たんぽぽ舎です。【TMM:No1916】
 2013年8月1日(木)地震と原発事故情報-4つの情報をお知らせします
 転送歓迎
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 ★1.選挙が終わったら、「海に漏れたかも」
 「東電発表」のさらなるデタラメぶり <上>       (山崎久隆)
 ★2.7月22日(月)安田節子さんの講演
 「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を斬る!」<上>
 ~異常な貿易協定、秘密協議、米国の標的は日本、ISD条項~(斎藤なぎさ)
 ★3.カメよりも遅くカタツムリ並みの速さの地下を走る「妖怪」は
 海洋プレートと大陸プレートの押しあいから生まれた「鬼っ子」か?
 「警戒せよ! 生死を分ける地震の基礎知識」その11   (島村英紀)
 ★4.新聞・雑誌から
 ◇体内にセシウム、心臓疾患まねく チェルノブイリ事故で警鐘
 論文発表後逮捕「不屈の学者」「汚染食品食べない努力を」
 (7月29日 東京新聞「こちら特報部」より)
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 ┗■1.選挙が終わったら、「海に漏れたかも」
 │  「東電発表」のさらなるデタラメぶり <上>
 │ 重要なデータを隠す、情報操作、放射能漏れを隠ぺい
 └────(山崎久隆 たんぽぽ舎)
▼東京電力、海洋への放射能流出やっと認める
ついに多くの放射能が海に漏れ出していたことを認めた。今まで東電は「地
 下トレンチに残っていた汚染水が漏えいしたかもしれない」と、溜まっていた
 汚染水の一部漏えいを示唆し、地下水系に混入した汚染水の追加放出の可能性
 は認めようとはしなかった。
 参議院選挙が終わり、ほとぼりが冷めたと思ったのか、7月22日月曜に突如
 として大量のデータを公開し、地下水に混入した汚染水が海中に漏えいしてい
 る可能性を否定できないと、やっと汚染水漏えいを認める会見を行った。
 これまでも東電が事実を隠ぺいし、小出しに、あるいは後付けで事実を認め
 ることはあったが、今回の汚染水問題は今まで以上にひどい対応だ。
 一体何時から、東電は汚染水の海中流出を認識していたのだろうか。
 既に1カ月も前から規制庁は汚染水の海中漏えいを前提とする調査分析を指
 示していた。
 ところが東電は漏えいを知るために最も重要なデータである「地下水位」を
 測定しながら公表してこなかった。これさえ明らかならば、客観的に誰もが漏
 えいを確認できていた。東電は選挙前の金曜日まで「データは精査中」などと
 して出さなかった。このことが
 「恣意的」と見られる最大の理由である。
 今回明らかになったデータで最も重要なのは地下水位のデータである。
 日により大きく変化をしているが、標準海面から上に最大1.8m、これが
 福島第一原発の地下水位である。つまり海面の上に地下水があり、「水は高き
 より低きに流れる」の理屈どおり海に向かって汚染水が流入していた。
 東電は、データ発表の日と参議院選挙に何ら関係はないと言うが、到底そう
 は思えない。半年以上にわたり地下水位を計測し、潮位や雨量などとの相関を
 記録し、グラフにまでした。詳細な変動をグラフ化していたのに、日々の地下
 水データを公表できない理由などない。
▼データ隠ぺいの背景、悪質さ
実際に19日の記者会見でさえ、流出が疑われる汚染水について「データがな
 いので判断できない」などとウソの発表を繰り返していた。
 地下水位を明らかにすれば、汚染水が海に流出していることを明らかにせざ
 るを得ず、東電任せにせず「国も一歩前に出る決意」で対策を実行すると明言
 をしていた安倍内閣の責任問題にも発展する。そのために選挙後まで汚染水流
 出について何も「判断」を示さなかった。
 またしても「データ取得してから発表するまで隠す」情報隠ぺいが問題と
 なっているが、本質はここに「情報操作」が加わっていることだ。
 放射能が漏出していることが明確になれば、福島県の沿岸漁業は再開の見通
 しが立たなくなり、少なくても福島県の選挙結果に大きな影響を与えるであろ
 う。発表を選挙後に遅らせたことで、大きく票が動く可能性を阻止したのでは
 ないか。そうなると与党側からそのような圧力が掛かっていないかどうかが問
 題になるだろう。
 東電は「本質」を隠すために情報を小出しに、遅れて出すようにしているか
 ら、福島の現状は、遙かに悪化している危険性が高い。
 最悪の場合は、これから止水壁を作っても間に合わず、大量の汚染水が大規
 模漏えいを起こして、沿岸のみならず太平洋に広く拡散し、海外で捕れる魚介
 類にもはっきりと放射能の影響が出る場合だ。日本は巨額の賠償請求を受け、
 国家破綻の危機に見舞われる。
 また、このままでは取り返しの付かない海洋汚染を引き起こし、周辺の漁場
 に壊滅的影響を与える。(<下>につづく)
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 ┗■2.7月22日(月)安田節子さんの講演
 │  「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を斬る!」<上>
 │ ~異常な貿易協定、秘密協議、米国の標的は日本、ISD条項~
 └────(斎藤なぎさ たんぽぽ舎ボランティア)
この日は、予定していた講師:金子さんの代わりに急きょ、安田節子さんが
 お話しくださった。自民党圧勝の参院選を終えた翌日22日、東電は、福島第一
 原発から高濃度汚染水が地下水と混じり、海に流出している可能性が高いこと
 を初めて認めた。また、安倍首相はこの日の記者会見で、政府の憲法解釈を変
 更し集団的自衛権を容認することに意欲を示した。23日には、日本政府はTPP
 交渉に初参加した。参院選では争点をぼかしてきた原発、憲法、TPP問題をこ
 こにきて安倍自民党は一挙に危険なほうへ進めようとしている。TPPに参加す
 ることがいかに危険であるか、安田節子さんの書かれた『TPP本当の話』(*)を
 参考にしながら講演をまとめた。
1.異常な貿易協定TPP—TPPの狙いは市場を規制するシステムを米国のシステ
 ムに準拠させること(2009年オバマ大統領)。つまり、TPPは大企業に有利
 なルールを各国に義務付けるため、市民生活にとって危険な協定である。
2.協議は「秘密」のTPP—これまで公表された唯一の文書は、どんな文書も
 公表されないという説明の文書だ(米国NGOパブリックシチズン)。交渉の
 中身は秘密で、国会議員すら知ることができない。「交渉文書は協定発行後
 4年間も秘匿される」ことになっているからだ。国民が知ったら反対される
 から、秘密にするのであろう。
3.米国の標的は日本—米国の標的は日本の規制(非関税障壁)の自由化
 (2012年8月24日米議会調査局報告書)。特に内需が強い日本市場が狙われ
 た。協議は最終段階にきている。その内容を事前に知ることができないうえ、
 参加しても修正はできず、断ることもできないのであれば、入ることは危険
 この上ない。
4.医療—医療が市場原理で運営されるようになると国民皆保険制度が崩壊
 する。TPPによって混合診療が導入されるだろう。今は自由診療を選ぶと、
 保険適用部分の医療費も自己負担になる。一見、患者にとっては不利益だが、
 これは自由診療抑制のためである。混合診療解禁で、自由診療を選ぶ人が増
 えて自由診療が拡大する。経済力によって、受けられる医療に格差が生まれ
 る。国民皆保険のない米国では、貧困になった原因のトップが医療費である。
5.危険な企業保護条項(ISD条項)—『企業対国家紛争処理』条項
 (Investor  State Dispute  Settlement)は企業が国家を訴えることができ
 る規定。国が環境汚染や健康被害を懸念して商品の販売を禁止した場合、そ
 の企業が国に対し損害賠償を請求して訴えることができる。例えば、脱原発
 を決めたドイツ政府は、ドイツ国内の原発に投資していたスウェーデンのエ
 ネルギー企業からISD条項に基づいて訴えられた。脱原発にとってISD条項は
 とても危険である。(次号につづく)(次回は<下>を掲載します。)
*  * * * 安田さん主宰の「ビジョン21」発行の小冊子 * * * *
 『ないしょのないしょのTPP本当の話』(1冊100円)たんぽぽ舎で取扱い中!
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 ┗■3.カメよりも遅くカタツムリ並みの速さの地下を走る「妖怪」は
 │ 海溝での海洋プレートと大陸プレートの押しあいから生まれた
 │「鬼っ子」か?
 │ あなたの家の下を、小さな妖怪が音も立てずに通りすぎているかも
 │ しれません。
 │「警戒せよ! 生死を分ける地震の基礎知識」その11
 └────(島村英紀 地震学者)
●いきなり梅雨が明けて真夏の猛暑が続いている。そこで怪談をひとつ。
 現代の地殻変動の観測の精度は高い。地面が百万分の一だけ縮むかどうか、
 地面の傾きが一億分の何度か変わるかどうかの変化が測れる。そんな細かさで
 見ると不思議なことが見つかった。
 1970年代に、岩手県から秋田県にかけて地殻変動が西北に移動していったの
 が発見された。地面が数十万分の1縮んだほどの僅かな地殻変動だが、太平洋
 岸から日本海岸へとゆっくり横切っていったのである。
 動いた速さは、ごく遅く、年に20キロ。時速にすれば2メートルほどになる。
 つまりカメよりも遅く、カタツムリなみの速さのものが地下を動いて行ったこ
 とになる。移動性地殻変動と名付けられた。
 この移動を時間をさかのぼって逆にたどって行くと、陸から海へ出て、さら
 に太平洋プレートが日本海溝へ沈み込むところに起きる海溝型の巨大地震の場
 所に至る。
 そして、この移動したなにかは、巨大地震が起きたときにちょうどその震源
 に、その時間にいたことが分かったのである。1968年に起きた十勝沖地震(マ
 グニチュード(M)7.9)がその地震だ。つまり地下の妖怪は、大地震の震源から
 生まれて、日本を駆け抜けたように見えるのである。
 また、関東地方でも、地面の傾きが、東から西へゆっくりと移動して行った
 のが発見されていた。そして逆にたどったその先には1953年に起きたM7.5
 の房総沖地震があった。日本だけではない。ペルーでも同じような現象が見つ
 かった。
●じつは、この妖怪にはもっと深い嫌疑がかけられている。
 それは大地震に「立ち会った」ばかりではなくて、大地震を引き起こしたの
 ではないかという嫌疑である。大地震の震源から生まれて日本の地下を走り抜
 けただけではなくて、走る途中で地震の引金を引いた元凶ではないかという容
 疑なのである。
 妖怪は、そもそも海溝での海洋プレートと大陸プレートの押しあいから生ま
 れた「鬼っ子」かもしれない。
 前回に1997年に豊後水道で「のろまの地震」が起きた話をした。このときに
 も、この地震の震源から生まれた微小な地殻変動が、ゆっくりと四国や中国地
 方を横切っていった。
 この妖怪が動く速さ、時速にして数メートルというのは、とても不思議な速
 さだ。地球の内部をなにかが岩をかきわけながら動いていくにしては途方もな
 く速すぎるし、一方、秒速数キロメートルで走る地震断層と比べると、けた違
 いに遅すぎる。
 地震や台風など地球に起きる事件の常として、大きなものだけが起きること
 はない。たまたま大きいものだけが見えているだけなのであろう。
 いま、あなたの家の下を、小さな妖怪が、音も立てずに通りすぎているのか
 もしれません。(次号につづく)(次回はシリーズ12を掲載します)
 (夕刊フジ 7月19日号より)
★地震をテーマに連続講座 第1回は8月5日(月)講師:島村英紀さん
 ★19時開会、参加費800円、場所 スペースたんぽぽ ぜひご参加ください。
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 ┗■4.新聞・雑誌から
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◆体内にセシウム、心臓疾患まねく チェルノブイリ事故で警鐘
 論文発表後逮捕「不屈の学者」「汚染食品食べない努力を」
 (7月29日 東京新聞「こちら特報部」より)
チェルノブイリ原発事故最大の被災国ベラルーシで、死亡した人を解剖して
 臓器ごとの放射性セシウムを測定した医師がいる。ウクライナ在住の病理解剖
 学者ユーリー・バンダジェフスキー氏(56)だ。低線量内部被ばくに警鐘を鳴ら
 す研究は当局に危険視され、投獄される憂き目も見た。来日した「不屈の学
 者」に聞いた。「たとえ微量であっても、セシウムなど放射性物質が含まれる
 食品を継続的に食べ続けると、健康被害を誘発する恐れがある。内部被曝と健
 康被害には相関関係がある」(中略) 同氏は、セシウム137は特に心筋細胞
 に蓄積しやすく、心筋障害や不整脈などの心臓疾患が起きやすくなると結論付
 けた。ベラルーシ人の死因トップは心臓血管系の疾患だ。
 世界保健機関(WHO)などはチェルノブイリ事故で、放射性ヨウ素による小児
 甲状腺がんしか認めていない。同氏は、セシウムによる内部被ばくの論文を発
 表した直後の99年、収賄容疑で突然逮捕される。一貫して無罪を訴えたが、
 2001年、禁固8年の判決を受けて服役した。(中略)
 福島原発事故から約2年5カ月後の日本の現状をどう見るか。(中略)同氏
 はこう強調した。「健康被害が出ないことを望んでいるが、チェルノブイリの
 経験からすると、楽観できない。内部被ばくに対処するには、汚染食品を食べ
 ないように努力するしかない。技術力と資金力のある日本は、よりよい食品の
 放射線量管理システムを確立できると信じている」
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