「原発『争点隠すな』 滋賀知事 民主代表選を批判」など 地震と原発事故情報 その153

4つの情報をお知らせします(8月25日)

★1.お米の放射能がこわい-政府の基準値は高すぎる、下げよ
   内部被曝線量から換算したお米の摂取限度    山崎久隆
★2.たんぽぽ舎・2つのおさそい
★3.原発「争点隠すな」 滋賀知事 民主代表選を批判
★4.広島原爆168個分
   福島第一セシウム汚染 政府試算出る―毒性残留期間が原爆より長い

★1.お米の放射能がこわい-政府の基準値は高すぎる、下げよ
   内部被曝線量から換算したお米の摂取限度    山崎久隆

○ そろそろ米の収穫時期が近づき、千葉や茨城などで放射性物質の測定が始まりました。
 米は主食なので、安全性を考えて副食系の食材よりも厳しい摂取限度を取るべきだと思
うのですが、依然としてキログラムあたり500ベクレルと、恐ろしく高い数値を「基準値」とし
ています。
 さらに、大量の米を全量検査することは出来ないからと、スクリーニングをすることに
なると予想されるのですが、その限度も200ベクレル程度になるとみられます。つまり200
ベクレル以下の汚染米が数値も明らかにされず流通する可能性があります。
 500以上(つまり基準値)が出なければ問題ないとする姿勢は、大変な被曝を引き起こし
、健康に重大な影響を与える恐れがあります。その影響の多くは子どもたちに起きるでし
ょう。
 食品の摂取による内部被曝は、多くの係数を掛け合わせることになるので一般的にわか
りにくく、キロあたり500ベクレルが基準値と言われればそんなものかと思う人も多いかも
しれません。これもまた、わかりにくさを隠れ蓑にした結果の、情報操作だと思います。
○ 簡易計算する方法がありますので、それを提示します。
 キログラムあたりのベクレル値を100で割ります。その後ろにミリシーベルトの単位を
くっつけます。これだけ。これで、その食品を毎日1キログラムずつ摂取した場合の年間被
曝線量に近似します。セシウム以外の放射性物質も混在する可能性がありますが、この計
算では不十分ですがそれも勘案しています。
 実際の計算は、日本アイソトープ協会が出している「アイソトープ手帳11版」などに
係数が出ています。また、「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」(厚生労働省
医薬局食品保健部監視安全課)にも計算方法が載っています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf
 それで計算をすればおおむねセシウム137は10億分の13(青年)などとなりますが、
これは過小評価になっているという批判もあります。
○ さて、簡易計算では500ベクレル/キログラムは、毎日1キロずつ摂取すれば年間積算
被曝量5ミリシーベルトに相当します。年間被曝線量を1ミリシーベルトに押さえようと思
えば、米は1日あたり200グラム以上摂取してはならないことになります。
 食品安全委員会が生涯で100ミリシーベルトを食品からの摂取限度量としました。それ
から逆算すると、ゼロ歳児換算で毎年1ミリシーベルト強の被ばくが限度となります。その
限度量を米だけで超えてしまう。これが500ベクレル/kgの実態です。
「500ベクレルは流通基準である。その基準値いっぱいに汚染された米が流通するはずが
ない」という声が聞こえてきそうです。しかしそうなると500ベクレルには安全余裕は全く無
いばかりか、すり抜けて流通する可能性を考えての安全余裕も確保できないことになりま
す。およそそんな「安全基準」はありえません。
○ 摂取限度を考えて、流通する米のセシウムのがまん量「摂取限度」という名の強制され
る被曝量は、毎日1キログラム食べるようなかなり多く摂取する場合を想定しても米単体
で1mSv/年を超えないためには成人で100ベクレルが限界です。少なくとも100ベクレルを
超えないように「基準」を設定すべきなのです。
 子どもの場合は安全を見て10分の一つまり一桁に抑えるべきだと思います。
たんぽぽ舎の食品放射能測定器で「5ベクレル/kg」が限界なので、言い換えるならば、
この装置で「検出限界以下」でなければ食べさせるべきではないということです。

★2.たんぽぽ舎・2つのおさそい

イ.8/26「耳なしウサギの警告と放射能を防ぐ知恵について」
 日 時:8月26日(金)午後7時~9時(開場6時30分)
 講 師:小若順一(『食品と暮らしの安全』編集長)(『放射能を防ぐ知恵』著者)
 会 場:スペース たんぽぽ
     東京都千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル4F
     TEL 03-3238-9035
  資料代:検査データの載った月刊誌(1000円)

ロ.8/27「くり返すな原発震災!原発のない社会をめざして」
 日 時:8月27日(土)18:00新宿中央公園「水の広場」
                          18:30デモ出発、歌舞伎町方面
  主 催:原発止めよう東京ネット他
  たんぽぽ舎と反原発自治体議員・市民連盟も参加します。
  17:30より参加者にビラを配布します。
  ご協力いただける方、よろしくお願いします。柳田 真

★3.原発「争点隠すな」 滋賀知事 民主代表選を批判

 滋賀県の嘉田由紀子知事は二十三日の記者会見で、民主党代表選でエネルギー政策が大き
な争点になっていないとの質問に対し「争点隠しはしないでほしい。(原発に)賛否両論
があるから触れないというのは、言い方は悪いが卑怯だと思う」と述べた。
 嘉田知事は「政局パワーではなく、政策論争で、国民が納得できる形で選んでもらいた
い」と代表選のあり方に疑問を投げかけた。中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の停止
要請に踏み切るなど「脱・原発依存」に踏み込んだ菅直人首相には「市民運動家だったか
ら、はっきりと言えたのではないか。菅さんらしい発信。そこは評価させてもらいたい」
と語った。
 その上で「菅さんは方向は示したけど、実務的についていく人がいなかった。エネルギ
ー政策でリーダーシップをもっと期待したい」と、新首相に実行力を求めた。
(東京新聞8/24より抜粋)

★4.広島原爆168個分
   福島第一セシウム汚染 政府試算出る―毒性残留期間が原爆より長い

○福島第一原発から飛散した放射性セシウム137は広島原爆168.5個分―。政府が、国会の
求めに応じて渋々と試算値を出してきた。原発事故の悲惨さを分かりやすく伝えるには、
原爆投下との比較は有効な手立ての一つだが、政府は「合理的ではない」と否定的だ。
 
○福島原発事故と広島原爆投下との関連が話題になったのは、7月27日の衆院厚生労働委
員会に参考人として出席した東京大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授の発言が
きっかけだ。児玉教授は、福島原発事故で漏出した放射性物質の量について「熱量からの
計算では広島原爆の29.6個分、ウラン換算では20個分が漏出した」と独自の試算値を披露
した。8月6日の「原爆の日」の直前だっただけに、日本人が核の恐ろしさを初めて思い
知らされた広島・長崎の被爆体験と、福島原発事故を重ね合わせる人が多かった。
 
○そして今回、政府が福島と広島との比較資料を出してきたのは、川内博史衆院科学技術
・イノベーション推進特別委員長が8月9日の同特別委で「広島型原爆の何発分かを政府
として正確に出してほしい」と要求したからだ。
 政府の試算値を見ると福島事故では、セシウム137が大量に漏れ出していることが分
かる。川内氏は「ベクレルやシーベルトで言われてもいまひとつ実感が湧かない。原爆の
悲劇は日本国民共通の認識。これと福島事故を比較するのは大変意味がある。福島事故で
は、深刻な内部被ばくを引き起こすセシウムが、広島よりも大量に放出されていることは
重大だ」と指摘する。
(中略)「事象の違い」とは、放射性物質が減っていくスピードが、原爆よりも原発事故の
方が遅いとされることだ。児玉教授によれば、放射性物質の残存量を比べると、原爆は一
年で千分の一、原発は十分の一。だからこそ、児玉教授や阿部知子(社民党)氏は、国の
総力を挙げた食品、土壌、水への検査と、除染の体制整備を求めているのだ。
 
○日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳事務局長は「放射性降下物への不安は、原爆も
原発事故も変わらない。原爆被爆者と同じように、福島のひとたちも被ばくに苦しむので
はないかと心配している。福島では広島・長崎の轍を踏まないようにしてほしい」と話し
ている。(8月25日東京新聞抜粋)

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