「思想史講座」のお知らせー5月のご案内   

著者: 子安宣邦 こやすのぶくに : 大阪大学名誉教授
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*だれでも、いつからでも聴くことのできる思想史講座です。
だれでもというのは、聴いてみようという目的意識をもった人ならだれでもということで、その目的も無く、あるいは別の目的をもって来られる方はお断りいたします。
*「明治維新150年」がいわれた昨年以来、「明治維新」と「日本近代」とのこの当たり前の結びつきを読み直す作業をしています。この読み直しを私に促したのは津田左右吉の明治維新観でした。津田は明治維新に国民的変革としての正統性を認めませんでした。この津田の維新観は私に「維新と日本近代」との読み直しの可能性を与えました。この大きな課題に半世紀にわたる私の思想史的作業のすべてをもって答えるつもりです。
*論語塾は「鬼神論」をテーマにして新しい講座を始めました。「鬼神」とは「祖霊」であり、「霊魂」でもあります。これを「祖霊」といば鬼神論とは祖先祭祀を基礎づける論の性格をもち、これを「霊魂」といえば人の生と死、生前と死後とを包括した宇宙論の性格をもちます。この鬼神論を考える前提として『朱子語類』を読み始めましたが、いま『朱子語類』巻三の「鬼神」章に入りました。朱子の宇宙論的哲学世界において「鬼神」がどのような意味と位置とをもっているのか、「鬼神」の哲学的言説化、いや「鬼神」というものの言語化自体がいかなる意味をもつのかを考えながら読み進めています。それと同時に近世日本の鬼神論の読み直し作業をも進めています。
*「明治維新と日本近代」の5月の講座では、私が3月に台北の中央研究院で講演し、そしてこの5月下旬に北京大学で講演する予定の「日本近代化再考」をお話したいと思います。もともとこのテーマは私の思想史講座「明治維新と日本近代」の序論として考えてきたものです。その内容に台湾や中国の聴衆の方々を考えてより一般性を書き加えたものです。さらに3月の台北講演での反応をえて、その内容に補正を加えました。北京での講演を前に、日本の研究会の皆様のご批判、ご意見を得たいと思った次第です。よろしくお願い致します。
*なお6月の講座では漱石の『こゝろ』論をいたしたく、その準備中です。
*会費は実費(会場費・テキスト代)を頂戴します。

*この会には何の入会規定もありません。当日出席した人が会員です。ご自由にご参加下さい。
*5月の講座
*思想史講座―「明治維新と日本近代」

*大阪教室:懐徳堂研究会
5月18日(土)・13時00分〜15時00分

「日本近代化」再考
ーなぜ、どのように読み直すのか
*資料は当日配布します
参考文献:丸山眞男「開国」:日高六郎編『近代主義』(現代日本思想大系34)収録。この『近代主義』は丸山の他の代表論文も収めた良い編集です。

会場:アプローズタワー13階10号室、阪急梅田・茶屋町口下車3分
*東京教室:昭和思想史研究会

5月11日(土)・13時〜15時30分
「日本近代化」再考
ーなぜ、どのように読み直すか
*資料は当日配布します。

参考文献:丸山眞男「開国」:日高六郎編『近代主義』(現代日本思想大系34)収録。この『近代主義』は丸山の他の代表論文も収めた良い編集です。

会場:早稲田奉仕園・100教室
早稲田奉仕園はバス「馬場下」下車、穴八幡宮の裏手

*論語塾―「鬼神論」と『朱子語類』を読む

『朱子語類』と平田篤胤『霊の真柱』を読みます。
5月は北京講演のためお休みします。次回は6月22日(土)13時〜15時30分

① 『朱子語類』を読むー巻三「鬼神」
「鬼神」巻の中核的諸章の講読に入りました。
② 平田篤胤『霊の真柱』(岩波文庫)
資料(朱子テキスト・訓読文・訳文など)は当日配布します。篤胤『霊の真柱』は子安の校注によるものが岩波文庫版として出ていますので、それを古書店あるいはネットでお求め下さい。どうしても入手できない方には私の手許にあるものをお分けいたします。
参考資料:三浦国雄『「朱子語類」抄』講談社学術文庫。子安『平田篤胤の世界』ぺりかん社。

会場: rengoDMS(連合設計社市谷建築事務所)JR飯田橋駅西口から徒歩5分

初出:「子安宣邦のブログ・思想史の仕事場からのメッセージ」2019.4.28より許可を得て転載

http://blog.livedoor.jp/nobukuni_koyasu/archives/79703817.html