「党内融和への配慮か―岡田克也氏の心境読めず」/「財務相に安住氏、外相は玄葉氏―野田内閣が組閣・発足」「小沢側近の山岡、一川氏入閣―岡田、仙谷氏らは入らず」

著者: 瀬戸栄一 せとえいいち : 政治ジャーナリスト
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「党内融和への配慮か―岡田克也氏の心境読めず」 (14:00)

 今回の野田新内閣の組閣で目立つのは、岡田克也前幹事長の「重要ポスト固辞」である。野田首相が強く希望したのは「大物官房長官」として岡田氏が官房長官ポストを引き受け、どじょう首相の地味さを補って新官邸の、国民へのアピール度を高めてくれることだった。ところが、岡田氏は首相の願望を受け入れず、結局は「最後はあなたしかいない」と長年の盟友、藤村修氏に女房役を引き受けてもらうしかなかった。
 野田首相はそれでもあきらめず、今度は自分が最も重要と考える財務相に就くよう岡田氏を説得した。いったんは「内定」したかに見えたが、岡田氏はこれも固辞し、野田首相は岡田氏が推す安住淳氏を抜擢せざるを得なかった。安住氏は菅直人前首相への批判で目立つなど、元気の良さでは群を抜くが財政問題の専門家とは言えない。
 かといって、岡田氏が野田新首相を冷たく突き放しているわけでもない。組閣で官房長官や財務相を固辞したものの、代表選では野田選対の顧問として勝利に貢献した。結局、小沢一郎氏への党員資格停止処分を幹事長として譲ることなく実行し、野田首相が党内融和で行こうとしているときに、岡田氏が要職に就けば再び党内摩擦に逆戻りすることを恐れたのが真意にようだ。
 一方、前原誠司グループの一人は「党役員人事と比較して閣僚の顔触れには清新さや意外感があまりない。民主党が反転攻勢できる布陣なのか疑問だ」との批判が出ており、野田どじょう首相にとって「あちら立てればこちら立たず」の苦しい人事劇だった。(了)

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「財務相に安住氏、外相は玄葉氏―野田内閣が組閣・発足」「小沢側近の山岡,一川氏入閣―岡田、仙谷氏らは入らず」 (13:04)

 野田佳彦首相(54)は2日、新内閣の顔触れを決め、同日午前11時に藤村修官房長官(61)が閣僚名簿を発表した。財務、外務の重要ポストに40歳台の若手を抜擢したのが最大の特徴で、財務相に安住淳前国対委員長(49)を抜擢、外相に玄葉光一郎国家戦略担当兼党政調会長(47)を横滑りさせた。ふたりとも代表選勝利の功労者でもある。
 他方、幹事長への輿石東・参院議員会長起用と並んで、小沢一郎元代表代行と親しい議員を「ノーサイド人事」で断行し、側近の山岡賢次元国対委員長(68)を国家公安委員長兼拉致問題担当に、小沢氏と自由党時代まで行動を共にした一川保夫参院政審会長(69)を防衛相にそれぞれ起用した。小沢氏も輿石幹事長人事と並んで山岡、一川氏の起用を「いい人事だ」と評価した模様だ。
 東日本大震災の復旧・復興については再任を軸とし、細野豪志原発事故担当相(40)を再任、環境相兼務としたほか、復興対策担当相は平野達男氏(57)を再任した。このほかに連立与党の国民新党、自見正三郎金融・郵政改革担当相(65)と、鹿野道彦農水相(69)も再任した。
 女性閣僚では菅内閣でいったん首相補佐官に格下げした蓮舫・行政刷新・国家公務員制度改革担当相(43)の復活と、小宮山洋子厚生労働相(62)の同副大臣からの昇格のふたりとなった。

 ▽若手コンビで増税路線
 代表選で増税路線を貫いた野田首相の意向を受けて若手財務官僚出身の古川元久元官房副長官(45)が就任。NHK記者出身の安住財務相を助けながら野田「増税路線」の実現に取り組む。
 さらに経済産業相には社民党出身の鉢呂吉雄元国対委員長(63)、総務相に旧民社党の川端達夫衆院議運委員長(66)、国土交通相に前田武志参院予算委員長(73)、文部科学相に中川正春元同副大臣(61)を充てた。法相は平岡秀夫総務副大臣(57)を起用。
 野田首相は同日午後、皇居での任命式・閣僚任命式を終え、夕刻の記者会見で組閣に当たっての考えや新政権の基本方針を述べた。これに先立ち藤村官房長官は「適材適所の人選だ」と語った。
 野田首相は9月なかば(同12日ごろ)に臨時国会を召集、施政方針演説と各党代表質問を受け、論戦を開始する。自民・公明・民社の3党合意(子ども手当て見直しなど)の順守と、第3次補正予算の内容と規模、原発事故の収束と再稼働問題などが焦点となろう。(了)

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