組閣を完了した野田佳彦首相は2日夕、内閣記者会と会見し、新政権の基本方針などを語った。首相はまず、新内閣の最優先課題について「東日本大震災からの復旧、復興と福島第1原発事故の収束だ」とし、さらに円高など最近の経済情勢に関連して「国家自体の信用危機に陥らないよう策を講じたい」と強調した。
野田首相はさらに、税と社会保障の一体改革について「与野党協議を丁寧に進める」とし、行財政改革について「徹底的に無駄削減のため行政刷新を推進する」と語った。また、自民党などが衆院の早期解散を要求していることについて「復興は今年中にけりはつかない。引き続き復興の取り組みが必要で、政治空白をつくれる状況ではない」と早期解散を否定した。
▽小沢処分見直しは慎重
野田首相は自民、公明両党との会談で震災復興、円高、税制改革の3テーマでの実務者協議機関の設置を求めたことについて「早く議論してほしいとの強い願望を持っている」と強調。小沢一郎民主党元代表の党員資格停止処分の見直しについては「過去の執行部の結論を踏まえるのが基本だ」と述べ、当面は慎重に対処する姿勢を示した。
首相は復興財源について、徹底した歳出削減努力をしても足りない分を時限的な増税措置で賄うのは当然とする一方、時期や償還期間、対象とする基幹税については柔軟に検討していく考えを示した。
▽寿命の原発は廃炉に
社会保障と税の一体改革実現のための法案を来年3月までに国会提出する準備は進めると明言する一方、消費税率の引き上げは2010年代半ばまでとしていることを強調、「法案化がすぐに引き上げにつながるわけではない、とも念を押した。
このほか首相は、市場介入は急激かつ過度な円高への対応で一定の効果があったとし、今後も日銀と緊密に協議しながら金融政策を進める、と述べた。今後の原発建設については「新たに作ることは困難だ。寿命のきた原発については廃炉にする」と語った。(了)
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