「改憲 大軍拡NO!」。約2万5000人のコールが、雲一つない快晴下の広場を包んだ。憲法記念日の5月3日(水・祝日)午後、東京都江東区の有明防災公園で開かれた「あらたな戦前にさせない! 守ろう平和といのちとくらし 2023憲法大集会」。この日朝の産経新聞で、岸田首相(自民党総裁)が総裁任期の来年9月までに改憲を実現したい、と表明したことから、集会参加者からは「憲法改悪は絶対に許さない」との声が相次いだ。
護憲団体が統一して毎年憲法記念日に開く憲法大集会は2015年に始まったが、2020年と2021年は新型コロナウイルスの感染拡大のため中止。昨年は3年ぶり6回目の大集会を開いたので、今年は7回目の大集会となった。
会場には、労働組合員のほか、護憲団体・平和団体、宗教団体、学生集団などの関係者、一般市民ら約2万5000人(主催者発表)が集まった。コロナ禍がまだ終息していなかった昨年の大集会の参加者が1万5000人(同)だったことを考えると、憲法大集会もようやく往事の盛況を取り戻しつつあると言える。あるいは、岸田政権によって着々と進められつつある軍備拡大と改憲への動きに対する危機感が、人びとを突き動かしたのかもしれない。
集会では、主催者を代表して高田健さん(5・3憲法集会実行委員会)があいさつ。その中で、高田さんは、まず、3日付の産経新聞に載った、同紙による岸田首相へのインタビューの内容を紹介し、「岸田首相は、来年9月までに、改憲を発議し、憲法改正への賛否を問う国民投票を実現したいと言っている。とんでもない話で、今こそ、私たちは改憲阻止のために団結せねば」と訴えた。
国会議員あいさつで登壇した西村智奈美(立憲民主党)、志位和夫(共産党)、櫛渕万里(れいわ新選組)、福島瑞穂(社民党)の各氏も「国民の多くは改憲など急いでいないのに、自民・公明・維新・国民民主の4党は、国会の憲法審査会での審議を急いでいる」と批判した。
岸田政権が進めている、防衛費の大幅増額や敵基地攻撃能力保有についても、これらを厳しく批判する発言が相次いだ。
清末愛砂・室蘭工業大学教授(憲法学)は「我が国の非常勤職員のなかには、時給1000円以下の人がいて、生活は苦しい。なのに、防衛費を5年間で43兆円にするという。大軍拡の陰で、人権と生活が脅かされている。こんなことが許されていいだろうか」と話し、志位共産党委員長は「敵基地攻撃能力を持つとは、敵を先制攻撃できる能力を持つということだ。日本が周辺国を先制攻撃すれば、相手は報復攻撃してくるだろう。そうなれば、日本の全土は焦土となる。それを避けるために、日本は、平和外交に徹するべきだ」と述べた。
集会後、参加者たちはデモ行進に移った。
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