東北電力は6月10日午前、東通原発1号機(青森県東通村)の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請した。2016年3月の再稼働を目指す。ただ、規制委は敷地内にある破砕帯(断層)が活断層かどうかの結論が出ることが審査入りの前提との姿勢を示している。安全審査では、同原発が新規制基準に適合しているかを確認していくが、審査がいつ本格化するかは不明だ。東北電力による申請は昨年12月の女川原発2号機(宮城県)に次いで2基目。全国では12原発19基目の申請となった。
東北電力は申請にあたり最大の地震の揺れ「基準地震動」を450ガル(ガルは加速度の単位)から600ガルに、津波の高さを10・1㍍から11・7㍍にそれぞれ引き上げ、井上茂副社長が10日、原子力規制委を訪れ、安全規制管理官に申請書類を手渡した。
規制委による敷地内断層の評価結果を待たず申請に踏み切ったことについて、井上副社長は「われわれの考えている安全対策が新規制基準に照らしてどうなのかを早く確認し、早い時期での安全確保につなげたいというのが、われわれの気持ちだ。(断層評価と)並行して(適合性審査を)やってほしい」と報道陣に語った。
規制委によると、敷地内断層は原子炉から最短200㍍にあり、大陸棚外縁断層は活動すれば、マグニチュード8クラスの地震を起こすという。活動性が認定されれば耐震設計の大幅な見直しは必至で、審査の長期化が予想される。
原子力規制委は5月末、9月に満了を迎える規制委員の2人を交代させる人事案を国会に提示したが、島崎委員長代理(地震学)の交代人事に疑問が提示されている。各紙は、原発推進の立場を示している田中知東大教授(原子力工学)起用の〝政治的思惑〟について論評している(本紙第482号―5月30日付参照)。
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