野田佳彦首相とオバマ米大統領は5月1日(日本時間)ワシントンで会談、6年ぶりに日米共同声明「未来に向けた共通のビジョン」を発表した。既に公表された「米軍再編スケジュール」をベースにしたもので、「二国間防衛協力」を強調している。米政府と民主党政権との関係修復に狙いがあったとはいえ、「普天間飛行場移設」や「TPP」などホットな問題解決への道筋が示されなかったのは遺憾だ。特に海兵隊のグアム移転をめぐって、米議会との調整が難航。結局、「辺野古移設」に必ずしも固執しないとも受け取れる表現に修正して〝ごまかし合意〟を計った感が深い。さらに「普天間飛行場」修復費まで要求した傲慢さ。日本政府は何も手を打たず、これでは「普天間固定化」につながり兼ねない。
また、「未来志向」をかざして、「動的防衛力強化」を強調していることが気がかりだ。日米関係の修復を焦って、国会論議も経ずに〝日米軍事一体化〟を急ぐことが許されるだろうか。消費税増税や小沢問題も絡み、政局の混迷は深まる一方である。
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