安保関連法の成立から2カ月にあたる11月19日の夜、東京・永田町の国会議事堂前で「戦争法廃止!安倍内閣退陣!11・19国会正門前集会」が開かれた。「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の主催で、主催者発表で約9000人が集まり、安保関連法成立後も、同法に対する反対の声がなお衰えていないことをうかがわせた。集会では、同法の発動に意欲をみせる安倍政権の退陣と、来年の参院選挙に向けた野党の共闘を訴える演説やプラカードが目立った。
この日夕刻から、国会議事堂前に地下鉄などを利用してやってきた人々が集まり始めた。午後6時過ぎには、議事堂前の歩道は旗、のぼり、ブラカードを掲げたり、プレートを手にした人並みで埋まった。労組員のほか、平和団体・宗教団体・女性団体、脱原発団体などの関係者、勤務を終えて職場から駆けつけてきたサラリーマン、高齢者など一般市民らで、子どもを連れた若い女性の姿もみられた。
集会では、野党の国会議員、弁護士、学者、米国の学者、平和団体の代表らが演説したが、いずれも安保関連法の廃止、同法の発動反対を訴えたほか、「沖縄の辺野古に新基地を造らせてはならない」「政府が野党の要求を無視して臨時国会を開かないのは憲法違反である」などと発言した。「総がかり行動実行委員会」が始めた「戦争法の廃止を求める統一署名」(目標は2000万人)への協力を訴える発言もあった。
パリで起こった同時テロに言及した人もいた。平和団体の代表は「テロは戦争では解決できない。暴力と憎しみの連鎖を生み出すだけ。日本国憲法9条の価値を、今あらためてかみしめている」と述べ、弁護士は「安保法に基づいて自衛隊を海外に派遣すれば、日本がテロの対象となる恐れが増す。今こそ、我が国の交戦権を禁じた憲法9条の意義を再認識しよう」と話した。
集会参加者が掲げるプラカードやプレートを見て回ったが、そこに書かれた文面には安倍政権の退陣を求めるものが多かった。私は、この7月以来、国会周辺で行われた、安保関連法案反対の集会やデモの主だったものはほとんど見てきたが、そこにも「安倍内閣退陣」を要求するプラカードやプレートがあった。今回は、それが以前よりも数が増えたほか、そこに書かれた首相批判も厳しくなって、いわば「安倍内閣退陣」が前面に押し出されてきた感じだった。安保関連法を強行的なやり方で成立させた安倍政権への抗議が一段と高まりをみせていることの表れとみていいだろう。
「安倍内閣は今すぐ退陣」「安倍内閣は暴走やめよ」などのシュプレヒコールとともに、集会参加者たちによってひときわ声高く叫ばれたのは「野党は共闘」というコールだった。そこには、参院選挙まで8カ月となったのに、野党共闘への動きがもたもたしていて未だに展望がもてないという有権者のいらだちが感じられた。
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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