「秘密保護法」反対の声を粘り強く

安倍晋三内閣は「特定秘密保護法案」を10月25日閣議決定し、第185国会に提出。衆参での審議時間はわずか60時間余、強行可決を重ねて12月6日成立、13日公布という暴挙をやってのけた。国民の知る権利などお構いなしで、戦前の「治安維持法」並みの危険性をはらむ悪法だ。

奥平康弘・東大名誉教授(憲法学者)が朝日新聞12月11日付朝刊に寄稿した「反対の声が歯止めになる」との一文が、印象的だったので、要旨を紹介しておく。

「世論の強い反対を退け、1952年に成立した破壊活動防止法(破防法)の本来の狙いは団体規制でした。しかし、この規制は一度も適用されませんでした。(中略)冷戦を背景に当局が念頭に置いていた団体は日本共産党などでした。戦前の特高警察が再現されるのではと危険を感じた労働組合や学術団体、野党が強く反対しました。学生だった私もデモに参加しました。結果、国会では原案が修正され法律を適用する条件が厳しなり、施行後も当局への歯止めになったのです」と記していたが、反対デモに参加した私の大学時代を思い出した。

次いで奥平氏は「特定秘密保護法への反対の動きは政治史に残るでしょう。1985年に国家秘密法が廃案になった時も、反対の広がりはこれほどではありませんでした。市民の自由を守るべきだという意識の表れだと思います。戦前への回帰の恐れというより、官僚の秘密主義が今も残っていることへの危機感が強いからだと見ています。今回の反対の声も法律乱用の歯止めになると思います。知る権利を保障する憲法21条に反するとして司法の場で論陣を張れるはずです」との指摘は明快だ。

知る権利を守るため、「悪法」への国民的抵抗を継続すべきだと痛感させられた。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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