「有事の防衛」と称し、防衛装備拡充の動き

「積極的平和主義」の名のもとに、安倍晋三内閣は閣議決定を乱発、「有事」を想定した施策を次ぎつぎ打ち出している。8月1日に158の無人島に命名したのに続き、防衛省は有事の際に自衛隊を戦闘地域まで運ぶために民間フェリーの船員を予備自衛官とし、現地まで運航させる方向で検討している。

毎日新聞8月3日付朝刊が報じたもので、すでに先月2社と、高速フェリー2隻を借りる契約を結んだという。日本海員組合・元関西支部長の新古勝氏(70歳)は、「予備自衛官になれと会社に言われたら、船員はたやすく断れない。事実上の徴用であり、太平洋戦争の悲劇を繰り返しかねず、絶対に反対だ」と述べていた。

8月9日付朝刊は「米軍が開発中の新たな迎撃ミサイル『地上配備型SM30』の導入を検討」と報じた。イージス艦にも搭載可能で、18年度までに現在の4隻から8席に増やすという。一方、防衛省が米国の無人偵察機3機購入の方針との情報もある。

まさに「有事」を誇大に喧伝して、防衛装備を拡充している実態を裏書きするものだ。

 

戦闘機自主開発だけでなく、原発輸出も狙う

政府の方針を追い風に、防衛産業の動きも活発化。三菱重工業は防衛省の委託を受けてステルス戦闘機の試作機を、来年1月に初飛行させる方針を固めた。ただ、開発費に5000億~8000億円が必要とされ、自主開発の必要性に疑問も出ているため、政府は国際共同開発の可能性も視野に入れているようだ。三菱重工はトルコなどへの原発輸出にも熱心で、武器輸出3原則の縛りを解いた影響は大きい。「平和国家」としての防衛装備はどの程度に抑えるべきか、真剣に検討すべきで、財政赤字を膨らまさせないようにしてもらいたい。

 

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