*だれでも、いつからでも聴くことのできる思想史講座です。
だれでもというのは、聴いてみようという目的意識をもった人ならだれでもということで、その目的も無く、あるいは別の目的をもって来られる方はお断りいたします。
*「明治維新150年」がいわれた昨年以来、「明治維新」と「日本近代」とのこの当たり前の結びつきを読み直す作業をしています。この読み直しを私に促したのは津田左右吉の明治維新観でした。津田は明治維新に国民的変革としての正当性あるいは正統性を認めませんでした。この津田の維新観は私に「維新と日本近代」との読み直しの可能性を与えました。この大きな課題に半世紀にわたる私の思想史的作業のすべてをもって答えるつもりです。
*論語塾は「鬼神論」をテーマにして新しい講座を始めました。「鬼神」とは「祖霊」であり、「霊魂」でもあります。これを「祖霊」といば鬼神論とは祖先祭祀を基礎づける論の性格をもち、これを「霊魂」といえば人の生と死、生前と死後とを包括した宇宙論の性格をもちます。この鬼神論を考える前提として『朱子語類』を読み始めましたが、いま『朱子語類』巻三の「鬼神」章に入りました。朱子の宇宙論的哲学世界において「鬼神」がどのような意味と位置とをもっているのか、「鬼神」の哲学的言説化、いや「鬼神」というものの言語化自体がいかなる意味をもつのかを考えながら読み進めています。それと同時に近世日本の鬼神論の読み直し作業をも進めています。
*私は大阪の梅田で、東京の早稲田で日本近代をめぐって今話しております。私はその際、この近代を批判的に読み直す外部として「江戸」を見てきました。「江戸」を方法的視座とすることで私は「日本近代」を読み直してきました。この作業は同時に「江戸」を忘れ去ってはならないものとして再発見させました。仁斎の『論語古義』とはそのようにして再発見されたものです。近代日本人が見出すことの出来ない孔子が仁斎によって見出されています。私は近代日本人が明治維新・文明開化とともに一生懸命に忘れ去ろうとしてきた思想世界とは何かを確かめてみたいのです。前近代の東アジアの思想世界とは朱子学的世界です。この朱子学を江戸時代の先人の跡を践みながら自前で読んで行きたいと思っています。
*会費は実費(会場費・テキスト代)を頂戴します。
*この会には何の入会規定もありません。当日出席した人が会員です。ご自由にご参加下さい。
*4月の講座
*思想史講座―「明治維新と日本近代」
*大阪教室:懐徳堂研究会
4月20日(土)・13時00分〜15時00分
徳冨蘆花と「謀叛論」
ーなぜ蘆花に「謀叛論」があるのか
*資料は当日配布します
参考文献:徳冨健次郎著・中野好夫編『謀叛論』(岩波文庫)、『徳富蘆花集』(神崎清編・明治文学全集42、筑摩書房)、中野好夫『蘆花徳冨健次郎』(全3部、筑摩書房)
会場:アプローズタワー10階1002教室、阪急梅田・茶屋町口下車3分
*東京教室:昭和思想史研究会
4月13日(土)・13時〜15時30分
徳冨蘆花と「謀叛論」
ーなぜ蘆花に「謀叛論」があるのか
*資料は当日配布します。
参考文献:徳冨健次郎著・中野好夫編『謀叛論』(岩波文庫)、『徳富蘆花集』(神崎清編・明治文学全集42、筑摩書房)、中野好夫『蘆花徳冨健次郎』(全3部、筑摩書房)
会場:早稲田奉仕園・100教室
早稲田奉仕園はバス「馬場下」下車、穴八幡宮の裏手
*論語塾―「鬼神論」と『朱子語類』を読む
『朱子語類』と平田篤胤『霊の真柱』を読みます。
4月27日(土)13時〜15時30分
① 『朱子語類』を読むー巻三「鬼神」
「鬼神」巻の中核的諸章の講読に入りました。
② 平田篤胤『霊の真柱』
資料(朱子テキスト・訓読文・訳文など)は当日配布します。篤胤『霊の真柱』は子安の校注によるものが岩波文庫版として出ていますので、それを古書店あるいはネットでお求め下さい。どうしても入手できない方には私の手許にあるものをお分けいたします。
参考資料:三浦国雄『「朱子語類」抄』講談社学術文庫。子安『平田篤胤の世界』ぺりかん社。
会場: rengoDMS(連合設計社市谷建築事務所)JR飯田橋駅西口から徒歩5分
初出:「子安宣邦のブログ・思想史の仕事場からのメッセージ」2019.3.27より許可を得て転載
http://blog.livedoor.jp/nobukuni_koyasu/archives/79413539.html