保坂正康氏(評論家)が毎日新聞6月13日朝刊に寄稿した「安倍晋三首相のヤジは、国家総動員法審議と共通」との鋭い指摘に活目させられた。
安倍首相が5月28日の衆院安保法制特別委で野党議員に「早く質問しろよ」とヤジを飛ばした事件だが、これが1938年3月の国家総動員法案委員会での「黙れ!」発言と酷似しているという。この妄言は、民政党の斉藤隆夫議員らの反軍演説に対して、陸軍省軍務局の佐藤賢了中佐が怒鳴り飛ばしたものだ。
国家総動員法は1938(昭和13)年、第1次近衛文麿内閣のときに制定されたもので、戦争に備え、国の経済や国民生活をすべて統制できる権限を政府に与えた悪法で、戦前日本を誤らせた元凶である。
「国家総動員法によって、内閣が自在に戦時体制を作り、国民を兵力に組み込むことができたように、今回の安保法案も政府の裁量に一任する点が多いこと、などである。斉藤は国民の生存権に制限を加えようとすると批判したが、安保法案にその危険性が内在していることも類似点といえるかもしれない(中略)「黙れ!」も「早く質問しろよ」もあまりにも品がない言葉であることに気づくと、こうした法案で命を失う人々が出たこと、あるいは出るかもしれないことに慄然としてくるのである」と保坂氏が問題点を指摘していたように、危険な安保法制を阻止しないと、〝戦前回帰〟につながる恐れがある。
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