「日米軍事一体化」への危惧

日米同盟の下、集団的自衛権容認は「日米軍事一体化」につながる危険をはらむ。米国の動きは急ピッチ。無人機の三沢基地配備やイージス艦の追加配備などを着々進めている。 

オバマ米大統領は訪日時に「尖閣諸島は日米安保条約の対象だ。米国は日本を防衛する覚悟がある」と述べたが、日中間の平和解決を念頭に入れた発言と考えられる。

各紙は連日、集団滝自衛権問題の行方を追っており、国民には〝戦争参加〟への不安が募っている。この点、米国の政治学者、ダグラス・スミス教授の警告(朝日新聞66日付朝刊)は傾聴に値する。

「一連の議論で、語られない重要な言葉がある。憲法9条で認めないことにした『交戦権』だ。兵士が戦場で人を殺しても、殺人罪に問われないのが交戦権。このことを抜きにして集団的自衛権の行使は語れない。解釈改憲で集団的自衛権を認め、戦争のできる国になるのか。それとも9条を踏まえて平和外交を目指すのか。自衛隊や米軍基地の存在は9条との関係で矛盾をはらんでいるが、交戦権を否定した9条があったからこそ、自衛隊は海外で1人の人間も殺さずにきた。日本が再び大きな戦争に巻き込まれ、多くの人を殺し、殺される。そうなってから平和への大切さを再認識することになるなら、それは悲しいことだ」と、〝米国の戦争に参加する〟愚を強調している。

「いま米国は中国市場に大きな利益を見出し、中国の脅威に対する認識もオバマ大統領とアジアの国々の間には大きな溝がある。今回のアジア歴訪で少し埋まったが、『有事に米国は本当に守ってくれるのか』という懸念は、日本だけでなく東南アジア諸国からもこれから折に触れ提起されるだろう」との毎日新聞52日付朝刊コラム(西川恵編集委員)の視点も大事で、政府の〝行け行けドンドン〟の姿勢は危うい。

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