「原発の再稼働を許すな」 -原発事故4周年で脱原発団体が統一行動へ-

著者: 岩垂 弘 いわだれひろし : ジャーナリスト
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 東京電力福島第1原子力発電所の事故から3月11日で4年になる。全国で48基ある原発はいずれも稼働していないが、安倍政権は再稼働を急ぐ構えで、脱原発運動関係者は、原子力規制委員会が新規制基準を満たすと認めた川内原発(鹿児島県薩摩川内市)と高浜原発(福井県高浜町)が相次いで夏以降、再稼働となるのでは、と危機感を募らせている。このため、「脱原発」を目指す3団体が「福島を忘れるな! 再稼働を許すな!」のスローガンを掲げて、「3・11」を中心に全国で反原発統一行動を繰り広げる。

 東電福島第1原発事故からまもなく4年たつが、いまだに事故収束のめどは立たず、放射能による汚染水の海への流失も続いている。今も避難生活を余儀なくされている人は約12万人にのぼり、賠償問題も解決していない。新聞やテレビの世論調査では、原発再稼働については「反対」が多数だ。それなのに、安倍政権は原子力発電を推進する方針を明らかにしており、そればかりか、原発の輸出に躍起である。
 
 東電福島第1原発事故後、この事故を教訓に新しい原発事故対策の基準(新規制基準)がつくられた。これに基づいて、原子力規制委が電力会社から申請のあった原発について審査している。
 昨年9月10日、規制委は、九州電力の川内原発1、2号機について、新規制基準を満たしているとの審査結果を発表。これを受けて、九州電力は地元市自治体の同意を得て1、2号機の工事計画認可の申請を提出したが、不備や記載漏れがあり、規制委から補正書の提出を求められた。このため、再稼働へのテンポが当初の予定より遅れているものの今夏以降には再稼働となるのでは、との見方が脱原発運動関係者の間では強い。

 原発再稼働への動きは、今年に入ってさらに強まった。2月12日に、原子力規制委が関西電力の高浜原発3、4号機について、新規制基準を満たすと認める審査書を正式決定したからだ。今後は残りの認可手続きと地元自治体の同意が焦点になるが、同日付の朝日新聞は「再稼働の条件が整うのは夏以降の可能性が高い」と伝えている。

 いずれにせよ、「これまで1年半にわたり全国のすべての原発が運転を停止しているのは脱原発運動の成果」と自負する脱原発運動関係者は、危機感を募らせている。
 こうした情勢を迎えて、作家・大江健三郎さん、作家・落合恵子さん、ノンフィクション作家・澤地久枝さん、ルポライター・鎌田慧さん、経済評論家・内橋克人さんらを呼びかけ人とする「さようなら原発一千万署名市民の会」、全労連、民医連、新婦人などが中心の「原発をなくす全国連絡会」、個人が中心の「首都圏反原発連合」の3団体は、3月11日を中心にその前後を「NO NUKES WEEK」として全国で反原発の統一行動を展開するよう合同で呼びかけている。統一行動のネーミングは「福島を忘れるな! 再稼働を許すな!」である。

 東京では、3月8日(日)午後1時から、日比谷野外音楽堂で3団体主催の集会を開き、午後2時から、国会に向けた請願デモと国会包囲を行う。午後3時半からは国会前で首都圏反原発連合主催の集会が予定されている。

 東京における3団体の共闘は、2013年6月3日、同年10月13日、2014年3月9日に次いで4度目。昨年9月23日にも計画されていたが、会場に予定していた代々木公園が蚊によるデング熱騒動で閉鎖され、共同主催の集会が流れた。したがって、今回の集会は1年ぶりの共同行動だ。

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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