たんぽぽ舎です。【TMM:No1913】
2013年7月29日(月)地震と原発事故情報-3つの情報をお知らせします
転送歓迎
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★1.地下の汚染水対策は2年以上も全く進展なし
見えるところの対策しかしない「東電体質」の実態
山崎久隆(たんぽぽ舎)
★2.森滝市郎没後20年にあたって
「核絶対否定」の思想をひとり一人の行動原理にしよう (下)
井上 啓
★3.巨大地震の間で繰り返す「普通ではない、のろまの地震」は
次に来るべき巨大地震のなにかの先駆けである可能性が
ないとはいえない
そして海底での「地殻変動観測」は実はまだ開発途上だった
「警戒せよ! 生死を分ける地震の基礎知識」その10
島村英紀(地震学者)
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※8/2(金) 第66回首相官邸前抗議行動にご参加を!
日時:8月2日(金)18:00から20:00 第66回首相官邸前抗議行動
主催:首都圏反原発連合(たんぽぽ舎も参加・構成団体)
たんぽぽ舎では、13:00からビラ、プラカードなどの用意をして、
16:00、たんぽぽ舎出発。17:00「経産省前テントひろば」集合。
1~5班にわかれて官邸前、国会前へ出発。20:20経産省前テント横で
まとめの集会(短時間)。
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┗■1.地下の汚染水対策は2年以上も全く進展なし
| 見えるところの対策しかしない「東電体質」の実態
└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)
原発震災発生直後の2011年3月11日に始まった「地震と原発事故情報」は、す
でに2年4ヶ月以上ほとんど毎日発行され900本近くになる。私も沢山記事を書
いてきた。そのうち2011年4月10日に書いた記事の一部を再掲する。
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水が漏れているという場所も、テレビで盛んに流している小便みたいなちょろ
ちょろ出ている廃液で済むわけがありません。この岸壁は下が砕石だというのに、
いすから転げそうになりました。いやしくも放射性物質を扱う施設の土台が砕石
だというのですから。普通は悪くても耐水性セメントかコンクリート護岸でしょ
う。うちのいなかの漁港だってコンクリです。
既に原子炉建屋もタービン建屋も底部がずたずたでしょうから、そこからしみ
出した高レベル放射性廃棄物と化した海水や冷却水はその砕石土台を通り抜けて
海に垂れ流し状態。見かけの小便をいくら止めても意味が無い。まして数万トン
の低レベル廃液も流してしまうのだから、もうめちゃくちゃです。
どうしたらいいんでしょうか。この人たちは。内陸汚染に加え今度は海洋汚染。
怒りに震えています。
やりようはいくらでもあったはずです。六カ所再処理工場や東海再処理工場で
汚染されていない大型タンクを全部取り外して持ってくるとか、ダブルハル構造
の使用済燃料輸送船を全部ここに持ってきて廃液タンクに使うとか、50万トンタ
ンカーを買い取って廃液貯蔵につかうとか、建設中の原発のきれいなポンプや配
管材を取り外してもってきて、タービン建屋の床からくみ上げた汚染水を圧力容
器や格納容器に戻すループを作るとか、矢板をうち込むならば防波堤ではなくタ
ービン建屋と護岸のあいだであるとか、とりわけ何で防波堤に矢板を打ち込むの
かさっぱり分からない。この防波堤は閉じられた構造ではなく船が出入りするた
めに当然海側に開いている。だから途中の防波堤が切れていようがいまいがもと
もと密封された海域でも何でもない。
あほみたいなことになんで資材を無駄遣いするのか。
とにかく汚染水の流出を食い止める手段はいくらでもあったはずです。
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若干の事実誤認はあるが、大筋で間違ってはいない。しかも今に至るもこの状
態から変わっていない。
この時点で既に地下から海に放射能漏えいは起きていたと考えるのが自然だ。
なぜならば、もともとこの場所に水を止める能力など無いのだから。
タービン建屋から海までは、砕石を入れて造成したことは、当時東電から聞い
て知っていた。図面もあったはずだ。そんなところに汚染水が出れば、たちどこ
ろに海に流れ出すことも東電は知っていた。
今年4月になってようやく規制庁は汚染水流出の「可能性」を指摘するが、2
年前からそんなことはわかりきっていたことだ。
どうしたらもう少し危機感をもって福島第一に取り組めるのか。
広瀬社長の謝罪会見とやらも全く誠意のかけらもない。自らは10%1ヶ月の減
俸で責任を取ったつもりらしいが、これは推定10万円程度。あるお笑い芸人が公
然わいせつで支払った罰金以下である。
これでわかるのは東電の関心事は柏崎刈羽原発の再稼働であり、そのためには
湯水のごとく(ないはずの)資金を柏崎刈羽原発には投ずるのに、福島第一原発
には必要な工事や資材もまともに出さない。
筆頭株主の国(原子力損害賠償支援機構)は、まず福島第一原発の事故収束作
業に資金と人を最大限投入させるべきだ。柏崎刈羽原発と福島第二原発は最低限
の安全性確保対策(具体的には使用済燃料の乾式貯蔵設備の構築)以上は認める
べきではない。
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┗■2.森滝市郎没後20年にあたって
│ 「核絶対否定」の思想をひとり一人の行動原理にしよう (下)
└──── (井上 啓 (※) )
核文明批判
広島原爆で一眼を失った年の秋から冬にかけて、中国山地の眼科医院で入院生
活をしていたころ、私の胸中には一種の素朴な文明批判が芽生えていた。いった
い、原爆などというものを生み出すような現代文明の方向は、このまま進んでよ
いものであろうか。この方向では人類は自滅を招くのではないかと。
しかし、その後三十年間に、私たちの憂慮や批判や抵抗をあざ笑うかのように、
軍事利用でも平和利用でも核の開発はすさまじく進められた。核兵器の備蓄は、
広島型原爆に換算してその四百万発分に相当するよいわれ、産業用のエネルギー
源も主として核に求められようとする核時代に突入した。
政府や産業界は「軽水炉 増殖炉 融合炉」という図式で核エネルギー開発の
展望を宣伝し、二十一世紀はあたかも壮大な核文明の華麗な世紀として迎えられ
るかのような夢をいだかせようとする。
しかし、そのような核文明の方向は人類にその未来を失わせるものである、と
警告し、核と人類は共存しえないものと見定め、「核絶対否定」の決意と行動で
人類の生存を守ろうとするのが私たちの原水禁運動である。
被爆三十一周年原水禁大会(1976年)の基調演説の結びで私は、核時代の
産業文明を批判し、非核文明の二十一世紀を迎えるべきであることを訴えた。
いわく「 もっと心配なことは、プルトニュウムを燃料とする高速増殖炉の開発
によってプルトニュウム経済の時代を招来するのだ、と豪語しているものがあり
ますが、そんな巨大エネルギー、巨大産業の核文明を招来したら、その絶頂で人
類は、その未来を失うでありましょう。
巨大エネルギー、巨大開発、巨大生産、そして巨大消費という形態をとる核時
代の産業文明は、いまこそその価値観を一大転換しなければなりません。価値観
の転換とは何か。一言でいえば、すべて巨大なるものは悪であり、のろわれたる
ものであり、いと小さきもの、いとつつましきものこそ美しいものであり、よい
ものであるということであります。シューマッハー博士の言葉を借りると ビッ
グ・イズ・イービル(悪)。スモール・イズ・ビュウーティフル ということで
あります。
私たちは巨大なる核エネルギー産業文明によって子孫のものまで使いはたし、
プルトニュウムのようなやっかいきわまる遺産を子孫に残すべきではありません。
いま私たちは、二十世紀の最後の四半世紀にさしかかりました。この四半世紀
こそ、人類が)生存への道を選ぶか、死滅への道を選ぶか、最後の機会でありま
す。私たちは、やはり生存への道を選ばなければなりません。二十一世紀に生き
延びなければなりません。生き延びる道は何か。核絶対否定の道しか残されては
いません。核は軍事利用であれ平和利用であれ、絶対に否定するよりほか、人類
の生きる道はないのであります。いまこそ価値観を大転換させ、核文明を否定し
て非核文明をきずき、人間の深い、美しい生きざまをひらいていこうではありま
せんか」と。
ここでいう非核文明の方向をひらいてゆくためには、大まかにいって二つのみ
ちがある。一つはイングリス博士が提言するように、核エネルギー以外の代替エ
ネルギーを開発する道である。太陽熱、風力、地熱、潮位の差を利用する発電で
ある。
もう一つの道は、人間の生きざまを「自然易簡」の道かえすことである。「自
然征服」の思想と生活から「自然隋順」の思想と生活にかえることである。
私は昨年(一九七八年)国連訪問後、ニュー・ハンプシャー に加わってアマ
ーストを訪れ、イングリス博士に再会して相語り、アマースト郊外のモンタギュ
ー村で「自然農場」を営むラヴジョーイさんを中心とする九人の同志の新しい生
きざまの探求に感動した。アマースト訪問で、私は非核文明のビジョンを得たの
である。
※井上氏の肩書き:元・原水爆禁止日本国民会議事務局次長、NPO法人農都
共生全国協議会事務局長、NPO法人有害化学物質削減ネットワーク理事
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┗■3.巨大地震の間で繰り返す「普通ではない、のろまの地震」は
| 次に来るべき巨大地震のなにかの先駆けである可能性が
| ないとはいえない
| そして海底での「地殻変動観測」は実はまだ開発途上だった
| 「警戒せよ! 生死を分ける地震の基礎知識」その10
└──── 島村英紀(地震学者)
その9は、7月26日【TMM:No1911】に掲載
○ 前回までは「普通ではない、のろまの地震」が巨大地震が繰り返す間にはさ
まっていて、巨大地震の繰り返しを左右しているのではないか、という話だった。
世界の巨大地震地域にはこの種の不思議な地震が起きないところもある。だが
日本ではプレートの動きから計算した巨大地震よりは、実際に起きてきた巨大地
震のほうが少ない。日本人にとっては、もちろん幸いなことである。
しかし現在の地震学では、どんなときに「普通ではない地震」が起きるのか、
どういうときに巨大地震が起きるのかは、残念ながら分かっていない。
○ ところで、この「普通ではない地震」が意外に多く起きていることも分かり
かけている。
たとえば、1997年には九州と四国の間にある豊後水道の地下で、また、その前
年には宮崎県沖の日向灘の地下で起きていた。また2001年から2004年にかけて、
静岡県の浜名湖の地下でも起きた。身体にも、普通の地震計にも感じない「のろ
まの地震」だった。もちろん新聞にも出ない。地震の大きさは、今年1月からニ
ュージーランドで半年以上かけて起きている「のろまの地震」のマグニチュード
(M)7よりも小さい。
これらの不思議な地震は、いずれも1944年に起きたM8クラスの東南海地震や
1946年のやはりM8クラスの南海地震の震源断層の縁辺部で起きた。そしてこれ
らの場所は、将来起きることが恐れられている南海トラフ地震の震源域の中やそ
の境界でもある。
地震学者としては、私はあまり気持ちがよくない。これらの地震は巨大地震の
エネルギーを「散らして」くれるだけではなくて、その次に来るべき巨大地震の、
なにかの先駆けである可能性がないとはいえないからである。
○ しかし日本でのこの種の地震の観測は、ニュージーランドに比べて不利なこ
とがある。
それは、ニュージーランドで使われた精度の高い地殻変動の観測は陸上でしか
行えない制約があるからである。
ニュージーランドでは、この不思議な地震は同国の陸地の地下で起きている。
正確に言えば同国の北島と南島の間にある海峡下なのだが、北島にも南島にも展
開している観測点が震源を取り囲んでいるのである。
これに対して日本の場合は、海溝型地震のほとんどは海底下で起きるために、
遠い海底下の現象を陸上から観測しなければならず、精度も感度も悪いという制
約がある。
じつは海底で、精密な地殻変動観測を行おうという研究はいろいろ行われてい
る。だが、どの研究もまだ、開発途上なのである。 (つづく)
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