「司法はこれでいいのか―裁判官任官拒否・修習生罷免から50年」 出版と出版記念集会

(2021年4月6日)
昨日のブログに、1971年4月5日の原体験を書いた。その原体験を共有する同期の仲間が、50年目にあたってそれぞれの思いを語る書籍を刊行した。題して、「司法はこれでいいのか。一裁判官任官拒否・修習生罷免から50年」

もちろん、「司法がこれでよい」はずはない。50年前、私たちは最高裁が、日本国憲法の想定する「憲法の砦」とはほど遠い実態にあることを痛感した。それでも、その後を何とか、人権や民主主義、平和を目指して、法曹として闘ってきた。その50年を語る書である。50年を経て司法は少しはまっとうになっただろうか。その問いかけを続けていかなければならない。

書籍の詳細は、現代書館の下記URLを参照願いたい。第1版第1刷の発行が、2021年4月5日である。
https://gendaishokanshop.stores.jp/items/60581c83a11abc0c9e4971d1

著者は、「23期・弁護士ネットワーク」となっている。従来から「23期有志」に親密な交流はあったが、名称などは不要だった。急遽出版の話が出て名前が必要となって、急拵えに付けたのが、「ネットワーク」。あんまりなじまないカタカナの名称。

【23期・弁護士ネットワーク】のメンバーとして名を連ねているのは、下記の29名だが、そのうち4名が故人である。
 阪口徳雄 梓澤和幸 井上善雄 宇都宮健児 海川道郎 大江洋一 河西龍太郎 木嶋日出夫 木村達也 郷路征記 児玉勇二 小林和恵 澤藤統一郎 城口順二 瑞慶山茂 豊川義明 中山武敏 野田底吾 藤森克美 本多俊之 松岡康毅 宮地義亮 村山晃 持田穣 森野俊彦 山田万里子 山田幸彦 安田秀士 吉村駿一

出版社が惹句とした、【内容】の解説は以下のとおり。

 1960年代後半から、民意を反映する判決を書く裁判官に対する最高裁事務総局による転勤先や報酬額を巡る嫌がらせが横行するようになる。その象徴的な事件が、1971年4月5日の司法修習終了式で起こった阪口徳雄氏の修習生罷免であった。半世紀前に、裁判官任官拒否、修習生罷免を体験したことは法律家たちに厳しい試練の時を刻んだ。しかし青年たちは苦難を乗り越え、法曹資格を回復し、多様性豊かに人々の希望を開いた。本書は、その群像の記録である。一人でも多くの読者に、良心という力のメッセージを届けたい。

司法が骨抜きにされたターニングポイントを克明に記録し、苦難を乗り越えて希望を開いた法律家たちの群像を活写!

【主要目次】
第1章 任官拒否、修習生罷免、そして法曹資格回復
第2章 群像――1971年春
本田雅和(ジャーナリスト)
第3章 生涯と生きがいを語る
第4章 司法官僚――石田和外裁判官の戦後
西川伸一(明治大学政治経済学部教授)

定価 2200円(税込み)
頁数 368ページ

さて、23期有志は「司法はこれでいいのか」を表題とする書籍を出版し、この書籍にふさわしい出版記念の集会を持つことにした。

「司法はこれでいいのか―裁判官任官拒否・修習生罷免から50年―」出版記念集会
4月24日(土)13:30~ アルカディア市ヶ谷(私学会館)およびオンライン

主催:司法はこれでいいのか23期弁護士ネットワーク
共催:青年法律家協会 弁護士学者合同部会
協賛:日本民主法律家協会

詳細は、下記URLを参照いただきたい。
https://jdla.jp/event/pdf/210424.pdf

初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2021.4.6より許可を得て転載

http://article9.jp/wordpress/?p=16617

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/

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