。定期検査で停止した他の原発は、再稼働するため
にはストレステスト(耐性評価)を受けねばならない。トラブルで止まった4号
機の場合は、これにあてはまらないため、経済産業省原子力安全・保安院が「再
稼働は事業者(九電)の判断で行う」とゴーサインを出したのだ。4号機は十二
月中旬には、定期検査が予定されており、再稼働したとしても一カ月あまり後に
はまた止めなくてはならない。それでもあえてこの時期に動かした意図をいぶか
る声が地元でも少なくない。(略)

◯ 九電が、予想していた反対派の抗議や非難に加えて、周辺自治体の不興を買
ってまで再稼働を急いだのは、たとえ一カ月でも原発を動かすことで、火力発電
用の燃料費を節約しコストを削減するためとみられている。「そういう側面もあ
るが、とにかく『福島後に止まった原発を動かした』という既成事実をつくりた
かったのではないか」と推測するのは、「脱原発ネットワーク・九州」の深江守
代表。原発の再稼働を一つでも認めさせれば、他の原発も動かしやすくなる。4
号機の運転再開はその足掛かりというわけだ。「九電は、やらせ問題で世間の糾
弾の矢面に立たされたが、最近は何とかしのげると踏んでいる節がある。推進派
にとって好材料を提供することで、会長や社長は『われわれがいれば全面的な運
転再開は可能だ』と力を誇示したつもりでいるのだろう」

◯ 玄海原発4号機の再稼働に、各地で反発する声が響いた。地元・佐賀の「玄
海原発プルサーマル裁判の会」は、二日午前、佐賀県庁を訪れ「地元住民の意思
を無視している」として、運転再開中止を訴える要請書を古川康知事宛てに提出。
石丸初美代表は東京の参院議員会館で会見し、「九電は何が何でも動かそうとい
うことがさきにある。住民無視の強行だ」と怒った。さらに再稼働を容認した枝
野幸男経済産業相に矛先を向け「やらせ問題で九電はうそをつくのが平気な企業
だと分かった。信頼は既に失っている。枝野さんんも(九電を)批判していたは
ずなのに、言っていたことと、やってることが違う」と批判した。全国百五十の
市民団体は連名で、運転再開を停止するよう求める要請書を枝野経産相の事務所
などに提出した。また九電東京支社の前では、約八十人が「玄海原発を止めろ」
などと声を上げたほか、福岡市の本店にも市民ら七十人が集まり、運転停止を求
める真部利応社長宛の要請書を手渡した。(2011/11/4『こちら特報部』東京新
聞より抜粋)

★3.東京湾に浮かぶ2つの原子炉
   マグニチュード7の地震の可能性(30年以内に)
   原子力空母の横須賀基地を視察

 「なにもこの日に限って降らなくとも」と恨めしく思いながら、横須賀市追浜
の榎戸バースから小さなボートに10人が乗り込む。10月5日午後1時半。L版の
ビニール・レインコートを着、その上にライフジャケット。船長は横須賀市議の
山城保男さん。退職者の会の91歳になる佐藤敏昭会長以下8人。それに解説者の
市川平さん。
 雨の中を出港。幸い風はない。それでもスピードが出ると雨は横殴りになり、
顔に雨が滴る。最初は海上自衛隊横須賀基地を一巡。現役の軍艦を眼前に見るこ
となど滅多にない。巨大な鉄の塊だが、専用バースの風景に収まってしまう。そ
れだけ軍港は広いのだ。
* 本番の米軍基地に入る直前、海自の監視艇が猛スピードで接近し、何か叫ん
でいる。これ以上近づくな!という警告らしい。まさか体当たりをする訳はない
が、その危険を感じさせる。まさに威嚇である。
 原子力空母母港化反対運動の活動家でベテラン解説者の市川さんは少しも動ぜ
ず、「今日は反対運動じゃない。案内しているだけだ」とハンドマイクで反論。
さらに引き返せと求める監視艇に向かって「市の管理する海にいて、何故いけな
いんだ。一回りしたら帰るから」と取り合わず、そのまま運航を続ける。
 監視艇は諦めたように引き下がり、気がつくと、代わりに海上保安庁の小型巡
視艇がついてくる。「あれはデモの脇に立つ警官のようなものです」と市川さん。
 横須賀の米海軍基地を母港とする艦船は11隻。原子力空母ジョージ・ワシント
ン(G・W)を軸に揚陸指揮艦ブルーリッジ、イージス巡洋艦2隻、イージス駆
逐艦6隻、ミサイル駆逐艦1隻。全部いたらさぞ圧巻だろうが、残念?なことに
G・Wは9月中旬に急拠、アジア方面に出動し、随行艦とともに不在だった。
* 視察終了後、場所を市の産業会館に移して、呉東正彦弁護士の話を聞く。原
子力空母の母港化反対運動の中心人物だ。
 G・Wには60万キロワットの原子炉2基が積まれている。横須賀市内には4つ
の大きな活断層が走る。基地内には原子炉冷却用の純水プラントがある。M6~
7の大地震が30年以内に起きる可能性が高い。原子炉事故が起きたら、三浦半島
全域が致死被害となる。
 呉東弁護士らは、地方自治法が定める港湾管理権を武器に、軍港湾施設の新増
設に反対するため、原子力空母反対派の市長選に関わり、当選させてきたが、反
対派だったはずの市長は当選した後腰が重くなり、空母受け入れのための増設は
どんどん進んだ。国からの強い圧力だ。
 次に取り組んだのが「原子力空母の是非を問う住民投票」。2回やって5万票
を集めたが敗北。また、施設の増設差し止め訴訟もやってきたが10回敗北。今、
最高裁で争っている。福島原発事故後、女性や各種の運動体が独自の反対運動を
始め、地域に広がっている。
 原子力空母の出す放射性廃棄物に対し、基地で働く全駐労は就労を拒否してい
るが、基地に関わる住友重機の下請け、孫請け、その関連零細企業労働者は拒否
しきれない。課題は尽きないが、息の長い戦いだ。知恵を出して闘い続けるしか
ない。呉東弁護士は悲観していない。 (吉原 節夫)
          (週刊新社会11月1日号より、了解を得て全文転載です)

★4.メルマガ読者からの学習・講演・デモのご案内3つ

 イ.11/5デモ・南相馬市役所前集合

 日 時:2011年11月5日(土)11:00
場 所:南相馬市役所前集合
主 催:フクシマの命と未来を放射能から守る会
呼び掛け人:小武海三郎、志賀道廣、小澤洋一、名畑昭一、岡田弘行、
      中野目健一
目 的:脱原発・子供を放射能から守る・被害者救援他

*デモ終了後、参加者の意見を集約すべく、また会の拡大に向けた懇談会を
開催予定です。折り込み広告はまだ未完成のため完成次第お送りします。
拡散宜しくお願いします。福島県南相馬市 志賀道廣

 ※編集部より、11/5の案内でしたが掲載が遅くなりました。
  申し訳ありませんでした。

 ロ.11/5ワークショップのご案内です

 みなさま、こんにちは!東電前アクションのワークショップチームです。
 私たちは、7月から月に1回、脱原発に向けてのワークショップを開いて、
 どうしたら効果的に脱原発に向かうかアイディアを出し合っています。
 次回のワークショップは、11月5日(土)の13:30から
 会場は、「パフスペース」
 (地下鉄東西線早稲田駅馬場下口2か3bから徒歩2分フェニックスビル3F )
        http://pafspace.com/riyou/riyou-3.html)
 テーマは「みんなで作ろうデモグッズ!」です。
 手作りのプラカードや楽器、パペットをみんなで作ってみましょう!!!
 なお、参加者全員でハンドペイントの横断幕を作る予定です。

 下記のメールアドレスまで参加申し込みのメールをお願いします。
 飛び入りでもOKです。宛先:toudenmae.action@gmail.com
 件名:「第4回ワークショップ参加希望」
 本文:お名前、作りたいもの、などを記載の上、送信してください。
【持ってきてほしいもの】
参加費500円+αのお気持ち
 みなさまのご参加を心よりお待ちしています。

 ハ.11/19どうする 東京都内で~震災と原発の廃棄物処理~
           廃棄物処分場問題全国ネットワーク
                  共同代表 藤原寿和

   日 時:11月19日(土) 13:30~16:00
   資料代:500円
   会 場:たんぽぽ舎5F
     〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル5F
       TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797
      HP http://www.tanpoposya.net/

 5月に下水処理汚泥の焼却灰から高濃度の放射能が、7月には一般廃棄物の焼
却灰からも放射能が検出、自治体の通常業務に大きな影響が出はじめました。
放射能汚染された廃棄物焼却による汚染拡散の不安や疑問の声が出ています。
東京都は11月3日 都民の声を聞くことなく岩手県宮古市の災害廃棄物1万1000
トンの受け入れを開始しました。
 日本の人口の十分の一が暮らす大都会東京、震災と原発の廃棄物処理による土
壌、水、大気の汚染。都民の不安と責任。
 まず現状を知り、叡智を結集せねばとの思いの集会です。
 ぜひ、お誘い合わせ ご参加下さい。

共 催:止めよう!ダイオキシン汚染 東日本ネット (連絡先03-3982-1498)
水銀汚染検証市民委員会(連絡先 03-3915-1612)

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[たんぽぽ舎 編集部より]
 メルマガ読者からの集会・デモ・講演会のお知らせ、その他投稿歓迎。
「集会・デモ・講演会のお知らせ」に関しては、タイトル及び内容を400字
以内で、またその他投稿に関しては400~800文字以内でタイトル及び内容
をお送り下さい。宛先は、magazine@tanpoposya.net です。
尚、お送り頂いた投稿は集会・デモ・講演会のお知らせを含めて紙面の都合上
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