「戦争屋 帰れ」安倍首相に罵声 沖縄戦没者追悼式

6月23日、沖縄県摩文仁の丘・平和記念公園で開いた追悼式で翁長雄志知事が格調高い平和宣言を読み上げると、参列者の拍手が起き指笛が鳴った。その後安倍晋三首相が挨拶に立つと、「帰れ」のヤジが飛んだ。県政野党の自民党県議も「政治色が強すぎる。穏やかな追悼の場にそぐわない内容だ」と顔をしかめたという。首相は4月の米議会での演説で、集団的自衛権の行使を可能にする安全保関連法案について、夏までに成立させると約束。慰霊の日前日の22日には、安保関連法案の成立を確実にしたい強い意向のもと、戦後最長となる国会会期の延長が決まったばかり。政権に、辺野古問題で翁長氏に譲歩する気配は見られない。

朝日新聞24日付朝刊によると、「式典後、首相は記者団に『知事をはじめ県民の皆様に説明を丁寧にしていきたい』と強調した。だが、移設計画に理解のあった前知事と2年続けて共にした昼食を、今年はとらなかった。翁長氏とは、沖縄を発つ直前に那覇空港で数分話しただけ。本土より一足早く『戦後70年』を迎えた沖縄の地に、首相がいたのは4時間余り。昨年より2時間半短かった」という。

「国民の自由、平等、人権、民主主義が等しく保障されずして、平和の礎(いしずえ)を築くことはできない」との翁長知事の政府を批判すると、ひときわ大きな拍手が湧き起こったが、安倍首相が登壇すると空気が一変、「帰れ」などと怒声が飛んだ。「戦争屋は出て行け」とヤジを飛ばした男性(82)=那覇市=は警官によって退席させられた。沖縄戦で失った祖父の遺骨が今も見つかっていない。「辺野古の基地建設を止めることが、私が生きている間に沖縄差別をなくす最後の機会だと思っている」と抗議していた。安倍首相と翁長知事の波長は全く合わず、逃げるように沖縄を去った印象が強い。

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