「安倍晋三首相は今夏に発表する『戦後70年談話』について、閣議決定を見送る方針である」と、読売新聞6月22日付朝刊が特報した。政府の公式見解としての意味合いを薄め、過去の談話にとらわれない内容とする狙いのようだ。
朝日新聞は23日付朝刊で後追いし、同趣旨の記事を報じたが、「閣議決定したメッセージは『首相談話』と呼ばれ、それ以外は『首相の談話』として区別される。談話を閣議決定せず、安倍首相の個人的な『首相の談話』とすることで、そうした懸念も考慮したものとみられる」と記していた。
政府は、戦後50年に村山首相談話、60年に小泉首相談話をそれぞれ閣議決定した。いずれも「植民地支配と侵略」により、アジア諸国に「多大の損害と苦痛」を与えたとして、反省の意を表明しており、政府の公式見解となっている。これに対し安倍首相は「全体として引き継ぐ」と明言しているものの、同じことを言うなら談話を出す必要はないと述べ、個別の文言にはこだわらない考えを示している。
安倍首相は「公式見解」を出したくないため、牽強付会な理屈を述べているが、世間に通用するはずがない。国内だけでなく、国際的な良識にももとる恥ずかしい弁解である。
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